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篠原愛紀
#独占欲
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ふと、白石さんがペンを止め、僕を見上げた。
「陽一さん。……私のこと、好き?」
「えっ? ……もちろん」
「じゃあ、協力してくれるよね?」
白石さんはいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「今から陽一さんに、『受け』か、『攻め』、あるいは『リバ』をやってもらいます♡」
白石さんによると、『攻め』はリードして愛をぶつける役。『受け』は翻弄されるお姫様役。そして『リバ』は、それが時々入れ替わる、美味しいとこ取りの関係のことらしい。
「なるほど……。つまり、実行権限の譲渡と、役割(ロール)の動的な切り替えのこと?」
「……うん、まあ、そんな感じ! でね、私の理想を聞いて!」
白石さんはうっとりした顔で続けた。
「昼は完璧なスパダリ、夜は私に乱される色っぽい誘い受け。……この『昼夜逆転ギャップ』こそ私の人生最高の癖なの!できるよね?」
僕の思考はフリーズしかけていた。やっぱり白石さんはどこかズレまくっている。……いや、仕様そのものが僕の理解を超えている。
「でね、今、その『攻め』のシーンが上手く描けないの。このセリフを、私を壁際に追い詰めて、顎をクイッと持ち上げて、キャラになり切って言ってみて?」
(うわ。……なんだよ、この恥ずかしすぎるセリフ。でもこれは白石さんの大事な仕事のためだ……頑張れ、僕……!)
内心では激しい拒否反応を示したが、彼女の拒絶を許さない瞳に負け、僕は観念した。壁際に彼女を追い詰め、指先で顎に触れる。