テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「18時半に予約してるから」
「…18時半に予約して18時半にオフィス出るのは多分間違ってますね」
「そう?」
クライアント訪問なら時間厳守するくせに、プライベートになると途端に雑になるのは一体なんなの!
どうやら、場所はそこそこ近場らしいので
「じゃあ、豆さんの予定も今日は18時で終わりですし、15分にここ出てタクシー乗りましょう」
「えー厳しいな秘書様は」
「お店の人を待たせないの!」
オフィスを出る時間を決めて一安心する。よくわからんな、とぼやく彼を放置して私は急いでパソコンをスリープから叩き起こす。逆算して今日残された作業時間は思った以上に少ないことが判明したので。
「もう今日は店じまいしようぜ」
「だめです。豆さん3分後から次の打ち合わせ始まりますよ」
「あーどうしよう急病にかかったことにするか」
「何言ってんですか」
メンバーがもうそこまできてるじゃないですか。
プロジェクトの打ち合わせだろう、シニアマネージャー以下スタッフ数名がパソコンを持ってこちらに移動してきている。
「ちぇ」
真面目なやつらだな、と舌打ちする彼はこれで本当にパートナーか?
「15分で終わらそ」
謎の決意を固めて自室に戻る彼を見送る。やっぱりわからないところが多すぎて、彼の人格への興味はますます募るばかりでもどかしい。
愚痴を言いつつ、時にタバコ休憩で遅刻をしつつ、彼は詰め込まれたスケジュールを一応こなしてくれている。
それを横目で見て安心しながらも、私の心は落ち着かない。もちろん、この後の予定のせいだ。
「待って。私さっきから全然仕事してないのでは?」
根本的な課題に気づいて頭を抱えたくなるけれど、もう足掻いても仕方のない時間に差し掛かりつつあった。弊社はどの窓も基本はブラインドをかけているので、微細な天候の変化を知るのは難しい環境だけれども、流石に陽が落ちたことは読み取れる。
豆さんとのご飯という、非日常の到来が間近に迫っていることを嫌でも意識せざるを得なかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
うめぼっち

676
臣桜
51,257
鷹槻れん/鷹槻うなの

36,051
#恋愛
水無月 京
1,300