テラーノベル
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大学3年・11月。
都内のお洒落カフェ。
まりかは紫髪ウィッグにフリフリワンピース。
目の前には20代前半のキャパに相応しい大量のケーキとスコーン、あと紅茶。
「与えよ、さらば与えられん」とか言いながら仁義にあーんするまりか(付き合ってない)。
「仁ちゃんといると疲れんわ〜」
まりかが背伸びしながら言う。
「え、」「疲れる?」
一瞬びびる仁義。
まりか「疲れ『ん』。」
「あたしのダチ、やっぱ創作畑にいるせいか承認欲求こじらせガールが多くてよ」
「悪い子じゃないのはわかってんだけど、たまにちょっと疲れる。」
仁義「…大変やね。」苦笑い。
まりか「…仁ちゃんてさ、水みたいだよね。」
仁義「水?」
まりか「あたし餃子好きだけどさ。何年も何十年も毎日餃子じゃきっと飽きちゃうと思う。」
「水って、飽きないっていうか。当たり前にあって、当たり前に体を巡ってる。」
「あたしにとってここにいる仁ちゃんはそんな感じ。」
仁義「…褒められとる?」
まりか「けっこうね。」
「まあ、あたしの知らない仁ちゃんのほうが多いと思う。
日頃どんな勉強してるかも、軽音部以外にどんな友達がいるかも、帰ってから何してるかも、ほとんどなーーーんにも知らない。」
「僕もまりりんのことぜんぜん知らんや」笑いながら仁義が返す。
まりか「…年末、帰るの?香川。」
仁義「まあ、うん。」
まりか「あたしも行こうかな。」「魚崎仁義のルーツを探りに。」
東京事変『母国情緒』。
コメント
1件
第33話、読み終えました。 まりかが仁義のことを「水みたい」って表現するシーン、すごく好きです。毎日餃子は飽きるけど水は当たり前に体を巡ってる——この距離感の描き方、えぬたさんらしい繊細さが滲んでいます。まりかの「仁ちゃんのルーツを探りに香川行こうかな」という最後のひと言も、ふわっと言いながら結構な重みがあって、心に残りました。年末が楽しみになる回でした🌷