テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
プルルルルプルルルル ピッ
???「もしもぉし〜今度は誰……?」
???「俺だ」
???「兎白くん?どうしたの?」
「雨花」は「兎白」から電話がかかっているところ。
兎白「実は……」
「「桃時と喧嘩してしまったんだ!!!!」」
雨花「喧嘩?二人が喧嘩するのは珍しいね」
兎白「実は……」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
???「お邪魔します」
???「いらっしゃい!桃時ちゃん」
「桃時」は兎白の家に遊びに来ていた。兎白の母親である「虎月」が挨拶をし返した。
兎白「上がってくれ」
桃時「えぇ。ありがとう」
桃時はいつも通り、兎白と一緒に兎白の部屋に入った。
兎白「それで今日は何の用なんだ?いつもと同じで甘えに来たのか?」
桃時「////……そういう恥ずかしいことを真顔で言わないで!今日はアルバム作りを手伝って貰おうと想って」
兎白「アルバム作り?……あぁお前がいつも学年が変わる時にみせるアルバムか。もう作っているのか?」
桃時「えぇ。作り途中だけど。それであんたたちも少しは写真持ってるでしょ?それを集めようと想ったの」
兎白「俺が持ってる写真かぁ……少し待ってくれ」
兎白はがさこそと机の引き出しを探る。
兎白「あった」
兎白は何枚か写真をみつけた。それを早速桃時に渡す。
桃時「えぇ……どれどれ。あぁこれは、体育祭の時の!これは科学学会!」
兎白「紅蓮先生や紅葉先生が撮ってくれたんだ。他にもみてくれ」
桃時「えぇ!もち…………。…………」
兎白「どうしたんだ?」
桃時「何これ」
桃時はある写真を兎白の前に突き出す。その写真には女の子に抱きつかれていた兎白の姿が写っていた。
兎白「あぁ、これは……去年の文化祭の時……」
桃時「言い訳はいらない。何であんた抱きつかれてんの?何でそれを黙ってるの?ねぇどうしてよ?」
兎白「しかし、これは……」
桃時「あんた去年から浮気してたわけ?」
兎白「「違うんだ!桃時!ちゃんと理由があって……」
桃時「悪いけど帰らせて貰うわ」
そういうと、荷物をまとめて桃時は出て行ってしまった。
兎白「これは……」
「「まずいぞ」」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
兎白『……という訳なんだ』
雨花「切って良い?」
兎白『何故だ!切らないでくれ』
雨花「そういうの何ていうか知ってる?痴話喧嘩って言うんだよ」
兎白『そうなんだ。喧嘩してしまったんだ。どうすれば良い?』
雨花「痴話の部分は無視かい。まぁいいや。そんなの誤解を解くしかないんじゃない?兎白くんが浮気する訳ないし」
兎白『あぁ、あれは去年の文化祭の時、剣道部の先輩たちがふざけて女装して、俺をからかってた時に撮った写真なんだ。良い想い出だったから大切な写真と一緒のところに置いておいたんだ。それがこんなことに……」』
雨花「ここはさ。わたしが下手に介入するの良くないと想うんだ。これはあくまで二人の問題なんだから。兎白くんの桃時ちゃんに対する素直な気持ちを伝えてみたら?」
兎白『桃時に対する気持ち……』
兎白はしばらく黙ると、話し出した。
兎白『俺は桃時を守りたい。どんなものからも守ってみせたい。そして、桃時がやりたいことは何でもしたいし、したくたいことはしないであげたい。そうやって人生を一緒に歩んでいきたい』
雨花「……守る?」
兎白『あぁ』
雨花「兎白くん。人を守ることは自己顕示欲を満たすための行為だよ。時に人を守ることを無自覚に行っている者もいるけど、そんな人間は早々に死ぬ。だから守ることには理由が付くんだよ。人を傷つける大罪人だけが無駄に長く生きてるのが良い証拠だ。そんな大罪人ばかりだよ。」
兎白『…………』
雨花「…………」
「でも」
雨花「大罪人だと自覚してる人は人を無自覚に守ってる人と本質的には同じだよ。」
「例えば」
「「どっちも泣きたくなる優しさを持ってるところ。みてると、どうしようもなく泣き出したくなるところ……とか」」
兎白『!』
兎白は目を大きく開いた。
雨花「兎白くんは、そんな人だよ。そんな人だからこそ桃時ちゃんも好きになったんだよ。桃時ちゃんに伝えて来な。そして、仲直りしなよ。」
兎白『あぁ!分かった!』
ピッ
雨花「私にはないな。何かを守る力なんて」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
兎白「桃時!」
兎白は、桃時の家の前に来ていた。
兎白「話したいことがあるんだ!」
ガチャ
桃時「……何よ」
桃時が家から出てきた。
兎白「桃時!俺はお前が好きなんだ!したいことはしてあげたいし、したくない事はしなくて良い。俺は桃時となんてことのない日常を一緒に歩いていきたい」
「「桃時が好きなんだ!!」」
兎白「だから……」
桃時「もういいわよ!!恥ずかしいから////」
桃時の顔はほのかにピンク色になっていた。
兎白「それからあの写真の件なんだが、あれは剣道部の先輩たちがふざけて女装して俺をからかってただけで、お前が思っているような事じゃない」
桃時「え!?そうなの?!……ごめん。あんたの話も聴かず、決めつけて……」
兎白「良いんだ。誤解が解ければ……」
兎白は桃時の手を掴むと、ふっと笑った。
それに桃時も笑い返し、穏やかな昼の日差しが二人を暖めた。