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⚠︎︎微えろ🔞 めめが海外行くお話
──💚視点────
初めて会った時、この世にこんなに綺麗な男が存在するのかと息を飲んだ。
もちろん、先輩や同期、後輩には俺よりカッコイイ男なんてごまんと存在する。
だけど俺の目の前に現れた男は、格別だった。
ましてや、そんな男が同じグループに加入するだなんて、青天の霹靂だった。
「目黒 蓮です。よろしくお願いします」
俺より高い背に、少し鼻にかかった低く甘い声。
特徴のある声は、歌えば凄く映えるだろう。
顔も、背も、声も、何もかも天は二物どころか与えすぎだろと思うほど、見た目は完璧な男だった。
「ねぇ、阿部ちゃん。才色兼備の逆ってなに…?」
スタジオの椅子に腰掛けて、隣で怪訝な顔をして、めめが変なことを聞いてきた。
また何を唐突に…と思いつつも、めめに分かりやすいように説明をする。
「……おバカってことかな」
「え?マジ?どゆこと…」
一見完璧に思えた男の中身は、びっくりするくらいに小学生男児だった。
学に弱く、ちょっぴりおバカというか、でもそこがギャップとしてかなり可愛い。
些細なことで手を叩いて、膝から崩れ落ちるくらいに笑ったり、こないだなんて虫を捕まえて照と翔太を怖がらせたり。
歳下らしい一面だが、歳下というよりは本当に子どもを見てるようで面白かった。
「そもそも才色兼備って何スか」
「才色兼備は、知性と美しい容姿もどちらも持ち合わせてるって事だから、その逆って言ったら知性なくて、不細工って事になるだろうけど…。でもめめは綺麗だからさ、ただのおバカさんってことになるんじゃないかなって」
「……阿部ちゃんの方が綺麗だと思うけどなぁ」
「……またすぐそういう事、平気で言う」
めめが加入してから数年が経って、最初は中々馴染めなかっためめも今では皆と仲良しで。
そんな中でも、最近、俺を見つめるめめの視線がたまに痛い。
恥ずかしい台詞もサラッと言えるところは、素直すぎるというか何というか…。
サラサラの前髪から覗く、綺麗な顔立ち。
少し伏せた目が、ゆっくりと俺の方を向いて、ふっと優しく細まった。
「ねぇ、阿部ちゃん。俺さ──…」
「目黒さーん!スタンバイお願いしまーす」
めめが何かを口にしようとして、遮られる。
ごめんね、と顔の前で手を合わせて椅子から立ち上がった。
がんばれ〜と手を振って、その後ろ姿を見送る。
実はこれ、今日で4回目。
何かを言いたいようで、考えて、言葉に詰まって、終わる。
待ってるけど、それがめめも言葉に出来ないのか、話しかけられれば話しかけられるほど謎めいていく。
「なんだよ〜!早く言えよ!」
って急かしても、いや、だの、あの、だの頭をかいて、やっぱいいやって言う。
「……俺、なんか言いづらいようなことしたかなぁ?」
うーんと悩んでると、俺もスタッフに呼ばれた。
後で楽屋でじっくり聞いてやろう。
もしくは、空いてたら二人でご飯にでも行くか。
そんなことを思いながら、とりあえず目の前の仕事に集中した。
事が突然大きく変わったのは、仕事が終わって楽屋に戻った時だった。
全員、楽屋に集合して、あとは帰るだけだとなった時に、照が全員に向けて声をかけた。
「帰る時でほんとごめん。ちょっと話しがある」
リーダーの一言で、先ほどまで緩やかだった雰囲気が一気に引き締まる。
照の言い方的に、コレは真面目な話だ。
普段ふざけてる佐久間や康二、翔太ですらしっかり前を向いて、照に目線を合わせてる。
「めめ」
「はい」
照に呼ばれて、めめが前に出る。
俺の前で言おうとしてた事なのか、別の件か。
ドラマが決まったとかならここまで真剣な話し合いはしないはずだ。
「……俺、ハリウッド決まりました」
その一言に、一瞬、照以外のみんなの息が止まって、そこから佐久間を筆頭に歓声があがった。
「すげぇじゃん!蓮!やったなー!!」
大喜びして、めめに抱きつく佐久間。康二やラウールもしがみついて、一緒になって喜んでる。
舘様とふっかは拍手して、翔太はなぜかちょっと拗ねてて。
そんな盛り上がりの中、俺も一緒になってめめを祝う。
「ちょ、みんな。まだ続きあるから!ほら一旦離れて」
照が手を叩いて、元に戻す。
ほら、とめめの背中を叩いて言葉を促すも、めめの表情が少し曇る。
俺は何となく、その続きが想像ついた。
「……向こうで、半年ほど仕事がある。だから、その間はSnow Manの目黒蓮を活動休止します。皆には、迷惑かけるかもしんないけど、でも、応援してて欲しい」
めめが深く頭を下げる。
ハリウッドが決まった、という時点で、全員分かっていることだ。
今度はみんなでめめを囲んで、頑張れよと背中を押した。
めめがお芝居を極めたいという話は、メンバーも全員知ってたからこそ、今回の話は自分の事のように皆が喜んだ。
ただ、めめ一人を除いて。
どこか浮かない顔をしているのは、緊張や不安からなのか。
それとも俺らに対する申し訳なさか。
めめが話したかったことはコレ…?
