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💛···▸後輩
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・ご本人様には一切関係ございません。
・長め。(お時間ある時にぜひ🙇♀️)
苦手な方はスクロール❌
お好きな方は是非ご覧下さい。
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[8話]
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岩本side
❤️「なんか照、今日元気ないよね」
ーー朝。
ボーッと頬杖をついたまま窓の外を眺める岩本を見て、宮館は思いついたようにそう言った。
💛「そんな事ないよ」
すぐに視線を戻した岩本は、いつもの様子で返事をするが、その声には確かに厚みも感情を乗ってない感じがする。
もちろん、その原因は昨日の出来事にある。
感情的になって深澤に自分のイライラをぶつけたせいで、想像以上に深澤を傷ずつけてしまったことが心残りで、とにかくずっとモヤモヤしてる岩本。
💛(やっぱ謝るべきか……)
心の中でそう呟くと、岩本は小さく息を吐いて、再び窓の外に視線を戻した。
────────────
────────
深澤side
ーー昼休憩。
深澤は友人の渡辺と授業終わり、教室に戻ろうと廊下を歩いていた。
すると深澤の視線が不意に前方へ向く。
自分の教室の前。
壁に寄りかかるようにして立っている、見覚えのある人影があった。
💜(え…なんでいるんだよっ…!)
一目見たらすぐに分かった。岩本だ。
すると。
深澤の存在に気づいた瞬間───
💛「深澤先輩、ちょっといいですか。」
💜「……っ!!」
突然目の前に現れた岩本を見て、深澤は大きく目を見開いた。
なんでよりによって、今日……。
昨日の出来事が頭を過ぎる。
生意気な雰囲気は何一つ纏ってなくて、妙に真剣で必死そうな顔してたにも関わらず、あの突き放すような冷たい言葉。
いつもなら絶対に言い返せたはずなのに、昨日は何故か言い返す気力も湧かなかった。
別に傷ついた訳じゃないけど、なんか嫌だった。
一緒に居たら、もう何もかも崩れそうで。
岩本の発言次第で、喜怒哀楽全て巻き起こる。
とにかく自分は岩本に振り回されてばかり。
💜「翔太…!俺ちょっと忘れ物した!」
💙「は?今?」
これ以上関わっていたらろくなことがない。
目の前の岩本を無視して回れ右をする。
そのまま全力疾走でその場から逃げ出す。
💛「え、ちょっと待ってください」
後ろから聞こえる岩本の声を無視して、
ただひたすらに足を動かした。
すぐに背後から追いかけてくる足音が響く。
💜「…ちょ、…ついてくんなよっ!!」
💛「嫌です。止まってください先輩」
💜「無理っ…!!」
深澤は声を荒らげながら必要に走り続ける。
岩本の声が徐々に近くなってきて、
無意識に足の速度が上がる。
廊下を駆け抜け、階段を下りる。
昼休みの喧騒が遠ざかり、人気の少ない通路へと差しかかったところで、深澤はようやく周囲を見回した。
どこか、隠れられる場所は……。
キョロキョロと視線を巡らせていたら、さっき下りてきた階段から、まだ諦めずに追ってくる岩本の足音が聞こえてきた。
💜(やべっ…!!)
咄嗟に目の前にある空き教室へ飛び込んだ。
すると、
室内にはロッカーがずらりと並んでいた。
💜(おっ、ラッキー……!)
