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「マリンさん。貴女はもっと自信を持つべきよ。その可愛らしさと、この心のこもったクッキー……。これを最大限に活かせるよう、私が貴女をプロデュースしてあげるわ!」
「えっ……ぷ、ぷろでゅーす?」
きょとんとするマリン。
私は混乱する彼女をよそに、彼女の乱れた金色の髪を整え、ドレスの着こなしを細かくアドバイスし
レオン様がいかに素晴らしく、誠実で、守護騎士として完璧であるかを一時間ほどノンストップで熱弁した。
そう、私は「悪役」ではない。
ヒロインをハッピーエンドという勝利へ導く「敏腕軍師」なのだ。
「……メリッサさんって、やっぱり。本当に優しい方なんですね…!私、誤解していました」
マリンの瞳に、キラキラとした純粋な尊敬の念が宿る。
よし、ヒロイン攻略完了!
これでマリンから「処刑して」なんて要望が出るルートは永久に消滅したわ!
だが、事態は私の予想もしない方向へ転がり始める。
「あ、あの……メリッサさん。実は、折り入ってお話が……」
「あら、なにかしら?」
「えっと……二人きりで、お願いできますか?」
マリンが少し頬を染めて、私の耳元でこそばゆい声を囁いた。
(二人きり!? これってもしかして、レオン様への恋の相談!?キタキタ待ってましたこの展開!)
「もちろんだわ! レオン、少し離れていてちょうだい。女の子同士の内緒話よ」
私は意気揚々とレオン様に命じた。
けれど、彼は一歩も動かない。
彫刻のように整った顔に冷ややかな影が落ちる。
それどころか、私とマリンの繋がれた手をじっと見つめ、その青い瞳を一瞬だけ……本当に一瞬だけ、ゾッとするほど冷たく細めた。
「……護衛の任務中ですので。死角を作るわけにはいきません」
「ほんの少し、あそこの木陰に行くだけよ! お願い、レオン!」
私が少し強引に頼み込むと、レオン様は小さく溜息をつき、
「承知いたしました」とだけ言って、渋々と背を向けた。
木陰に入り、マリンが緊張した面持ちで口を開いた。
「メリッサさん。私……実は、憧れの人がいるんです」
(キターー!!)
「ふふ、レオン様ね!? わかる、わかるわよ! あの顔面、あの声、好きにならない方が無理よね!」
鼻息を荒くして身を乗り出す私に、マリンは困ったように小さく首を振った。
「いえ……レオン様じゃなくて……」
「え?」
「メリッサさんのこと、もっと知りたいんです! 王都の流行とか、貴族社会のこととか……それに、メリッサさんみたいな強い女性になりたくて!」
「……へ?」
予想外の告白に、私の脳内CPUがパチパチと音を立ててフリーズした。
確かに今の私……メリッサの容姿は、鏡を見るたびにうっとりするほど魅力的だ。
強く、美しく、ちょっぴりセクシー。