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「ん~……」
頭が痛い。
枕元のアラームと、殴られたような頭の痛みに魘されながら准は目を覚ました。隣を見ると、同じベッドで涼がすやすやと気持ちよさそうに寝ている。
「……あれ?」
直後伝う、嫌な汗。昨日の記憶が曖昧であまり思い出せないけど、一緒に寝たのか?
でもお互いちゃんと服は着てる! 別に何も起きなかったはずだ。……と自分の胸に手を当てて頷いた。
「うー……あ、准さん。おはようございます」
アラームが鳴り続けていたせいで、涼は起きてしまった。急いで音を止め、深呼吸する。
「おはよう。俺達、昨日一緒に寝たんだ?」
「え? えぇ、そうですね」
眠そうに欠伸をする涼は、至って普通。あ、これは絶対大丈夫なやつだ。一安心し、隠れてガッツポーズした。
「そっかそっか! いやー、よく寝たなぁ! お前は?」
「スッキリですね。久しぶりに熟睡できました!」
時計を一瞥し、涼はいつも通り明るく笑った。
「そりゃ良かった。でも俺頭が超痛いんだけど、何か知ってる?」
「え? フライパンで准さんの頭は殴りましたけど、そのせいですかね?」
「嘘だろ!?」
「嘘です!」
……。
相変わらず、涼は息をするように嘘をつく。安心した傍ら殺意が湧いた。多少慣れてきたとはいえ、寝起きからそんな嘘をつける奴の気が知れない。
そんなこちらの気持ちを察したのか、彼はサッと立ち上がって袖を捲った。
「多分、昨日すごい飲んでたから二日酔いで苦しいんですよ。任せてください、何か軽いもの作ります!」
「あ、あぁ。サンキュー……」
それでも結局、家事は彼に任せてしまう。
まぁ、まだ無償で泊めてやってるんだ。宿賃と思えば安いもんだろ。
ボーッとしてると時間だけが過ぎていくから、俺も洗面所へ向かって身支度を始めた。
「ところで准さん、昨日何を話してたか覚えてます?」
「ん。いや全然。ごめん、何か愚痴ってたか?」
テーブルについて、涼が作った鮭茶漬けをすすりながら准は首を傾げた。
「愚痴は良いんですけど、うーん……覚えてないんですね。了解です」
「な、何。俺何かした?」
涼の反応が微妙だから、急に不安になって聴き返した。ところが、やはりはぐらかされてしまう。
「いえいえ、嬉しい発見でした。准さん、お酒入ると泣き上戸になるって分かったんで」