深澤はロッカーの中に身を隠した。
乱れた呼吸を必死に整える。
心臓の音がやけに大きく聞こえてくる。
流石にここならバレないだろ、と深澤は小さく息を吐いてホッと胸を撫で下ろした。
すると、次の瞬間。
空き教室の扉が開く音が耳を揺らした。
深澤の身体が一瞬で強張る。
足音が近ずいてくる。
一歩、また一歩と足音が響く。
やがて、足音はロッカーの前で止まった。
そしてついに───
ロッカーが錆びた音を立てて開いた。
💛「あ、いた」
その声に、深澤の肩がビクリと跳ねる。
恐る恐る顔を上げる。
ロッカーの扉を片手で押さえながら、こちらを見下ろしてる岩本の姿があった。
💜「なっ…!なんで見つけるんだよ!!」
💛「だって先輩が勝手に隠れるから」
💜「それはお前が追いかけてくるからだろ!?」
深澤は上がりきった心拍数に急かされるように勢いのまま早口で言い切る。
こんなところまで追いかけてこなければ、隠れる必要なんてなかったのだ。
逃げる自分も自分だが、追いかけてくる岩本だって十分に悪い。
……なのに。
目の前の後輩は、深澤の気持ちなんて知らずに、無表情でこちらを見下ろしている。
💜「……もう追いかけてくんなよ」
💛「じゃあ、話聞いてください」
💜「…分かったよ!!早く言え!」
深澤が声を雑にしてそう言うと、
岩本は一度視線を落とし、
言葉を選ぶように僅かに口を開いた。
💛「……昨日のこと───」
岩本が言葉を続けようとしたその時。
『こっち更衣室だよね?』
『うん!今日はそこで着替えていいんだって』
空き教室の外、廊下側から女子の声がした。
しかも数人じゃなく大勢の足音。
複数の足音はこちらに近ずいてきている。
💜(…ん?……まさか)
深澤は視線を泳がせながら、恐る恐る空き教室の扉に目をやる。
その入口に掲げられてる表示が目に入った。
───”女子更衣室”。
💜(……っ!!?)
深澤は慌てて岩本の腕を掴んだ。
突然引っ張られた岩本は僅かによろめいて一歩前に足を踏み出す。
💛「…急になんですか?」
💜「早く隠れろ!!」
💛「は?なんで?」
💜「いいから早くっ…!!」
💛「……え、ちょっ、」
岩本の腕を強引に引くと、まともな返事を返す暇も無く、ロッカーの中へと引き寄せた。
錆びた鈍い音を立てて、
ロッカーの扉はガチャンと閉まった。
それとほぼ同時に、更衣室の扉が開いた。
幸い外の様子は見えないが、確かにロッカーのすぐ側に女子の楽しげな話し声が入ってくる。
いや、そんな事よりも────
💛「…先輩、どういうつもりですか?」
💜「……っごめん、つい…」
💜(せ、狭い…)
深澤の意識は、女子なんかよりも遥かに至近距離にいる岩本に持っていかれてた。
狭い空間に二人きり。
身体が密着したこの状況、深澤は息を吸うことすら遠慮してしまっていた。
💜(近い……)
深澤は出来る限り身体を離そうと配慮するが、
その勢いで、肘がロッカーの壁に当たった。
コツンッ、とロッカー内に軽い音が響く。
💛「……先輩」
💜「ご、ごめんって……!」
💛「はぁ…もう少しこっちに寄って下さい」
💜「えっ、」
次の瞬間、岩本の腕が腰に回ってきてグイッと身体を引き寄せられる。
更に近ずいた距離に、深澤の息が止まる。
💜「お、おいっ…近い…!」
💛「先輩が落ち着きないからでしょ」
岩本は無表情を崩さないまま、深澤の腰に回した腕を緩める所か、むしろ逃げ場を塞ぐように更に引き寄せた。
💜「お前なぁ……っ、!」
💜「いい加減に───」
深澤が勢いのまま怒鳴ろうとした刹那、
自身の口元に、岩本の手が伸びた。
💜「んぐっ……」
💛「先輩、声大きいです」
冷静さが際立つ岩本の声が、
深澤の耳元でやけに大きく響いた。
文句を言おうにも、口元を塞がれていて声にならない。
深澤は抗議するように岩本の手首を掴んだが、岩本は人差し指を唇の前に立て、静かにするよう目で訴えてきた。
💜(っ……むり、近い…)
深澤は完全にキャパオーバー。
これはどういう状況。
なんでこうなった。
焦りで頭の中が完璧に真っ白。
顔が熱いのが、自分でも分かる。
💜(もう早く終われ……!!)
ただひたすらにそれだけを願っていた。
自分だけこんなに意識してしまっているのが気に食わなくて、必死に視線を逸らす。
すると、そんな深澤を見た岩本は「そういえば」と小さく瞬きをした。
それと同時に口元から手が離れる。
💜「な、なんだよ……」
💛「さっきの続きなんですけど」
💜(さっきの続き……?)
