「家でお前の甥っ子が待ってるぞ、天気の良い日に退院できてよかったな」
兄が自分のレクサスを運転しながら微笑んでいる、私は退院ししばらく兄の家に世話になることになった
私に何も聞いてこない兄は、たぶん弘美さんから色々指示を受けているのだろう
もっとも色々聞かれても、今の自分の状態では上手く俊哉との事を、説明出来なかった
当の本人がどうしてこんなことに、なってしまったのかさっぱりわからないのだから
櫻崎家が所有している高層ビルは、市内に少し離れた大きなターミナル駅、中心部にあるガラス貼りのテナントビルで
兄の住む高層階には数千万は下らない、コンドミニアム型の4LDKのマンションが並び
どれも所有者は関西を代表とする、大金持ちばかりだった
そして低層階にはオフィスや店舗、2階にはすぐ横の大型ショッピングモールに、つながる通路があり
暮らすにはとても便利だが今の私には都会過ぎてとても騒々しかった