でも、それなら何故俺だけに先に話を通そうとした?
他に言いたいことがあるのか。
聞きたいけれど、今は言えないから、LINEでもするかな…。
なんて思いながら、 ひとしきり盛り上がったあと、解散となって、俺も鞄に荷物をまとめ始めた。
「ねぇ、阿部ちゃん。今日、予定ある?」
後ろを振り向くと、めめが立っていた。
先ほどまでめめを揉みくちゃにしていた、テンション高めの3人はいつの間にか帰っていて、楽屋には俺とめめだけだった。
「ん?何もないよ。めめ、なんか話したいんでしょ?」
「ん…ちょっと、二人でゆっくり話したい」
「いいよ、どこ行こっか。めめ何食べたい?」
「海鮮系かなぁ」
携帯で店を探しながら、楽屋を後にして、めめが手配してたタクシーに乗り込む。
近くにあった居酒屋を予約して、そこへ向かう道中、めめはずっと外の景色を眺めていた。
時折、めめの指が交差して、それに伴って身体も動く。
トンッ…と肩がぶつかれば、めめは一瞬、俺を捉えて、静かにまた目線を戻した。
───ねぇ、めめ、俺なにかしたかな…。
後ろ姿に問いかけて、俺も反対側の窓へ視線をやる。
煌びやかなネオン街、車も人も多く行き交うのを横目に、早く着かないかなと思った。
路肩にタクシーが停まる。
財布を出そうとして、めめがカードを差し出した。
いいから、という言葉に、財布を握りしめた手を離す。
タクシーを降りて、目の前の居酒屋に入って、予約された席へと案内される。
そこに着くまで、めめはずっと静かだった。
何となく気まずい雰囲気の中、先に飲み物をオーダーして、扉が閉まる。
向かい合わせに座っためめは、相変わらず俺の顔を見ようとしない。
「〜〜ねぇ、めめ!さっきから何なの?」
痺れを切らした俺が声をかけると、めめの視線がようやく俺と合わさる。
かと思えば、握られた片手を額に当てて、「やっぱちょっと待って」と静止する。
そのタイミングで、飲み物が運ばれてきて、とりあえず乾杯する。
一気にビールを喉に流し込んだめめが、グラスを置いた。
「阿部ちゃん!」
と勢いよく呼ばれて、びっくりして思わず正座した。
さっきまでの沈黙は何だったんだと言うくらい、真剣に俺を見てる。
「……なに?」
首をかしげて、めめを見ると、また悩ましい顔をして天を仰いでいる。
なんだコイツ。情緒不安定かよ。
「…それ、ほんと素でやってんだよね」
「それ…ってどれ!?」
「その首かしげたりとか、言い方とかさぁ」
「え、え〜?素…だけど 」
「いや、もうほんと…なんでそんな可愛いの…」
カメラがあれば、1カメ、2カメ、3カメと、色んな角度から今おれとめめが止まってる姿を映し出されるだろう。
なんてくだらない事を考えるほど、思考が止まった。
「…なんか、ごめん?」
「いや、ごめん。俺がおかしいよね。うん、落ち着くわ」
めめが咳払いをして、大きく息を吐く。
運ばれてくる料理を一旦口にしつつ、あくまで冷静を装うとしてる。
俺も箸を手に持ち、いただきますと手を合わせ、料理を口にした。
「──おれ、阿部ちゃんの事、好きなんだよね」
「ん、ぐふッ!!」
思わず口を抑えて、飛び出そうになったものを飲み込む。
この男、本当に色々とタイミングが悪いというか。
良い意味でB型特有の自由さが出てるというか。
めめに目線を向けると、ちょっと恥ずかしそうに笑ってる。
この少年のような顔が、たまらなく可愛いと思ってしまう俺も、大概なのだろう。
「も〜タイミング考えて!嬉しいけどさ!急すぎんだって!…まぁ、俺もめめの事好きだよ?メンバーは全員大事だし、このグループに入れて幸せだし」
「…俺の好きは、阿部ちゃんとはちょっと違うよ」
「え?」
笑いながらも、その言葉は少しだけ意味を含んで重く俺に届く。
今日ずっと引っかかっていた言葉は、きっとコレなのだろうと、脳が瞬時に判断した。
が、頭と体の反応は別なわけで。
俺はライクの意味で言ったけど、俺と違う好きってことはラブしかない。
それは何となくわかるけど……いや分からん!