深澤は少し記憶を遡り、
それらしき出来事まで辿り着いた。
多分、ロッカーに入る直前の出来事だろう。
岩本がなにか言いかけてた。
岩本は一瞬だけ唇を結ぶと、逃げるように逸らしていた視線を、もう一度深澤へと戻した。
💛「昨日は、すみませんでした」
💜「……え?」
深澤は突然の謝罪に、目を丸くする。
こんな素直に謝られたの始めてだ。
ていうか、そもそも岩本が昨日の出来事を覚えてるなんて予想外だった。
💜「いや……騙されないぞ、それ演技だ!!」
💛「は?いや、違いますけど」
💜「嘘つけ!また俺を馬鹿にする気だろ!」
そう言い切った深澤は、岩本の反応を窺うように顔を覗き込んだ。
どうせ何か言い返してくるはずだ。
いつものように、意地悪く笑いながら。
そう身構えていたのだが───。
💛「……はぁ」
返ってきたのは、呆れたような深いため息だった。
岩本はわずかに肩を落とすと、少し困ったように目を伏せた。
すると───。
💛「許すのか許さないのか。どっちですか?」
💜「…えっ」
突然の圧をかけるような問い掛けに、
深澤は思わず言葉を詰まらせた。
別に昨日の出来事にそこまで怒ってる訳じゃないけど、あんな冷たい言い方をされたらそりゃ傷つくに決まってる。
だからこんな簡単に許すのは、気に食わない。
💜「ゆ、許さない…!」
意地を張って”許さない”を選択してしまった。
口にした途端、岩本が黙り込んだ。
……え、なになに。もしかして怒った??
ほんの一瞬だけ、不安がよぎった。
すると、次の瞬間────
💛「じゃあ、外に放り出しますね」
💜「……は??」
深澤はポカンと口を開けて固まった。
その直後、岩本の手が深澤の背中に添えられる。
そして、そのままロッカーの扉へと深澤の身体をトンッと押した。
深澤は慌てて扉に手をつき抵抗する。
💜「おいっ、ふざけんな……!」
💛「じゃあ許すって言ってください」
💜(なんて卑怯なやつ…!!)
謝罪を受け入れるかどうかという、もっと真剣な話だったはずだ。
それなのに、いつの間にか自分の身の安全と引き換えに許すかどうかを迫られている。
しかも、こいつ……絶対に楽しんでるだろ!
💛「ほら、早く」
岩本は回答を急かすように、グイグイと深澤の肩を強く押し続ける。
それと同時に、ロッカーの扉に手をかけた。
やばい…!こいつ本気だ…!!
とうとう耐えきれなくなった深澤は、最低限に声を抑えながら叫ぶ。
💜「わっ、分かった許すから…!!」
💛「……」
💛「そうですか」
岩本の手が、肩からそっと離れた。
何で謝罪を受け入れるだけでこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
ついさっきまで俺を脅していた癖に、その本人は全く反省してる顔一つ見せない。
もうこいつには敵わない……。
そう結論づけ、深澤はすっかり気を抜いた。
その時だった───。
ガチャッ、
💜(……はぁ…!?!)
不意に視界が明るくなったと思ったら、
岩本がロッカーの扉を平然と開けてきた。
何の前触れもない行動に、深澤は目を丸くする。
💜「お、おいっ、何して……」
言い終わるよりも早く、
岩本の手が深澤の肩に添えられた。
そして───
トンッ。
軽く背中を押され、深澤の身体がロッカーの外へと押し出される。
💜「……っっ!!!?」
深澤は反射的に目を瞑る。
女子の叫び声が教室に響く───
と思っていたが、いつまで経ってもそれらしき声は聞こえない。
恐る恐る片目を開ける。
目の前に広がったのは、誰もいない静まり返った更衣室だった。
💜「……だ、誰もいない…??」
呆然とその場に立ち尽くす深澤の背後から、岩本が顔を覗かせる。
💛「もうとっくの前に出ていきましたよ」
💜「はぁ…!?なんで先に言わねぇんだよ!」
💛「この状況を利用して許してもらおうと思ったからですけど?」
あまりにあっさり返された残酷な回答に、
深澤は思わず頭を抱えた。
なんでこんな奴のこと許したんだ……。
先程の自分を恨むにも恨みきれない。
💜「…やっぱ許さない!!」
💛「えー」
💜「お前本当に反省してんのか!?」
💛「してますよ」
💜「嘘つけ!!」
そもそも、謝りに来たくせに人をロッカーに押し込んで、挙げ句の果てには脅して許させるなんて、どう考えてもおかしい。
深澤は腕を組み、ぷいっと顔を背けた。
そんな深澤を、岩本は暫く見つめて黙っていた。
