テラーノベル
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「そろそろいいかしら?」
「ひょぇ?」
サラの声がして、私は焦って変な声が出てしまった。
ワタワタしている様子を見て、アリスがまわりを確かめる。
「土の精霊が来てるわよ?」
「あ、土の精霊さん?」
私の声を聞いて、誰か精霊がいることをアリスは悟り、話が進むのを待った。
「すまない、遅くなった」
「あ、いえ。大丈夫です」
彼女の後ろには、もう一人小さな精霊がいた。顔はたぶん土の精霊さんによく似ているのだけれど、前髪が長いので目が隠れてしまっている。この子と契約するのかな?
「これを……」
そう言った小さな方の土の精霊さんの手には指輪が見える。
「風の精霊の……指輪の上に……はめて……」
「はぇっ!?」
シルフィがこれまたすっとんきょうな声を出して、姿を見せ会話に参加してきた。
「なんで、おいらの指輪の上なんだよ!」
頬を染めながら、小さな土の精霊さんは言う。
「わたしが……上……。一緒……」
にやりと笑む彼女を見て、私とシルフィの背中に悪寒が走った。まさか、苦手を通り越して好きと?!
「手……」
「あぁぁ、はぃ!」
私はすっとシルフィの指輪のはまる指を彼女へと向けて、心の中で謝った。
「あ゛ぁぁっっあぁぁぁぁっっ!」
シルフィの悲鳴が、私の耳に木霊した――。
「わたし……、ノーム……よろしくね……」
沈むシルフィを横目に、私達は契約を交わした……。上下に重なった指輪が一つは煌めき、もう一つはくすんだ気がする。
「無事、契約出来たみたいだね」
「あ、うん。ノームちゃんって言う名前なんだって――」
アリスに説明すると、「そっか」と微笑み、彼はそっと私を抱き締めてきた。
あの! 見られて! しまいますっ!
「無理させないように気を付けるね。はやく、闇の精霊と契約してライトコールに戻ろう。リサちゃんの花嫁姿が見たいなぁ」
「……うん」
やっぱり、その、そういうことはちゃんと順番通りしてからよね!
私は邪念をぷるぷると頭を振って追い出した。
まずは、カナちゃんを魔獣から助ける! そして、元の世界に帰してあげる。カナちゃんが、絶望してしまう前に――。
そして、予言の魔物を浄化してあげる。あの魔物も、きっと迷子なんだ。私の力で生まれ変わらせてあげよう。
でも、まだまだ考えないといけないことはあるなぁ。
カトル王子とメリエル――。
アリスの過去――。
マナエル――。
どう頑張ったって、亡くなってしまった人の思い出はアリスの中からは消えないだろう。絶対に勝つことが出来ない相手が、彼の中にいる。
私は、それでも彼を――。マナエルを好きになった彼をまるごと包み込もう。彼が、私をいま抱き締めてくれているように――。
きゅっと目を閉じて私はトクトクと動く鼓動と温かい体温を感じていた。
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コメント
1件
ふふっ、シルフィの悲鳴が本当に耳に残る回でしたね。上下に重なる指輪の対比がまた絶妙で、片方は煌めき、もう片方はくすんで見える…もう完全にノームちゃんの勝利って感じがします(笑)。アリスがリサをそっと抱きしめる優しさもじんわりきましたし、リサが「彼をまるごと包み込む」と決意するシーンには胸が熱くなりました。また次が楽しみです!