テラーノベル
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赤い扉。
だが、扉は五つ並んでいた。
全員が戸惑う。
どれが正解だ。
誰かが祈るように扉へ手を伸ばす。
自分は、ただ直感で二番目を選んだ。
昔から“2”という数字が好きだったから。
そして。
全ての扉が、一斉に開いた。
赤い扉の先は、闇だった。
いや――正確には、巨大な空間だった。
天井は見えないほど高く、どこからか風が吹き込んでいる。
壁一面には無数の糸が張り巡らされ、蜘蛛の巣のように絡み合っていた。
その光景を見た瞬間、生き残った者たちは言葉を失う。
「……なんだよ、これ……」
誰かが震える声で呟く。
その時。
また、あのアナウンスが流れた。
『おめでとうございます。当たりの扉を選んだ皆様には、“最後の試練”へ進んでいただきます』
軽い女の声。
まるで遊園地のスタッフのような明るい声だった。
『ルールは簡単♪ その糸にぶら下がり、“15分間”耐えるだけです。落ちた場合は即死となりますので、ご注意ください』
静まり返る空間。
誰も動けない。
だが次の瞬間、床が小さく揺れた。
『それでは――スタート♪』
全員が慌てて糸へ飛びつく。
湊も咄嗟に、三本ほど束になっている糸を掴んだ。
細い。
だが、意外と頑丈だ。
恐る恐る身体を浮かせた直後。
ゴゴゴゴ……!!
床が消えた。
真下には、底の見えない暗闇。
間に合わなかった数人が、そのまま落下していく。
「いやああああ!!」
絶叫が遠ざかる。
そして。
“潰れる音”だけが、下から響いた。
生き残ったのは七人。
全員が糸にしがみつき、荒い息を漏らしている。
時間だけが過ぎていく。
二分。
三分。
五分――。
腕の感覚が消え始める。
指が震える。
汗で滑る。
「もう……無理だ……!」
隣の男が泣きながら叫んだ。
その時。
湊の脳裏に、逃走中に見かけた紙が浮かぶ。
“ひも部屋 足や腕を巻け”
あの時は意味がわからなかった。
だが今なら理解できる。
「……そういうことか」
主人公は歯を食いしばり、揺れる糸によじ登る。
全身が悲鳴を上げる。
それでも必死に足へ糸を巻きつけ、さらに右腕にも絡ませた。
固定。
これで腕の力だけに頼らなくて済む。
それを見た他の生存者たちも真似しようとする。
だが。
「くっ……!」
体力が尽きていた。
一人、また一人と手を滑らせ、闇へ落ちていく。
残ったのは四人。
空間には荒い呼吸だけが響く。
十分経過。
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