第一話 ずっと一緒が良かったな
それは突然起きた。
遠くで悲鳴が聞こえる。
近くで悲鳴が聞こえる。
その時少女は、ベッドに包まっていた。
悲鳴が聞こえると、あくびをしながらも急ぎ足で扉へ向かおうとする。
途端に、少女の周りが黒く覆われ、少女は、暗闇にのまれた。
………………
激しく扉を叩く音がする。
恐らく、あの姉達だろう。部屋に入って来ようとしている。
すると、扉の外から、何かを斬り裂く音が聞こえる。
[お…お兄様?何故……]
そして、悲鳴と共に兄_神屋敷 莉狐の声が響く
[天ちゃん居る?]
……………
少し間が空く
(寝ちゃったかな?いつもは、起きてるんだけどなぁ_:(´ཀ`」 ∠):)
[天ちゃん入るよ( ˙-˙ )/オープン]
莉狐は、黒い霧に覆われて倒れている少女_神屋敷 天夢を見た。
[天ちゃん…?どうしたの…?]
[……おにーちゃん?何処?真っ暗だよぉ…おねガい……………]
そう言うと、天夢は、途絶えた。
死んだのか分からない。
そんな判断、どうでも良かったから。
莉狐は、天夢を見た。
寂しい、何で?、何処?、帰ってきて、帰ってこない死んだから、いや、死んだのか?分からない、
分からないそもそも、天夢って誰だ?いや、天夢はずっと守っていた妹だ。
駄目だ、駄目だ、駄目だ、もう何にも分からない。
そんな事を繰り返す。
すると、天夢を囲っている黒い霧から、何かが出る。ニコニコしている。
真っ暗で、影のような。
そして、莉狐の顔を覗く。同時に莉狐の狐の面が割れ、周りが黒く覆われ、莉狐はのまれた。
黒い影の様なモノが莉狐を器にこの世に現れた。
莉狐の形を取ったソレは、力を得る為だろうか、天夢を喰おうとした。
だが、莉狐の霊(たましい)も残っていたからなのか、
喰いたい気持ちとせめて天夢だけでも守りたい、、、
という気持ちが混ざり、複雑だった。その間、ずっとずっと叫んでいた。
それは、襲撃者にも聞こえていた。
その日、襲撃に来た襲撃者達のリーダーも聞いたのか、
家の構造を把握しているかの様に天夢の部屋へ行く。
部屋に入ると、
[貴方達は、揃って無茶をするのですか…]と呟く。
そして、叫ぶ莉狐に話しかけた。
[大丈夫です。私達の妹は、必ず守ってあげるから。貴方が別の世界で霊となった時、この世界は、貴方を受け入れる。ですが、それは、叶わぬ事でもありますが…]
莉狐は、ゆっくり顔をあげると、頭を抱えながら、
[みん_で、一緒_良かっ__天ちゃ_をよ_しくね(๑>◡<๑)]
最後の笑顔を見せると、莉狐は倒れた。影の様な何かは、残っている。
[さっさと莉狐から出て下さいチャンスは、後2回です]
何かが出て来る様子は、無い。
[早く出なさいチャンスは、後1回です]
……………………………
[申し訳ありませんが、チャンスは、もう無いです]
…………………
少しの沈黙を置き、
omnis repetere…………‼︎
[…そうですか、では、さようなら]
そう言うと、何かは破裂し、呻き声をあげながら、消えていった。
[この人達を連れて行って下さい、傷を付けない様に]