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翌日。
桃太楼のスマホには、掲示板で知り合った謎のアカウントからDMが届いていた。
「お供希望です。 犬系です。吠えるの得意です」
文章からして怪しい。しかし背に腹は変えられない。
駅まで待ち合わせをすると、やって来たのは派手な金髪に犬耳カチューシャをつけた青年だった。
「どうも! ハンドルネーム“ケンケン“です!」
「……お、おう」
「犬っぽいってよく言われるんで、犬枠いけます!」
完全にコスプレノリだった。
だが彼は意外にも格闘技経験者で、犬のような俊敏さを誇っていた。
数日後、猿枠も現れた。
ID名“モンキーD.Y“。やたらとワンピ好きそうなネーミングの青年で、自己紹介はこうだった。
「俺、フリーランスの動画配信者。猿顔ってリスナーにいじられるから、猿でいいっすわ」
「いや、軽いな!」
「配信ネタになるんで、鬼ヶ島突撃同行しまーす!」
どう考えても真剣さに欠ける。だが、運動神経とトーク力は抜群だった。
最後にやって来たのはキジ枠。
掲示板で「鳥類好き女子です」と名乗っていた人だったが、現れたのは意外にも落ち着いた文学少女風の女性だった。
「初めまして。名前は紀子。鳥をこよなく愛してます。飛行機恐怖症ですが」
「いや、鳥好きで飛行機苦手ってなんだよ」
「細かいことはいいじゃないですか。私はキジ役、やれます」
彼女は驚くほど方向感覚に優れており、まるで空を飛ぶ鳥のように地図アプリを駆使して最短ルートを導き出す能力を持っていた。
こうして犬、猿、キジの現代版お供が揃った。
桃太楼は内心「なんか違う……」と思いつつも、SNSで写真を投稿した。
【お供3匹ゲットしたったwww】
いいねとリプライが殺到する。
令和の桃太楼爆誕
鬼ヶ島行ったら配信して
お供ガチャ成功おめ
「……俺の人生、いつからこんなネタ枠になったんだろう」
桃太楼は頭を抱えたが、美咲から飛んできたLINEはこうだった。
「やばい! フルパーティ揃ってる! テンション上がる!!」
結局、彼女が一番ノリノリだった。