先程までのからかうような表情が少し和らぐ。
💛「……じゃあ」
不意に、静かな声が落ちた。
深澤が怪訝そうに目を向けると、岩本はまっすぐこちらを見ていた。
💛「どうしたら許してくれますか?」
岩本の声は、いつになく真剣だった。
いつもなら、こちらの反応を窺うように意地悪な笑みを浮かべるくせに。
今はただ、深澤の返事をじっと待っている。
……なんだよ、そういう顔もできんじゃん。
深澤は腕を組み、わざとらしく視線を逸らした。
💜「んー…」
簡単に許すのはもちろん嫌に決まってるが、このまま許さないと意地を張るのは流石に大人げない気がする。
しばらく考え込んだ末、深澤はふと思いついたように顔を上げた。
💜「……じゃあ」
💛「はい」
💜「明日の文化祭、なんか奢れ!」
思いつきで口にした要求だった。
けれど、言い終えた途端、深澤は少しだけ得意げに胸を張る。
どうだ。これなら文句もないだろう。
ところが、岩本は拍子抜けするほどあっさりと頷いた。
💛「…分かりました」
💜「絶対だからな!逃げんなよ!」
💛「もちろん」
💛「約束ですから」
その一言を最後に、二人の間に静けさが落ちた。
さっきまで騒がしかった教室も、
今ではすっかり本来の静けさを取り戻していた。
────────────
────────
ーー放課後。
帰り支度を済ませた岩本は、鞄を肩に掛け、昇降口へと続く廊下を歩いていた。
見慣れた教室の前を通りかかった岩本は、
何気なく開いた扉の向こうへ視線を向けた。
そして、足を止める。
💛(……あれ)
教室のいちばん後ろ。
窓際の席で、ひとりの生徒が机に伏せていた。
見間違えるはずもない。
───深澤だ。
💛「……」
岩本は廊下を振り返った。
このまま帰ればいい。
わざわざ声を掛ける必要もないし、起こしてやる義理だってない。
……それなのに。
気づけば岩本の足は深澤に向かって動き出した。
💛(寝てる……)
近くで見る寝顔は、普段とずいぶん印象が違う。
いつもはうるさく文句ばかり言ってくるくせに、
こうして眠っていると、ひどく無防備に見えた。
うるさくて嘘つきで鈍感で、
岩本の気持ちに全く気づかない深澤は、
きっと、これからも変わらない。
でも、どれだけ意地悪をして、どれだけ素っ気なくされても。
結局、岩本はこの人のことを嫌いになんてなれないだろう。
我ながら面倒な感情だな、と自分で苦笑しながらも、口元は微かに緩んでいる。
眠ったまま深澤を穴が空くほど見つめる。
そして───
💛「……すき」
そのたった二文字を口にした。
ぽつりと零れた言葉は、
静けさが目立つ教室に沈んだ。
岩本は自分の言葉を確かめるように、ゆっくりと息を吐く。
そして、やれやれとでも言いたげに笑った。
💛「…なんて言っても、どうせ信じないでしょ」
そんなことを思いながら、鞄を手に取る。
そのまま深澤を置いて教室を出た。
明日もきっと、いつも通り。
素直になれない先輩と、素直になれない自分。
それでも今だけは、この気持ちを誰にも知られずにいられることが、少しだけ心地よかった。
岩本の足音が廊下の向こうへ遠ざかっていく。
やがて、その音も聞こえなくなり、教室には再び静寂が戻った。
深澤は机に伏せたまま、ぴくりとも動かなかった。
───いや、正確には動けなかった。
💜(……え???)
つづく。
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コメント
5件
fkさん起きてるううううう!(歓喜) そろそろちゃんと距離縮まって欲しいですね…笑
あ、💜さん起きてたのね。 やっとかよぉ…
ああ…第8話、めっちゃよかったです🥀💛 謝りたくて必死に追いかける岩本と、逃げる深澤の構図がもう…! ロッカーに二人きりになったときの距離感、深澤の「近い…」って心の声がすごくリアルでドキドキしました。しかも岩本、最後にあんな一言こっそり呟いて…! しかも深澤、起きてたんだよね?? 「え???」で終わるところがもう最高すぎて続きが気になりすぎます……😭🔥 ホタルさんの二人の心情描写、丁寧で大好きです。次話楽しみにしてます🌙🤍
#ご本人様には関係ありません
聖奈
1,392
#ちいかわ
紫蘭
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