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「気付けなくて、守ってやれなくて、ごめんな」
あったかい主炎の背中に、主炎の言葉に戸惑いながらも、そっと腕を回してみる。
何故だろう?
心臓が凄くうるさい。
体の芯から温まってく気がする。
「津炎、すまなかったな」
主炎の腕の力が緩み、視線を合わせさせられる。
月光を閉じ込めた瞳は、疲れているようだったが、それでもなお、優しく柔らかみを帯びていた。
まだ仕事があるからなのか、主炎はそのまま部屋を出ようと、ドアの方へ歩き出す。
ーードンッ
主炎の方から大きな音が聞こえた。
主炎は右手を柱につき、左手で目頭を押さえている。
もしかして、目眩でもしたのだろうか……?
そんな事を考えると、凄く心配で、不安になった。
俺の心配を、表情から察したのか、主炎は苦笑いを浮かべた。
「大丈夫だ。ちょっと目眩がしただけで、。お前は何も心配すんな」
そんな言葉と共に主炎は、俺の頭を撫でた。
主炎の手、冷えてる。けど、優しくて安心する。
俺の少し頬が赤く染まっているような気がするが、これは気の所為だ。うん。
しっかりと主炎の月光を閉じ込めた瞳を見据えて、俺は口を開く。
「無理、しないでくださいね……?」
心配で、不安で。色々な感情が混ざった結果、俺の口から出た言葉。
主炎は柱に身を預けながら、フッと微笑んだ。
「わかった」
優しい微笑みを浮かべた主炎の口から、そんな返事が出てきた。
それから彼は重い足を無理に動かすように、部屋を後にした。
机の上には柔らかな湯気のたつボルシチがある。
そんな風に机上に目を向けていると、どこからとも無く、お腹の虫の声が聞こえた。
そっと、自身の腹部に目を向ける。
すると、もう一度お腹の虫が盛大に鳴いた。
俺は苦笑いを浮かべた。どこまでも体は正直らしい。
踏み台を使って、椅子へと移動する。
未だに湯気のたつそのボルシチは、主炎が俺の事を思ってくれている証拠でもあるような気がした。
スプーンで、真っ赤なビーツの色のそれを掬って口に運ぶ。
温かい。心が、ホワホワする。
そんな事を思っていると、目の前にある食事はいつの間にか全て食べ終えていた。