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最近昼休みになると家庭科室で食べるようになった。
みんなで集まる日をつくって交流をしようという話になり、週に数回こうして六人で集まっている。
「ましろせんぱい、最近いじめはなくなった?」
実里くんの質問に頷くと、潤がにっこりと微笑む。
「きっともう二度と手を出してこないだろうから安心して」
「えっ」
……潤、一体なにをしたんだろう。聞きたいような聞いてはいけないような。心なしか実里くんの顔色も悪い。やっぱり聞かないでおこう。
「まあでも、意外だったかも」
実里くんが唐揚げをお皿にのせながら、横目で私を見やる。
「メンタル弱そうに見えて案外強固だよねぇ。我慢強いっていうかさ」
「誰だアンガイ キョウコって」
首を傾げる武蔵先輩に、実里くんが信じられないとでも言いたげな表情で口元を引きつらせた。
「あんた卒業無理だわ、マジで」
実里くんが大げさにため息を吐くと、武蔵先輩から視線を逸らし私の方に向き直る。
「でもさぁ、ましろせんぱいって従順なタイプなのかな〜」
「じゅ、従順って」
いたずらっ子のように片方の口角をつり上げた実里くんの顔が近づいてきて、目を瞬かせた。
「あんだけいじめられてー、だーいすきな泉には遊び道具にされてー、まだシンデレラ役降りようとしないじゃん」
「だ、だって言ったって降ろしてくれないでしょう!」
「まぁ、そうだね。俺が許さないかも」
「……ち、近いってば!」
いつも実里くんは試すように近づいてからかってきて、私は年下の彼の手のひらの上で弄ばれる。
すると、なにかが実里くんの方へと飛んできた。丸い物が机の上に転がる。
「困ってるから、やめろって」
歩くんがおにぎりを包んでいたサランラップを実里くんに投げたようだった。
「ちょっと、邪魔しないでくれないー? 歩ちゃん」
「んだと」
「あ、もしかしておこさまには刺激が強いのかな〜」
歩くんが睨みつけると、実里くんが馬鹿にしたように笑う。
この二人はよく言い合いしているけど、仲が悪そうではない。むしろ潤の方が兄弟なのに、ほとんど会話がなくて違和感を覚える。
「和葉! この煮物、甘くて美味しいぞ!」
武蔵先輩は嬉しそうに和葉の肩を叩くと、和葉は少し痛そうに目を細める。けれど全く怒った様子もなく、武蔵先輩に渡された煮物を食べながら和葉が頬をわずかに綻ばせた。
どうやら甘くて好みだったらしい。
和葉は機嫌が顔に出やすいけれど、武蔵先輩が変なことをしてもあまり表情を変えない。むしろ素直に従っているようにも見える。……二人は仲がいいのだろうか。
彼らが親戚だということはわかったけれど、それぞれの関係性について私はまだよくわかっていない。
それにみんなが王子役を勝ち取りたいと思うほど、叶えたいことってなんなんだろう。
海の紅月くらげさん