「……それは、そういう意味の好きって事?」
「うん。阿部ちゃんが、好きです」
「いや待って。改まって言わないで。整理しよ」
危うくめめのペースに呑み込まれそうになる。
一旦箸を置いて、一息つく。
あれだけ言いづらそうにしてた言葉を口に出来たからか、めめの方はなぜかスッキリした顔で俺を見てる。
最近の視線が痛かったのもそのせいかと、妙に腑に落ちた。
「…いつから?」
「え?」
「いつから、その、俺の事そういう風に思ってたの?」
「初めて阿部ちゃんに会った時から、俺はずっと阿部ちゃんの事が好きだったよ。一目惚れ。こんなに綺麗な人、見たことないって惹き込まれて、それから…」
めめの言葉に、顔が熱くなる。
そんな真剣に人に好意を向けられたことなんて無かったから、恥ずかしいというよりこそばゆい。
「俺なんかよりめめの方が綺麗なのに、何いってんの…」
「なんかって、やめて。阿部ちゃんは綺麗だし、可愛いよ」
「〜〜〜っだから!めめのそういうとこ慣れてないんだって!」
「ほら、可愛い」
クスクスと笑いながら、めめが2杯目のビールを飲み干す。
ペース早いけど、大丈夫かな。
飲む方ではあるけど、雰囲気に流されてないか。
とりあえず、おかわり頼んどくかと注文ボタンに手を伸ばす。
その手がボタンを押す前に、めめの手が重なった。
驚いて離しそうになった手に、めめの指が絡んで、繋がれる。
手を繋ぐなんて、メンバー同士ではよくあること。
なのに、今、ここで、コレはヤバい。
心臓が大きく跳ねる音がする。
重なった指先を見つめて、息をのむ。
「───阿部ちゃん…俺、本当に阿部ちゃんが好き。コレだけはどうしても、向こうに行く前に伝えたくて…。でも、困らせたくはないから、返事は聞かない。………ごめん」
ぎゅっ、とめめの指先に力が入る。
痛いくらいに震える指から、めめの覚悟が見えた気がした。
返事は聞かない。その言葉は、きっと俺がめめをそういう目で見てないことを分かってるからこその言葉。
俺に告白したのも、ハリウッドが決まって離れるから。
会えない間にこの想いを抱えておくなんて、めめには無理なのだろう。
だって、ふたつのことを一緒にやれない不器用くんだから。
「よし!聞いてくれてありがとう!スッキリした。気持ち悪いかもしんないけど、でも、メンバーとして好きの気持ちもあるから、気にしないで……って言っても阿部ちゃんは気にするよね…でも、半年のうちに忘れてて」
「めめ…」
「ほら、食べよ。せっかく温かいうちに来たのに、喋りすぎてごめん」
「…ん、」
めめから差し出された小鉢を受け取り、口に運ぶ。
噛んでも噛んでも、飲み込めない。
めめの気持ちを咀嚼して、上手く飲み込もうとしても喉に引っかかる。
めめは綺麗だ。俺にとっては格別で、この世のものとは思えないほど綺麗で、俺が隣に立つのも憚られるほど。
そんなめめが、俺を、好き。
ラブの意味の……好き。
クイズより難しいその問題の答えを、俺は見つけられないまま、それから数日経った。
めめの出立が近づく中、Snow Manは歌番組やライブ、YouTubeの仕事にモデル、ラジオと各々大忙しだった。
あれからすぐにメディア発表されて、めめが引っ張りだこになる中、俺とめめは大して会話も交わせずにいた。
歌番組に出て、少しわちゃわちゃしても、また次の仕事があって、ゆっくり話す暇なんてない。
そうこうしてる内にも、刻々とめめが日本を離れる日は近づいてくるわけで。
俺の中の答えは、まだ明確には出ていない。
ただ、毎日めめの事を想うくらいには頭の中にいて、背中を追っている。
片やハリウッドデビューが決まった俳優兼アイドル。国宝級のイケメンと呼ばれる男。
……その隣に俺が立つ…?
