テラーノベル
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😋×🐱
暴力、薬物、監禁表現あり
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🐱side
最初から何かがおかしかったんだと思う。
でもそれは今だから言えることで。
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あの頃の俺にとってふみやはただのメンバーだった。
年下で、距離が近くて、妙に世話焼きで、笑うと目が細くなる。
それ以上でもそれ以下でもない。
fmy「ゆうまくん、今日これ忘れてる」
ym「はいはい、ありがとう」
それだけ。
それで済むはずだった。
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気づけばふみやは俺の隣にいる時間が増えていた。
楽屋でも移動中でも何となく自然に。
拒めばいいのに拒まなかった。
fmy「ゆうまくん無理してない?」
声が低い。近い。
心配されるのが少しだけ心地よかった。
——それだけだ。
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異変はじわじわでてきた。
メンバーと話しているとふみやの視線が刺さる。
冗談みたいに腕を掴まれる。
離そうとすると力が強くなる。
ym「なに」
fmy「別に」
笑う。
それ以上何も言わない。
だから深く考えなかった。
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ある日、喉が焼けるように渇いた。
fmy「これ飲んで」
差し出されたペットボトル。
疑いもせず口をつけた。
——そこから記憶が途切れる。
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目が覚めたとき天井が違った。
知らない部屋。
カーテンは閉め切られて時計もない。
ym「……は?」
身体が重い。
立ち上がろうとして転びそうになる。
ドアは開かない。
ym「なんだこれふざけんな……!」
叩く。叫ぶ。
返事はない。
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fmy「起きた?」
背後から声。
振り返るとふみやが立っていた。
いつもの顔。いつもの声。
ただ、目だけが違う。
ym「……何してんだよ」
fmy「やっと静かになったからさ」
軽い口調。
なのに背筋が冷える。
ym「ここどこ」
fmy「俺んち」
——は?
fmy「帰す気ないから」
あまりにも平然とそう言った。
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ym「頭おかしいだろ!離せ!」
掴まれた腕を振りほどこうとしたら腹に鈍い痛みが走った。
息が詰まる。
ym「……っ」
fmy「暴れんなって。怪我するよ?」
そう言った本人が一番強く俺を押さえつけていた。
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縛られた。
逃げようとするたび力で押さえ込まれた。
ym「なんで俺なんだよ……」
fmy「ずっと欲しかったから」
言葉が理解できない。
fmy「俺は…お前のもんじゃない」
はっきり言った。
反抗のつもりだった。
だけどふみやは少しだけ黙ってから笑った。
fmy「今はそう思ってるだけ」
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次に目を覚ましたとき頭がぼんやりしていた。
何かを投与されたのが分かる。
ym「……薬、使ったな」
fmy「使った」
否定もしない。
ym「最低……」
fmy「知ってる」
あっさり言われて言葉を失った。
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時間の感覚が曖昧になる。
食事は出る。
世話も焼かれる。
でも外には出られない。
抵抗するたび、
痛みか、薬か、
あるいは——距離を詰められる。
それが一番きつかった。
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fmy「嫌いなら嫌いって言っていいよ」
耳元で囁かれる。
ym「……嫌い」
本心だった。
なのにふみやは満足そうに笑った。
fmy「うん。いいね」
何がいいんだ。
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気づけば反抗する声が小さくなっていた。
体力が削られていたのもある。
でもそれだけじゃない。
ふみやは俺が壊れそうになる直前で必ず手を緩めた。
fmy「大丈夫。俺がいる」
——それを“優しさ”だと錯覚し始めていた。
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ある夜、
身体を抱き寄せられた。
拒もうとしたのに力が入らない。
ym「離して……」
fmy「大丈夫」
耳元で低く言われる。
それ以上のことは思い出したくない。
ただ意識が遠のく直前、
「ゆうま」って名前を呼ばれた。
——初めて名前を呼ばれた気がした。
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翌朝。
ふみやはいつも通りだった。
fmy「おはよ」
ym「……」
何も言えなかった。
怒りも、嫌悪も、
どこかに沈んでいた。
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fmy「もう逃げないでしょ」
断定。
否定したかったのに言葉が出なかった。
心臓が嫌な音を立てていた。
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外の世界は遠くなっていく。
メンバーの顔も、
仕事の感覚も、
薄れていく。
残るのはこの部屋とふみやの気配だけ。
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fmy「俺、昔から言ってたよね」
ある日、ふみやが言った。
fmy「ゆうまくんしか見てないって」
——知らない。
そんなの知らない。
でも今は否定できなかった。
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反抗はもう形だけだ。
声を荒げてもどこかで分かってる。
ここから出られないって。
そして出たくないと思い始めている自分に気づいてしまった。
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ym「……終わりだな」
ぽつりと呟くとふみやは笑った。
fmy「ううん。始まり」
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世界は二人分に縮んだ。
俺はふみやの腕の中で反抗するふりをしながら息をする。
これが地獄だと分かっているのに。
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