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さこ×もりの続きです
佐古視点です
守若の部屋に行く前からの佐古視点で始まります
サブタイトル「知恵熱」
そうだ、守若の兄貴の兄貴に連絡を入れておかないと。アポなしは流石に自分達の関係性でもダメだ。
外出(公園)している可能性もあるからだ。
スマホを鳴らすと、少し時間が掛かって繋がった。
佐「守若の兄貴、今家ですか?」
守「ぅ……さぁ……こ……? 」
何だか酔った時のような兄貴の掠れて眠たそうな声……多分家に居るんだろうな。
兄貴はぽやっとしているようで、自分だけで外では飲まないはずだ。
ひとりで前後不覚になればどうなるか、本人は分かっている……と思う。
佐「久我の兄貴が体調を心配しているので今から行きますね」
守「────ん……」
僅かに聞こえた肯定の声に、オレは足を早めた。
チャイムを鳴らすが、待っても応答がない。ぐっすり眠っているのか?
合鍵を使うという事にドキドキして思わず口角が上がる。
夢にまで見た恋人の家に合鍵を使って入室するというシチュエーションにテンションが上がらないハズが無いではないか。
佐「守若の兄貴、失礼します」
玄関、廊下は暗かった。寝ている可能性を考えて、でも驚かせてはいけないと申し訳程度に声を掛けてみるがやはり応答は無い。
スマホのライトを使って廊下の奥にキッチンを見つけてそちらに行くと、反対側にテーブルとソファーが見えてくるが、兄貴の姿は無い。
とりあえずソファーの上に購入した物品を置いて、廊下にいくつかあったドアをノックする。
佐「守若の兄貴?」
レバーのドアノブをそっと開くと、暗い寝室のベッドの上に兄貴の脚が見える。
再度声をかけるが反応は無い。
ライトが当たって兄貴が眩しくならないように入室すると、体をうつ伏せにして眠っていた。
左手元にスマホがあって顔はそちらに向いていたが、僅かに赤い気がする。そして薄着、薄いタオルケットにも関わらず汗で額に髪が貼り付いている。
息も少し上がっていた。
佐「!!」
思わず声を上げそうになったのを何とか堪える。近寄ってはっきり分かったのは、兄貴は酔っている訳では無いという事だ。
思わず額に手を伸ばす。
熱い!
完全に想定外だった。
守若の兄貴が熱を出すとは思っていなかったのだ。
体温計!久我の兄貴に連絡!それから……と考えを瞬時に巡らせる。
そして一旦部屋を出ようと手を引こうとした時、服の裾を握られていた。
守「……あ、れ? 佐古……?」
その場が一瞬ピリッと張り詰めた空気になり、守若の兄貴の緊張がオレの姿を認めてふわりと和らぐ。
オレは両膝をついて体勢をなるべく低くする。
佐「すみません、チャイムを鳴らしたんですが応答が無くて。入らせていただきました。
久我の兄貴が、守若の兄貴は体調が悪いかもしれないから様子を見に行くように指示を受けまして」
守若の兄貴はぼんやりと聞いていた。
オレは続ける。
佐「熱があるみたいですが、他に症状はありますか? 喉の痛みや頭痛、咳や鼻水、関節の痛みはどうですか? 食欲は?」
兄貴は少し考えて口を開く。
守「熱だけっぽいなぁ、そういえば腹が減ってるぞぉ」
オレは少しホッとした。腹が減って食べれるならまずまずだ。
佐「守若の兄貴、買い物して来たの台所借りてご飯を作ってもよろしいでしょうか?
久我の兄貴に報告をして来ますのでそのまま休んでもらえますでしょうか」
守「分かったぁ作って来ぉい。不味かったらカッパーにするぞぉ 」
いつもの調子で軽口を言ってくれたので、「頑張って作って来ますぅ」と返事をすると服の裾を握っていた手を緩めてくれたので安心して傍を離れた。
その後オレは額に熱冷ましのシートを貼って、スポーツドリンクを渡して、食事の用意をするからと部屋を出た。
熱でトロンとした兄貴が可愛いくて仕方なかったが、眠そうにうとうとしていたので邪念を振り払う。
佐「久我の兄貴、守若の兄貴はやっぱり熱が38.5℃ありました……他の症状は無いそうです。 ……え、休み、明日から3日も!? はい、分かりました……はい」
その後、美味しそうな匂いに目が覚めた兄貴はオレの用意した鍋をしっかりと食べてくれた。
だがしかし。
守「汗かいて気持ち悪い、シャワー入って来るからもう帰って良いぞぉ」
とか片付けているオレに言い放つではないか。
確かにかなり元気にはなってきているようだったが。
佐「ダメです守若の兄貴、帰りません」
守「あぁん? 何でだぁ?」
守若の兄貴の目がキラリと光る……その迫力はさながら猛獣そのものだ。でもオレも負ける訳にはいかない! と腹に力を込めた。
佐「親父命令です、兄貴は明日から3日休みを取って体を治す事。オレは見張り兼体調管理を仰せつかっています」
五十嵐の親父命令と聞くと、兄貴はじっとオレを見つめて目を伏せた。
「……いがおやじが言うなら仕方無いかぁ」
オレはよし! と心の中でガッツポーズを決めた。
守若の兄貴に親父命令は水戸黄門の印籠のような効果がある!
佐「今は体調はどうですか?」
守「……まだ熱っぽいけどシャワー入って来るぅ」
とさっさと浴室へ行ってしまった。
守「佐古ぉ、お前どこで寝る気だぁ?」
シャワーから出た守若の兄貴は寝る準備をとっとと済ませて、ソファーでくつろいでいた。
これはもうすっかり油断しているな、とオレは溜め息をついた。
オレは片付けを終えて兄貴の方へ向く。
佐「守若の兄貴、オレが噛んだ所、大丈夫なんですか? さっきから何度も気にしてますよね?」
守「っ!」
食事中、そしてシャワーから出ても時々左の首元をもはや無意識に押さえていたのを、オレは見逃していなかった。
「なぁに言ってんだぁ? もう寝るから、ソファーででも寝とけぇ」
とっさにまた首元を押さえて立ち上がり、逃げるように背を向けたのを、オレが逃すと思っているのか。
佐「甘いですよ、兄貴」
昼間の続きのような形で、守若の兄貴の背中を後ろから抱き締める。
守「止めっ、……ろぉ」
守若の兄貴はオレのホールドを解いて、廊下の壁に背をもたれさせた。
顔、そして見える腕まで朱くなっている守若の兄貴に、オレは心臓が高鳴っていくのを自覚する。
サブタイトル「知恵熱」いかがだったでしょうか。
良い所ですが、一旦終わります。
後2話くらいかな?
次回から🔞入ると思いますので、苦手な方はここで止めましょう
では