メンバーの一員でしかない俺が…?
めめとそういう関係になったら、キスしたり……する、わけ…で…。
「ダメだ!!!想像つかない!!!」
「ぅ、おっ!?びっくりしたぁ…」
バンと机を叩いて立ち上がった俺に、ふっかが驚く。
隣にふっかがいる事すら気にとめてなかった自分にもびっくりだ。
ごめん、と呟いて、大人しく座りなおす。
「なに、阿部ちゃん悩んでんの?難し〜顔して……どした?」
「……ふっかはさぁ、もし照から好きだーとか言われたらどうする?あ、もちろんラブの方で」
「え!?何それ…」
ちょっと引いた顔して、それでも気になるのか俺の話に耳を傾けてくれる。
何だかんだ、この同期は優しい。
うーん、と顎を撫でて、しばらく考えて、ふっかが口を開く。
「───うん。俺は、付き合う、かな?まぁ照の事は嫌いじゃないし、お互いに分かりあってるからこそ、楽だと思うんだよね。男同士ってのがネックなんだろうけど、全然知らない女の人とかと付き合うより、気の知れた相手の方が楽じゃん?なるようになる!ってしか思わないからさ」
「えぇ、意外に真面目な答え…」
「失礼な!俺だって聞かれた事には真面目に答えますぅ〜」
「はは、ふっからしいね。……そうだよなぁ〜。なるようになる、か」
ふっかみたいに軽く捉えれば簡単なのだろうけど、俺はきちんと考えてしまうから、いつまで経っても答えが出ないのだろう。
相手が本気だからこそ、曖昧な態度で返したくないというのも本音だ。
「まぁでもさ、好きって感情は後からでも追いつこうと思えば追いつくんだよ。要は、その相手がきちんと心の中に居るか、じゃない?少しでも心に入り込んでる人は、自分にとって大切な人に間違いはないだろうし、離れて後悔するよりも、あ〜傍に居たいなぁって思うなら、俺は自分の直感に賭けるね」
ふっかの言葉が、どこかで迷ってた俺の気持ちをストンと落とした。
軽いようで、芯をついてる。
理屈よりも、気持ちの問題。
俺がめめの傍にいたいかどうか。
俺が隣に立ってもいいのか、というよりも、俺がめめの隣に立っていたいかどうか。
好きは後からでも追いつこうと思えば追いつく。
それがもし追いつかなかったら?
俺はめめとどうなりたい?
