「お前が悪いんだぞ、」
理性の糸がプツリと切れた音がした。
不安と、フジを俺のものにしたい。という気持ちでいっぱいになった俺は、そうフジに告げて、強引に━━をしてしまった。
うぃーす。どーもキヨでーす。
俺はキヨ。個人でのゲーム実況はもちろん「最終兵器俺達」略して「最俺」としても活動しているゲーム実況者だ。
そのメンバーである「フジ」と俺は2週間ほど前から、付き合うことになった。
フジが俺の恋人になっただなんて…。今でも信じられない。何より色々あったが、あの時フジが死なないでいてくれて、本当に良かったと思っている。
今日は2日ぶりにフジとふたりで会う。会って、マリオカートの実況を撮る予定だ。俺は、家を出る前「っしゃぁ !!今日はフジに会えるー!!」と思わず口に出してそう言ってしまった。最近の俺は自分でも思うほど、浮かれていると思う。本当、頭お花畑野郎だわ 笑
「行ってきます。」俺はそう言って家を出た。
好きなやつに会えることが嬉しくて、俺はうきうきした気分で最俺ハウス(実況スペース)に向かった。いつもなら、「最俺ハウスまで行くのだりぃ、、」となるが、フジに会えるとなれば話は別だ。普段は憂鬱な電車も、商店街の道も、今は全てが色鮮やかに輝いて見える。「はぁ…やっべー、本当に俺浮かれすぎだなぁ…。」と俺はぼそっと呟いた。
そんなことをしている間に、最俺ハウスに着いた。俺はいち早くフジに会いたくてドアを少し乱暴に開けて部屋の中に飛び込んだ。
すると、すぐに「キヨ 〜〜!」という声が聞こえる。それはヒラの声だった。「ち、っ。なんでヒラいんだよ !!!今日の最俺ハウスは、俺とフジで使うって約束だろ !!」と俺はありもしない約束を勝手に作ってそう言った。するとヒラは「そうだっけ ?まぁいいじゃん !」と笑顔で俺の背中をパシパシ叩きながらそう言った。
そんなことをしていると、その騒がしさに気づいたのか、奥の部屋からフジが出てきて「なになに〜 ?なんか騒がしいねぇ。ってあれ !キヨ着いてたんだぁー !」と言い、ふつーな反応を見せる。…ヒラがいるせいで、二人っきりの時の可愛いフジを見れないじゃねぇか。と俺は思った。だが、フジの顔を見れた。声を聞けた。今はそれだけで幸せな気持ちでいっぱいになった。今ここにヒラがいなかったら、俺はフジを抱きしてめていたと思う。本当は今すぐにでもフジを抱きしめたいが、最俺には「キヨフジイチャイチャ禁止令」とかいう謎の約束があるため、ここでフジとイチャつくことはできない。絶対いつかこの約束ぶっ壊すからな…。と本気で心に誓っている俺を横目に「キヨ。配信。時間だよ?ほら始めよ !」とフジがそう俺に告げてリビングを後にした。
「ぜってぇ配信部屋入ってくんなよ…。俺とフジを2人きりにさせろよなぁ!!」とヒラに圧をかけたあと、俺もリビングを後にして配信部屋に向かった。
(ゲーム実況撮影開始)
ゲーム実況を撮っている間は、「恋人」ではなく「友達」という関係に戻る感じがする。フジは相変わらず「雑魚がよォ!!!」や「しねッッッ」などの暴言を吐きまくっている。もちろん、俺もだ。(キリッ)
マリカのレースが最終に差し掛かった頃だった。現在の順位が12位中10位のフジは、後ろから今にも順位を抜かれそうで焦っているのか、「…っ、!!ちょ、っ、あぁ、//やばい、っ…!!」と完全にアウトな声を出し始めた。
フジがゲーム中に喘ぐのはいつもの事と言ったらいつもの事だが、フジと恋人になった今、その声を俺以外に聞かれたくなかった。その後も「あっ、//」「ね、ぇ、っ/無理やばい、っ」などと、フジのアウトな発言は止まらなかった。
これ 、、本人自覚あるのか??
