「俺のフジだから。今後はフジとお前らが2人きりになるの禁止。」
キヨは不意打ちでそんなことを言ってきた。本人、束縛強いって自覚あるのかなぁ…。
でも、恋人からの束縛は嬉しいなぁ…と俺は呑気に思っていた。
………キヨの束縛が後々さらに強まっていくことも知らずに。
俺の名前はフジ。普段はゲーム実況をしていて、個人チャンネルとは別に「最終兵器俺達」略して「最俺」として活動している。
いつからか、そのメンバーである「キヨ」のことを、俺は好きになってしまっていた。そして、つい最近俺とキヨは結ばれたばかりだ。
「「キヨと付き合った」」という事実だけで、ご飯3杯は行ける。今の俺は冗談抜きでそう思っていた。
「はぁ…幸せだなぁ。。」と俺は最俺ハウスの編集部屋でふと、そう呟いた。こんな独り言聞かれたら「ジーフー?????笑 何があったんだよ〜〜笑 」とメンバーに詮索されるから、今ここにいるのが俺一人で良かった…。と思った。キヨと付き合ってからというもの、頭が完全にお花畑状態になってしまっていることを感じた俺は、「浮かれてばっかじゃダメだよなぁ、よーし !編集するぞ !」と言って、俺はパソコンに向かう。電源をつけて、編集画面を開く。すると突然、肌になにか冷たさを感じた。「ひゃ、っ」と思わず声が出てしまった。何事… !?と思った俺は、すぐさま後ろを振り返る。そこに居たのは綾鷹を持って、「びびってやんのー笑 」とニヤっと笑うキヨだった。
本人曰く、前に俺が綾鷹を飲みたがってたから、わざわざ持ってきてくれたらしい。
俺は「もう、!!びっくりしたじゃーん !!泣」とキヨに一言言ったあと、ちょうど喉が渇いていた俺は、キヨに渡された綾鷹を1口飲んだ。
するとキヨが、「なぁフジー。綾鷹うまいか ??笑」と言ってきた。
…何か嫌な予感がする…。キヨがニヤニヤしている時は大体何かある。もしかすると…虫とか入ってる… !?もしくは、俺の嫌いな納豆…?などと、俺の脳内には嫌な想像ばかり浮かんでくる。真実が知りたくて知りたくて、たまらなくなった俺は「キヨ、何入れた??絶対そんな事言ってくるってことはお茶になにか入れたでしょ。」とキヨを問い詰めるようにそう言った。
すると、「よく気づいたなぁ…こいつ…」とでも言いたそうな顔で「だいせーかーい笑 で、俺が何したかわかる?笑」とキヨは言ってきた。はぐらかしているキヨに向かって、俺は咄嗟に「わかるかぁぁぁーーー !!!」と言った。
俺が早く教えろ !と付け足すように言うと、やっと真実を教える気になったらしく、キヨが口を開く。
「この綾鷹ー、俺がフジに渡す前に1口飲んだ。だから、今俺とお前実質(関節)キスした。」
そうキヨから告げられた俺は、瞬時にそれを理解できなかった。だが数秒遅れて俺の脳内は、やっと状況を理解出来たらしく、「キヨーーーーーーーーー !?!っ」と取り乱した反応を返してしまった。
……だって、予想外すぎた。付き合う前は、友達とはいえ俺はキヨのことがずっと好きだったから関節キスなんて、俺の心臓が持たなくなってしまうと思い、ずっと避けてきた。
なのに…なのに…キヨと言うやつは、俺が関節キスを避けるってわかっていたかのように、何も言わずに飲ませてきやがった !!!!!!泣
でも正直、嬉しいか、嬉しくないかでいうと凄く嬉しい。だって、キヨから関節キスをしたいと思って渡してきたってことだもん。「キヨと同じお茶を飲んだ。」ただそれだけなのに、俺は今にも舞い上がるほど嬉しい気持ちでいっぱいになってしまった。
…って、……よく考えたら、それはもう俺とキスしたいってことな気が…?と思ったが、俺はキヨとのキスを想像しただけで今にも溶けてしまいそうになってしまったので「そんなわけないよな。」と思うことにした。