メンバーという関係を崩したくない。
ずっと、ずっと憧れだと思っていたから。
でも、めめから向けられた好意を嫌だと思ってない自分が確かにそこにいる。
「────賭けてもいいんじゃない?阿部ちゃんはさ、自分を犠牲にしがちだから、たまには自分の思うように動いてみなよ。答えって、案外その辺に落ちてるようなもんだよ」
ふっかが俺の顔を見て、にぃっと笑う。
こういう所は、大人なんだよなぁとちょっと悔しさが滲み出る。
俺がぐだぐだ考えてる事を、楽にしてくれる。
「……ありがと、ふっか」
「今度、焼肉ね」
「それはふっかが奢ってよ」
「なんで!?俺いますっげぇ話聞いてあげたよね!?めっちゃいいこと言ったよね!?」
「漢気ジャンケンで勝負ですぅ〜!あ、なら皆も誘お。めめのお祝いと行ってらっしゃいの会やらなきゃ!」
急きょ決まった焼肉会は、全員の都合を何とかマネージャーに調整してもらって、ギリギリめめが旅立つ前日に決行となった。
仕事を終え、一度家に帰って準備する。
テレビを付ければ、どの局にもめめが映ってて。
先日、ふっかがくれた答えは、俺の中でまとまりつつある。
だけど、本当に自分はそうしたいのかと問われれば、まだ迷いはある。
テレビの向こうのめめ、離れればもう観ることもない。
簡単に会いに行ける距離でもない。
時差もあれば、距離もある。
今までのように簡単には会えない。
テレビを消して、コートを羽織った。
静まり返った部屋をあとにして、めめに会いにいく。
今日で、しばらく離れる。
おれは、めめと────……。
「目黒蓮ハリウッドデビューおめでとう&明日から行ってらっしゃい会開幕かんぱーーい!!」
佐久間の声に、メンバー全員がグラスを合わせる。
貸し切られた個室で、周りを気にすることなくひとしきりはしゃいで、笑って。
明日から居なくなるなんて、そんな寂しさをひとつも実感させないほど、いつも通りの賑やかさで時間だけが過ぎてゆく。
俺だけが、心ここに在らず、といった感じで。
「──ちゃん、阿部ちゃん!」
ハッと気付くと、めめが俺の顔を覗いていた。
透き通った瞳に俺が映る。
グラスを持った手が滑りそうになるのを、めめの手が止めた。
指先が触れ合う。
ほんの数センチ触れ合ったそこから、熱が広がる。
「大丈夫?具合悪い?飲みすぎてない?」
「ッあ、うん…ちょっと酔いが回ったみたい。大丈夫だよ」
「もうそろそろお開きにしよっかって、岩本くんが。俺も明日、早朝には出なきゃだから…」
「そ…っか… 」
「俺、心配だから途中まで送る。少し酔い覚ましに歩かない?」
「え、ぁ、うん…」
俺の返事を聞いて、よし、と頷いためめが、照の元へ行く。
その後、照が締めの一言を告げて、一人ずつめめと抱きしめあって、解散した。
俺だけはめめの隣に残って。
行こっか、と振り向いためめの少し後ろを歩き出す。
肩を並べて隣を歩くには、まだ少し早い気がして。
でも、その隣に立ちたいとすら思ってる。
夜風が冷たくて、少し寒い。
鼻を突き抜ける風が、ツンと刺激を与える。
俺が付かず離れずの距離にいるのを、めめはたまに振り向きながら確認しては、前を向く。
二人分の靴音だけが、コンクリートの上に響く。
少しだけ歩幅を狭めた。
このまま、家に着かなければいい。
もう少し待って。まだ、あと少し。
「阿部ちゃん」
めめが立ち止まる。
気づけば賑やかな街から少し外れて、小さな公園の前まで来ていた。
遠くでは車の音が反響して、ネオンの光で空がほんのり明るい。
振り返っためめが、俺の片方の人差し指を取って、爪先を軽く握った。
「……めめ?」
「俺が、好意を向けて触れていいのは、このくらいだから。少しだけ、このまま俺の話を聞いてくれる?」
「…っ、うん…」
めめの口から、白い吐息が漏れる。
少しだけ鼻先が赤いのは、寒さのせいか、酔ったからだろうか。
俺の指先を見る、少し伏せられた睫毛が瞬きで揺れる。
指先からじんわりと、めめの熱が伝わった。
「…もう一度だけ、伝えたくて」
めめの喉が震える。
俺よりタッパのある男が、少し小さく見えた。
俺は、目を逸らさずに真っ直ぐにめめを見つめ返す。
聞かなければいけない。
曖昧にしてはいけない。
だってもうめめは明日から居ないから。
その声を、ひとつずつ、俺は咀嚼しなくちゃいけない。
「阿部ちゃん…ずっと、好きでした」
「…ぅん」
「俺、必ず阿部ちゃんが喜ぶくらいスゲぇ俳優になって帰ってくるから。その時は、また、メンバーとして…傍に居させて欲しい」
「……うん」
「…ありがとう、阿部ちゃん」
耐えるように微笑むめめに、胸が苦しくなった。
首を横に振ると、ハハ、と笑っためめの手がゆっくりと離れた。
めめの足が、後ろに一歩下がる。
────ここで、お別れだ。
まだ家まで少し距離はある。
だけど、多分、めめはここで俺とさよならをする気でいる。
めめなりのケジメだ。
最後までいたら離れがたくなるから。
「……ごめん、最後まで、送れなくて。自分勝手だけど…ごめん。気をつけて、帰って」
めめが背を向ける。
ねぇ、めめ、俺まだ返事してないよ。
いらないって言われた返事を、答えを、俺はちゃんと見つけたよ。
俺はちゃんと、めめの言葉を咀嚼して、しっかり飲み込んだよ。
ねぇ、めめ、俺を想って泣かないで。
俺に背を向けたのは、そういう事なんでしょう?