気になった俺は一旦動画を止めて、聞いてみることにした。
「フジさぁ、やばい声出してる自覚ある ?」俺は濁すことなくド直球にそう問いかけた。するとフジは顔をひきつらせてから、「え、!?俺の声やばかった、?え、キモかった、、?てかどんな声だった…!?」と俺に必死になって聞いてきた。変だったとか、キモかったとかそんなわけないじゃねぇか。と思った俺は、真実を教えてやるかぁ。と思い、フジに「いや、お前さっきからめちゃくちゃ喘いでるぞ。」と伝えた。するとフジの顔がみるみる赤くなってくる。……やっぱり、自覚なかったんだ。フジは耳まで真っ赤になってしまって、そんな顔を見られたくなかったのか、俺から顔を背けた。さっきまで他の奴らに聞かせたくない。とか思って嫉妬していたのに、可愛い顔だなぁ、もっと見せてほしい。とフジの可愛さに一瞬にして見惚れてしまった俺は「フジ、見てこっち。」と言った。するとフジは「ん、」と言って背けていた顔を俺の方に再び向けてくれた。自分が「喘いでた」と言われて恥ずかしさのあまり顔が真っ赤で、それと同時に、無自覚にもこんな声を出していて、俺に嫌われないか不安にでもなったのか、目が若干潤んでいる。
あれ、何かおかしい。フジって、こんなに可愛かったっけ、?前から可愛いことは知っていたが、いつにも増して可愛すぎるフジの顔から、俺は目が離せなくなっていた。するとフジが「ねぇ、キヨ、?どうしたの、?」と上目遣いでそう聞いてきた。
……上目遣いだって、どうせ無自覚なんだろ。他の奴らにも同じことをしていたら、確実に今頃押し倒されたりでもして、犯されていると思う。フジには、自分がかわいいってことを自覚してもらわないと危ないな。と思った俺はわざとフジの耳元へ急接近して、
「お前、可愛い顔してんなぁ。そんな対応見せてると、俺お前に何するかわかんねぇぞ。」と低い声でそう言った。
もちろん、大切なフジにお互い了承もえてない状況で手を出したりはしない。だが、今回に限ってはフジに「危機感」を覚えて欲しかった。俺以外の、恋人でもない危ない男にフジが何かされたら…。と考えるだけで俺は気が気じゃなくなりそうだったからだ。
「…っていうのは冗だ…」っていうのは冗談だが、お前の行動いちいち可愛いから、自覚しろよ。他の奴の前ですんなよ?と言おうとしたその時だった。フジが俺に思いもよらないことを言ってきた。
「俺、キヨにだったら、何されてもいーよ、?」
こいつは本当に危機感がなさすぎる。こんなの世の奴らが聞いたら、確実にお前犯されるぞ。まじで。俺は本気で監禁でもしてしまった方がフジの身が安全だし、今日から俺の家に住ませて「一生」他の奴らと会わせないようにしようかな。と本気で思った。
だが、そんなふうに冷静にフジを心配していたのもつかの間、俺は理性を保つのに精一杯になっていった。可愛いフジを俺だけのものにしたい。フジの可愛い姿をもっみたい。フジと━━したい。
理性を保つのにギリギリになった俺は、フジを壁の方に追い詰めて、フジを手と足で壁に押し付け、動けないようにする。そして、
ドンッ、
「キヨ、?」不安そうな顔でフジが言う。そんなことお構い無しに、
「フジ、お前が悪いんだからな。」
そう言って、俺はフジにキスをした。
フジが、「俺になら何をされてもいい。」だなんて言ったのが悪いんだ。こんな可愛い奴を前にして今まで理性を抑えられていたのが奇跡だったんだ。今まで俺をつなぎ止めていた理性は、今のフジの言葉によって、「プツン」と切れてしまった。
初めてのフジとのキスの味は、よく覚えていない。ただ、1秒でも長く、フジを感じていたかった。フジを「俺のだけにものだ。」と思っていたかった。
最初は軽いキスだけの予定だったのに、何度もフジとキスをしていくたび、俺の理性はさらに壊れていく。
「フジ、口開けて。」俺は気がついたらそう言っていた。フジは、驚いた様子で「…ちょ、まっ、てキヨ、…!!!」と言ってきたが、その声はもう俺には届かない。
フジの口を自分の舌で強引にこじ開けた俺は、フジの舌と自分の舌をしっかりと絡ませる。フジは息が苦しいのか、顔がさっきよりも真っ赤になっていた。「ごめんフジ。苦しいよな。でも、もうちょっとこのままでいさせてくれ。」心の中で俺はフジにそう伝えた。途中途中、フジが「…、っ」と口から漏らす声は今まで聞いたことがないくらい、すごく、すごく、甘い声だった。
…ダメだ。このままじゃキスだけじゃすまねぇ、そう俺は思ったが、どうにも体が言うことを聞かない。
もうダメだ。……止まらない。止まれない。
そんな時だった。「キヨー?フジー?なんかさっきから実況撮ってる割にはめちゃくちゃ静かだけど、何かあったー ?機材トラブル ??俺なんかできることある ??」とヒラがいきなり部屋に入ってきた。
もちろん、俺とフジがキスしているこの状況を見られてしまった。さすがにやべ、っと思った俺とフジは瞬時に唇を離し、お互い急に理性が働いてきたのか、恥ずかしさが込み上げてきて、顔を背けた。「入ってくるなよ!!!」と伝えていたのに、部屋に入ってきたことに関しては後でしっかり説教しなきゃだめだな。と思ったが、完全に歯止めが効かなくなっていて、あのままだったら俺はフジに何をしてしまったか分からなかったから、「ヒラ、ナイスタイミング…」と俺は心の中で密かにそう思った。
そんなことを思っていたのもつかの間。ヒラがニヤニヤしながら、「お二人さん !!お熱いですね〜 !!」と言ってきた。俺とフジは恥ずかしさでいっぱいになり、「「うるせーー !!!!あっちに行けッッッ」」とふたりして俺らを茶化しているヒラに向けてそう言った。
今になってよく考えてみれば、フジとの「初めてのキス」をこんなにも強引にしてしまって良かったのか…。と俺は思ったが、どう考えても誘ってきたフジが悪いので、しょうがない。しょうがない。と自分に言い聞かせた。フジも嫌がっている感じではなく、顔がとろんとしていて、息は苦しいものの、嬉しそうな顔だったので、内心、自分とのキスを拒絶されなくて良かった…。とそっと胸を撫で下ろした。今度キスする時は、誰も来ないところで、ゆっくり、じっくり、フジとのキスを味わいたいな。と俺は思った。
そして、数日後。ヒラが俺とフジのキスのことをこーすけにも伝えたらしい。それからというもの、この話は最俺共通での話題となり、俺たち2人はこのことをずっといじられる羽目になりましたとさ。
コメント
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ア…… 𓏸︎︎︎︎𓈒*°꒰ঌ( ˘꒳˘ )໒꒱*°𓈒𓏸︎︎︎︎ †┏┛墓┗┓†
過度すぎる表現までは達していないと思いますが、少しR18です。 気分を害しました方がもし居たとしたら、申し訳ないです。