そんなことを考えているとキヨが、「あ、そういえばさぁ。」と言ってきた。なんだろう?と思った俺は「んー?なにー?」と軽く返事をした。すると、「俺らが付き合ったことってアイツらに言う ??」と俺に問いかけて来た。
そう言えばそうだ…。もちろんメンバーのことは信頼してるし、ヒラは俺がキヨのことが好きっていうのも知っていて応援してくれていたし、「言うべきなんじゃないかなぁ…」と俺はキヨと付き合った時から思っていた。それをキヨに伝える。その後、キヨは俺の返答を聞くなり、
「俺も言うのがいいと思うんだけどさぁ。アイツら絶対茶化してくるじゃーん笑 それだけは御免だわ笑 」と笑いながら言ってきた。
だが、結論としては2人ともメンバーには言うべきだ。ということになったので俺らはLINEでメンバーに
「こーすけとヒラへ。
俺とキヨから大切な報告があります。
12⁄8 最俺ハウスに集まって欲しい !!!」と伝えた。
そしてあっという間に8日になった…。キヨと付き合った。という真実をメンバーに「伝える方がいい」と思う。とは言ったものの、やっぱり言うのには勇気がいる。ヒラとこーすけはきっと祝福してくれるんだろうなぁ。というのはもちろんわかっているが、それでも俺は緊張していた。
怖いよ…。と口には出さないが指先が冷たくなっていた。するとキヨが突然俺の手を掴んで
「手冷たすぎじゃね !!?なんだよフジー笑 お前緊張してんだろ!!笑 大丈夫だよ。アイツらは絶対俺らを祝福してくれるって!!笑 てゆーか、もし祝福してこなかったら最俺脱退してやるわ ! 笑 」キヨは冗談交じりでそう言った。だが、その割には声がやけに真剣だったから、キヨも意外と緊張してるしメンバーが受け入れてくれるか不安なんだろうなぁ。と思った。そんなことを言ってると、「おつかれー」「ねねね、報告って何 !!?」とこーすけとヒラがリビングに入ってきた。その瞬間、一気に騒がしくなったリビングで、俺とキヨは「「一旦静かにしろ !笑」」と2人に向かって言った。
そして、コホン…という動作をキヨがした後、キヨの口から「俺ら、付き合った。」と2人に向けて報告した。その瞬間、一瞬時が止まった感じがした。だがその途端、ヒラが爆速でその空気感を壊した。そして俺たちに向けて、興奮してるようなくちぶりで
「キヨ !!!!泣 フジ !!!!泣 本当におめでとう !!!!泣 正直、お前らふたりは絶対付き合うだろうなぁ…って思ってたけど、ようやく結ばれたんだね…。俺まじで嬉しい…。一生幸せでいろよ !!!」と言ってくれた。
ヒラはキヨからも俺からも恋愛相談を受けていた分、「こいつらは絶対付き合うな…。」と思っていたらしい。笑
「嬉しいなぁ。ありがとう。」俺からヒラに感謝を伝えた。
……問題はこーすけだ。いつもはおしゃべりなこーすけが、口を開かない。これは、まずいか、、?と思ったその時だった。
「おい !!!!!!!ちょっと待て !!!!!!!お前らが付き合ったのはまぁじでおめでたい !!!!!!!!まじでおめでとう !!!!!!!…ただ !!!っ、」そうこーすけは言った。なにか言いかけたが、話すことを一旦やめたこーすけに向かって俺は、「どうしたんだよこーすけ !!」と言った。するともう一度こーすけが口を開く。「お前ら…ヒラも含めたお前ら3人 !!!!!!!ふざけんな !!!!!なんで俺だけ恋バナ省かれてんだよ!!!!笑 なぁフジ、!!!お前ヒラには言ってたんだろ!?笑笑 俺にも今度からは言ってくれよなー !!?今回のこと、俺だけ知らなかったことにめっちゃショックだわ !!!!笑」そうこーすけがふざけてるが若干怒ってる…?といった様子で告げてきた。考えてみればそうだよね。笑 俺たち、2人ともヒラにしか言ってなかったよなぁ。笑 そう考えると、こーすけが可哀想になってきて、俺とキヨはこーすけに「ごめん 笑笑」と笑い混じりで言った。
