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「ぃや〜…ろうきゅん可愛いなぁ……ふふ、可愛いなぁ〜」
配信でうざい程可愛がられる。嫌でうざくてでもどこか
嬉しくて悔しくて苦しくてもどかしい。こんなに嫌なのに
何処かで喜んでる自分が嫌で、でも可愛がってくるあいつは
好きで。心の底で我ながらめんどくさいやつだなと配信を見ながら
考えた。未だに可愛い可愛いと言い続ける恋人に少し拗ねる。
それでも心地良く優しい声で癒されてる。なんだか複雑。
まぁ文句を言ってはいるが恋人の部屋で恋人の配信を見てる
俺も俺だとは思う。やはりお互いもう大分末期なのだろうか。
「ただいまぁ~!!!!」
なんて考えていれば聞き慣れた明るい声が玄関の方から
聞こえてくる。パソコンを閉じ、部屋から出ると靴を脱いでいる
ウェンが見えた。おかえり、と言いながら迎えに行くと
笑顔でろうきゅん!と言ってきて不覚にも可愛いと思う。
「ろうきゅん言うな。今日は飯どうする?」
いつもの会話をしつつ、飯の話に切り替えた。普段はウェンが
作るがたまに俺と作ったり、はたまた食べに行ったりしている。
一緒に作るのは楽しい。下手な俺にウェンは優しく丁寧に
教えてくれるが、短気なのかすぐお手上げになる。それが可愛くて
わざと間違えたりしてるのは俺だけの秘密。なんて考えてると
顔に出てたらしい。緩んでいた口元に気がついた。ウェンの方を
みれば、気づいていなかったようで?を頭に浮かべてこちらを
みてきた。少し首を傾けて笑顔でなぁに、と尋ねてくる姿は可愛い。
なんでも、と返し今日はウェンが作るの?って聞けば一緒に
作りたいな…と小さい声で言われて思わず笑う。あぁ、なんて
可愛らしいお願いなんだろう。健気で純粋で、大切にしたい。
わかった、と頭を撫でてエプロンをつけるとふと視界にウェンの
首元が映り、その襟足に近い部分がほのかに 赤くなっている
のに気づいた。あぁ、やっぱりいじらしい。 褒められるのにも
弱ければ可愛がられるのも真面目な場面も 苦手で弱いところが多い。
それでも、明るくてかわいくて しっかりものの一面もあるから
人から好かれやすい。少し きつくて、ツンとしてることも多いけど
本人がいないところでは すぐにデレデレになる。褒められると
すぐに赤くなって、 可愛がられると拗ねる。真面目になられると
気まずそうに視線を そらし話題を変えようとしてくる。
そういうところも好きである。 なんて考えてたらウェンに呼ばれた。
「ロウ」
いつもよりも真面目な声。料理中や任務中、作業中のウェンは、
いつもよりも何倍も真面目で集中している。そこで聞けるウェンの
心地良い声は何度聞いても飽きることなく、心の癒しになる。
疲れた心を声で、笑顔で、全身で癒してくれて本当に助かる。
可愛いと頭を撫でれば拗ねることも多い。でも極稀に素直に
喜ぶ事がある。そんなときは本当にかわいくて、仕方がない。
とりあえず返答しなければ怒られてしまいそうで適当になぁに、と
返してみる。すると手を引かれ包丁を握らされた。俺が?を頭に
浮かべていると切って、と催促された。どうするのが正解かは
分からないがやってみる。するとすぐにダメ出しされた。何度も
ダメ出しされ、投げ出しそうとしたとき、す、と後ろからウェンが
覆いかぶさってきた。わけが分からなくなっているとこうするの、
と言いながらウェンが俺の手ごと包丁を握って切り始める。
いつもより近くにいるため感じるウェンの息に心臓が高なる。
ウェンは肺活量があるのか呼吸がゆっくりなタイプだった。
もうウェンのことはなんでも知っていると思っていたがまだまだ
知らないことも多いらしい。そうやってぼうっとしてれば
はい、おわり、とウェンが離れていく。すぐ近くにあった温かい
体温が離れていってしまってどことなく寂しさを感じた。
それでも隣にいて、顔が見れるのも悪くないな、と感じる。
「ふふ、よくできました◎」
「からかうな」
「w、可愛い〜」
「やめろ」
ウェンは俺を煽ることが大大大大好き。もちろんウェンと
話せるし可愛い顔も見れるからうれしいがやっぱり煽りは
イラっとする。 配信上では煽り返したりできるがプライベートでは
中々やらない。 この前一度だけやったことがあるがめちゃくちゃに
拗ねられて 声をかけても無視された事がある。それ以来配信外で
煽るのは やめた。煽られることがウェンはものすごくいやらしい。
そんなところも可愛いと撫でればうるさい、とはねのけられる。
なのに、時間が立つと自分から来てロウは可愛い、可愛いと
人を可愛がってくる。本当に身勝手で自由奔放で可愛くて
目が離せない。一喜一憂タイプでいちいちの反応が可愛くて
口にも態度にも出さないがもっと惚れていく。知れば知るほど
惚れてしまう。かわいいところも情けないところも全部
結局は惚れる要素でしかない。
「かわいい」
こんなこと考えてたからだろうか。まさかの口から漏れてしまった。
だって可愛いのだ。考えすぎてしくじった。そう思った。
ウェンから煽られる…、覚悟はした。したが、その煽りが来ない。
恐る恐る見てみるとキャパオーバーして、真っ赤になり
ぁ、とかぅ…とか、意味のない言葉を吐き出しているウェンがいた。
可愛い。純粋に可愛いと思う。人のことを可愛いというが大概
こいつも可愛いと思う。つかこいつほうが可愛いと思う。
※小柳さんも十分に可愛いです。お互い自覚ないのも可愛いね。
「ろうきゅん」
「なんだよ、あとキュン言うな」
「えへへ…、あのね我儘言ってもいい?」
我儘…?いつもよりも落ち着いた心地良い声で尋ねてくるこいつは
掴みどころがやっぱりない。どう考えても内容が分からない。
でも普段から頼ってるようで頼ってないこいつのことだから
そこまで大したことではないとおもうが、
「…、少しだけ……ぎゅってして」
ほらやっぱり。簡単なお願い、それくらいいつでもやるのに。
「そんくらいいつでもやるよ。ほら」
「…ありがとう……、」
小さくつぶやく声は少し震えてる気がした。澄んだ空色の瞳を瞼に
隠して大人しく抱きしめられる恋人は俺とそう変わらないはずなのに
小さく感じる。…怯えてるように見えるのはきっと、勘違いとかでは
ないのだろう。そして、この不安を俺が拭うことはきっとできない。
俺達は受け入れるしかない。不安を拭うことは誰にもできないから
その不安ごと包むしかないのだと…俺は思う。