:前回の続きです。:
:残りの遺言を受けるのはタクヤと千冬…。:
:どんな内容なのか!?:
:では、どうぞ…。:
「タクヤはさ、一番武道の近くにいたね。病気とか一番気をつけなさいよ?体弱いんだから。おじいちゃんになる前に私のところに来たら許さないからね?」
「…。」
…結局、こういう沈黙が一番辛い。
「あとは…ちふちゃんか。ちふちゃんは、武道の〈相棒〉だって言ってくれた。私は、それが嬉しかったなぁ。あと、あの子を突っ走りすぎないように制御してくれた。これからも、よろしくね。」
そのことを聞いて、俺はいろんな気持ちが込み上げてきた。
なんで…俺は…この人を守れなかった…。
俺は後悔の思いで胸がいっぱいになった。
俺がなんて言ったのかは、もう忘れてしまった。いや、何も言ってないかもしれない。
「じゃ、ここにはいないけど、武道にも伝えて。」
そう言うと、相棒の母さんは…いや、レイアさんは、遠くを瞳に映して言った。
「って。」
そう言うと、俺らのほうを向いて、相棒と同じ笑い方をした。
可憐で、魅力的な人だ。
俺は、そう思った。
:武道sideに戻ります:
「…相棒。」
千冬がそう話しかけてくる。
「…何。」
俺は、冷たくそう答えた。
「…俺ら、一人一人遺言を言われたんだ。もちろん、相棒にも、遺していったよ…。」
俺は、それを聞いて目を丸くした。
「…なんて、言ってた?」
俺は、やっとの思いでそう答える。
「『一生、死んでも愛してる。』…だって。」
俺は、その言葉を聞いて、やっとの思いで理解した。
母さんは、何も後悔なんてしていなかった。
「あの人は…。レイアさんは…。お前の誇れる〈母さん〉だよ…。」
「なんで千冬まで泣いてんの…。」
そう言って、二人で見合って大声で泣いた。
…しばらく泣いたころ、マイキーがこちらに全速力で駆けてきて、俺らを拾ってバイクへと走った。
俺はわけがわからず、「なんで!?」と大声で言った。
「お前の父さんがココ担当のハンターだってことが分かったからな。ココたちも終わってからここに来たら、あいつ足を撃たれた。」
「え!?」
俺は思わず大声を出す。
「騒ぎすぎ。とりあえず、あの屋敷の外にいた仲間は全員第二アジトへ連れて行った。」
そう言って、マイキーは俺をバブの後ろに、千冬をニンジャ(春千夜の愛機らしい)の後ろに乗せた。
出発をしようとしたとき、俺の脚に違和感が走る。
少し痛むと、すぐに激痛が走った。
俺は思わず、マイキーの服をぎゅっと掴む。
マイキーは、「撃たれたか?」と優しく聞いてくれた。
俺は歯を食いしばっているので精一杯だったから、マイキーの背中に頭をつけて答えた。
その答えでマイキーは察したらしく、「大丈夫だ、もういない。」と返してくれた。
俺は疲れもあって、段々と意識が遠のいた。
:処刑前レイア視点:
私を直々に裁くのは夫で、どこかの知らない輩はいなかった。
「結婚式も処刑もあなたと一緒とは思わなかったわ。」
私はそう、夫に言う。
夫は、ただただ冷たい目で私を見た。
…こんな夫だが、昔は武道みたいに、きらきら笑ってた。
もちろん、少し不器用ではあったが。
私が処刑台に首を置かれたとき、ようやく、「死」の実感が湧いた。
「…言い残すことは。」
夫が私にそう聞く。
もちろん、たくさんある。だけど、そうつらつらと言ってられない。
だから、私は、愛人ほど短く済ませてしまうのだ。
「…景章さん、愛してます。」
そう答えると同時に、私はすべての感覚を閉ざした。
:マイキー視点:
…昔の俺みたいだった。
今の、タケミっちの姿が。
タケミっちが気絶したので、俺は自分の特攻服でタケミっちと俺を繋いでバイクを走らせていた。
…もう、空っぽだ。
そう思うのは何度目か。
俺は、そのたびに自分が嫌になる。
交差点の信号が赤に変わった。
その瞬間だった。
暴走したトラックが、俺のバイクに突っ込んできたのは。
マイキー殺害予定まで あと 16日
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