はぁ…。でもやっぱりそうだ。2人とも俺らを認めてくれて、祝福してくれた。「多様性社会」とは言うものの、「同性の恋愛」を認めるということは簡単なことでは無い。なのに、メンバーは当たり前のように「おめでとう。」や「幸せにな。」と暖かい言葉を俺たちにかけてくれた。
これって本当に幸せなことだよな。
祝福してくれた2人のためにも、俺たちこれからたくさん幸せになってやるんだ。キヨ。俺たちのこと、こーすけたちに伝えられて良かったね。俺はそう心の中でキヨに向かって言った。
すると突然、キヨが予想外のことを言ってきた。
「あのー、メンバーだからないとは思うけど、今日からは俺のフジなんで、2人っきりで部屋にいるとか話すのとか、今後禁止だからねー。俺のだから。俺のフジだからさ。」キヨは「当然だろ ?」というようなくちぶりでメンバーに向けてそう告げた。
「なんでだよ 笑笑笑笑笑笑笑笑」とこーすけは瞬時にキヨにそうツッコミをいれた。正直俺もキヨの唐突な発言に、「またキヨが冗談言ってる笑 」と思ったが、こーすけの言葉を聞いてキヨが「は ?俺の恋人に手出されたら困るだろ。だから。」と低い声で言った。
これはキヨ、ガチで言ってるやつだ…。と俺含め3人全員がそう思っただろう。2人は「ぁぁ…キヨってやっぱメンヘラだよなぁ…」とでも言いたそうな顔でキヨを見ていた。
するとヒラとこーすけが俺に向けて「フジ、強く生きろよ。」と言ってきた。
2人はキヨの束縛を「大変そう」と思うかもだが、俺は正直嬉しかった。俺自身、メンヘラ気質があるからかもしれないが、好きな相手からの束縛は嬉しいものだ。キヨに「俺の」と言われたことも本当に嬉しい…。こうゆう、ふとした瞬間にキヨと付き合ったんだ。ということを俺は実感している。
「キーヨ。束縛してもいいけど、ゲーム実況2人で撮れなくなっちゃうから。視聴者さん悲しむから、実況はさせて !笑」俺はキヨにそう伝える。俺らの本業とも言えるゲーム実況をできなくなるのは辛い。バイト組や、音楽組など、俺とほか2人をペアとして推してくれてる人がいるっていうことを忘れてはいけない。
キヨは「は、?俺束縛いつした、?(無自覚)まぁ、、、んー、でもなぁー、、しょうがねぇだろ!!笑 実況……もう撮るな !!!俺とだけ撮れ !!!笑」と言ってきたが、その後すぐ「まぁ、さすがに冗談だわ笑 動画はいいが、動画外は完全NGな。笑 」そう付け足すように言った。
それを聞いた俺は「キヨもだからね ?笑」とキヨばかりに縛られてるんじゃあれかなぁ。と思って、便乗するようにそう伝えた。
すると、「当たり前だろ。俺はフジといれたらそれでいいんだからさぁ。」キヨがそう言って俺を抱きしめてきた。嬉しくて、好きだ…という気持ちが溢れてしまった俺は、ふたりが見てることをすっかり忘れて「キヨ、大好き。」とキヨに向けて言ってしまった。
すると…
「あのー、、俺たちいるの覚えてるー ????イチャイチャすんなー????笑 羨ましいから笑」とふたりが言う。
俺たちが目の前でイチャイチャしてしまったせいで、今日から最俺ハウスでは「キヨ・フジイチャイチャ禁止令」というものができたのであった。笑
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私がアプリを起動していなかった間に、沢山の反応をいただけていて、とても心が暖かくなっています……。 別アプリをメインに投稿しているので、ここでの投稿をしないまま月日が流れていました。 今も変わらず、🐱さん、🗻さん、🦀さんが大好きなので、またこっちでも投稿して行こうかなと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。S