最後までカッコつけたがりだもんね。
そういう所も、めめらしいよ。
だから俺も、少しはめめのようになりたいんだ。
理論より、自分の気持ちを出すなんて恥ずかしいね。
────行かないでよ、めめ。
離れていっためめのコートの裾を、指先で引っ張った。
めめの歩みが止まる。
振り返りはしないまま、めめの口が開く。
「…阿部ちゃん、何してんの……離して…」
弱々しく聴こえたその声は、まるで子どものようで。
指先を離して、めめの背中ごと包んで、お腹に腕を回した。
頬を背中に擦り付ければ、めめの鼓動が聴こえる。
「…っ、阿部ちゃん…勘違いしちゃうよ…」
振り返ってくれためめが、俺の肩を掴む。
痛いほど力が入ってる手を握り返した。
静かな夜の下、冷たい風が頬をきる。
とっくに酔いなんて覚めている。
頭はずっと前から冷静だ。
視界が涙で揺らぐ。
零さないように、耐えながら、めめの瞳を真っ直ぐに見つめる。
「………勘違いしてよ」
消え入りそうな声を、めめの唇で塞がれた。
キツく抱き締められるその背中に、そっと腕を回す。
答えとしては、十分だった。
めめに手を引かれ、俺の家より少しだけ近かっためめの家へと連れてこられた。
鍵を開けて、靴を脱ぐ間も惜しいほど、壁に押し当てられてキスを繰り返す。
くっついては離れて、舌を絡めて、深く深く重ねて。
必死にめめにしがみついて、震える足が崩れないように耐える。
「ッあ、はッ…めめ…っ、ちょ、んむ…ッ」
「は、──ッ、ごめん、嬉しくて…」
「ん〜、っ、も…まっ、めめッ…!!」
名残惜しそうに離れためめの唇が、再度、俺の頬にキスを落とす。
それすらも恥ずかしくて、気まずい。
たった数時間前まで、メンバーのひとりとして接していたのに、まさかめめとキスしてる。
もう既に俺の頭の中はいっぱいいっぱいだ。
「……行きたくなくなるじゃん…ほんと、阿部ちゃんズルい。俺の覚悟、返してよ…」
「うん…ごめんね。めめが覚悟してくれてるのは凄く伝わってた。だから、それに応えたいと思ったの」
めめの頬を撫でる。
もう一度、軽く唇が触れ合う。
めめの手が、俺のロングコートに手をかけて、肩から落とす。
そのまま地面へと落ちたコートを、しわくちゃになるからと戻す余裕もなくて。
ベッドに寝かされて、互いの肌が触れ合う。
めめの唇が、耳から口へと流れて、首筋を辿る。
サラサラの髪の毛が、鼻先を擽った。
小窓から見える月明かりが、ぼんやりと薄暗い部屋を照らす。
めめに触られているところ、全てが気持ちよくて。
胸の飾りを啄まれて、甘噛みされて、舐められて。
俺の身体に、たくさんの跡をつけていく。
痛い。愛しい。もっと…。
自分の感情がこんなにも沢山溢れるのだと知って、涙が零れた。
「…亮平」
「ッ゛あ゛…!?」
俺の太ももに吸い付いてためめに、急に名前を呼ばれて、軽くイってしまった。
その声で名前を呼ぶなんて、反則でしかない。
手で自分のモノを隠そうとして、押さえつけられる。
メンバーに、ましてやめめに、こんなにまじまじと全裸を見られて、舐められて、イカされて。
心臓が跳ねまくる。
めめのひとつひとつ、ゆっくりとした愛撫に溶かされる。
「────挿れるよ」
「あ゛、っ、ま…ぃ゛ッ、ぁあァ゛…!!」
大きいものが、腹の奥へと入ってくる。
入らない、なんて思ってたけど、丁寧に解されたそこは、めめのものを一気に飲み込んだ。
めめの背中に爪を立てる。
お互いの痛みを身体に刻み込んで、深く繋がった。
「ぁんッ、めめ、ッあ゛…めめッ…あ、ァ゛あ!!」
「──ふ、ッ…亮平…蓮って呼んで…」
揺さぶられて、頭が蕩けて、涙と汗で歪む視界の中、恍惚とした顔のめめが、俺の目元へキスをした。
離さないで。離れないで。
今さら気付くなんて遅いんだろうけど。
でも、めめを引き止める程の権力も、お金も俺は持っていない。
めめの汗ばんだ手のひらが、俺の前髪をかきあげる。
俺があげれるものは、コレくらいだから。
だから、せめて、めめからもちょうだい。
「────蓮……俺に、残していって…」
ひとつも零さずに。
めめの欲を、俺への想いを、全てここで吐き出して欲しくて。
唇が触れ合って、打ち付けられる腰が早くなる。
ねぇ、泣かないでって。
俺は幸せだよ。
めめみたいなカッコよくて、綺麗な男に、こんな俺が好きになってもらえるなんて夢みたいで。
「ぃ゛ァッ、ふ、んン゛、あ゛ッ!!れんッ、蓮…ッ゛!!」
「────亮平…ッ」
『────』
耳に届いた言葉を最後に、俺は意識を手放した。
シーツの擦れ合う音と、カーテンの隙間から漏れる陽の光で目を覚ます。
自分の部屋とは違う香りに、ふと、ココはどこだと頭の中を整理させる。
「……めめ?」
無意識に出た自分の言葉に、ハッとする。
隣にいたはずのめめが居ない。
「───めめっ!!!、ッい、っ…!!」
咄嗟に起き上がると、腰に鈍い痛みが走った。
夢じゃない。
確かに数時間前までの痛みが、そこに刻まれていた。
辺りを見渡すも、めめの気配は消えていて。
時計の音だけが静寂な部屋で鳴り響く。
視線を下へ向けると、身体は綺麗にされていて、めめのTシャツだけ着させられていた。
少しぶかぶかの、めめの匂いが残るシャツの隙間から、 俺の肌に付けられた無数の赤い跡だけが映えている。
ふと、ベッドサイドのテーブルが目に入った。
鍵と小さなメモ用紙。
手を伸ばして、ベッドの上に腰を掛ける。
少し雑な文字を見て、口元が緩む。
『帰ってくるまで、かぎあずかってて。
行ってきます』
「……鍵はともかく、預かってて、くらい漢字で書きなよ…」
手のひらに握りしめた鍵と、手紙を抱き締めた。
まだ、俺のお腹の中に、めめの温もりが確かに残ってる。
半年後、帰って来た時にはサプライズで空港まで迎えに行ってやろう。
驚いた顔をするめめを笑顔で抱き締めて、それからもう一度、ゆっくりと向き合って。
顔をあげて、 小窓から見える壮大な透き通った青と、それに映える白い雲の先、めめを想う。
夜とはまた違った朝の喧騒。
変わらない街の日常に溶け込んでゆく。
残された俺のいつも通りの日常が動き出す。
「───行ってらっしゃい、めめ」
END.
すっごい長い中、読んでくださりありがとうございます。
めめあべの儚い美しい愛が突然降り掛かってきて、勢いでババッと書きました。
珍しく微えろです。
タイムリーすぎてすみません😇
そして書きながら自分で泣いてました(情緒不安定)
感想ぜひお聞かせください😌
コメント
30件

めめあべ大好きなので もっと見たいです‼️続きとか!(出来れば)この話めっちゃ素敵でした😍儚すぎて気絶しそうでした出来れば!続きお願いしますm(_ _)m
すごくすごく、心にグッときました😢心情も情景も美しすぎて尊い…✨ 🖤💚最高です!
水瀬菜音
13,378
45
#めめなべ
おその★
4,379