テラーノベル
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episode #5 start
┈
長尾謙杜side
夜やった。
テレビはついてたけど、
音だけ流れてて、誰も見てへん。
みっちーはソファに座って、
俺はその向かいに立ってた。
この距離で話すの、
久しぶりな気がする。
「……みっちー」
名前呼んだだけで、
心臓がうるさい。
みっちーは顔を上げて、
静かに俺を見る。
「なに」
その声、
前より少しだけ距離がある。
逃げたらあかん。
分かってるのに、
喉が詰まる。
「……なんで」
一回、息吸って。
「なんで、なんもしてくれへんの」
みっちーの目が、わずかに揺れた。
「俺、言ったよな。ウザいって」
言葉にした瞬間、
胸が痛い。
「せやけど……」
一歩、近づく。
みっちーは、動かへん。
「全部、なくなると思わんかった」
声、震える。
「触らへんって、
キスも、ハグも、
名前呼ぶ時の距離も」
もう一歩。
「俺が悪いのは分かってる」
視界、滲む。
「でも……」
喉が詰まって、
言葉が落ちる。
「なんでなんもしてくれへんの、?」
静寂。
長い、沈黙。
みっちーはしばらく黙ってから、
ゆっくり立ち上がった。
俺の前に来て、
目線を合わせる。
「……長尾」
低くて、優しい声。
「俺な」
少し間を置いて、
「長尾が嫌やって言うこと、
二度としたくなかった」
その言葉が、
胸に刺さる。
「触りたい気持ちは、
正直、ずっとある」
一瞬だけ、視線逸らして。
「でも、
俺が触ったら、
また長尾が無理するんちゃうかって」
その声、
少しだけ震えてた。
「せやから、我慢してた」
我慢。
その言葉に、
涙が溢れた。
「……俺も」
声、掠れる。
「俺も我慢してた」
一気に距離詰めて、
みっちーの服掴む。
「嫌やったんは、
触られることちゃう」
顔、近い。
「ずっと一緒で、
自分の余裕なくなるのが、
ちょっと怖かっただけや」
涙、止まらへん。
「でも……」
唇、噛んで。
「なんもされへん方が、
よっぽど怖かった」
次の瞬間。
みっちーの腕が、
俺を包んだ。
強く、でも優しく。
「……ごめん」
耳元で、囁く。
「俺も、
長尾おらんくなるんちゃうかって、
ずっと怖かった」
そのまま、
額が触れる。
「長尾」
名前呼ばれて、
胸がいっぱいになる。
「可愛い」
久しぶりのその言葉に、
堪えてた涙が全部出た。
「……っ、今さら言うなや」
そう言いながら、
しがみつく。
みっちーの手が、
背中に回って、
ゆっくり撫でる。
「触ってええ?」
その問いに、
俺は黙って頷いた。
額に、
そっとキス。
次に、頬。
最後に、唇。
確かめるみたいに、
ゆっくり。
離れた距離で、
みっちーが微笑む。
「ちゃんと、言え」
「……何を」
「嫌な時も、欲しい時も」
俺は、少し照れてから。
「……今は」
みっちーの服、軽く引く。
「一緒におりたい」
その答えに、
みっちーは小さく笑った。
「それで十分や」
再び、距離が縮まる。
この先が、
どんな夜になるかは分からへん。
でも今は、
ちゃんと、触れられる。
——それだけで、
全部が満たされてた。
┈
episode #5 finish
𝐅𝐢𝐧…🩷💛𓈒 𓏸
コメント
4件
やっぱみちながを知ると世界が平和になるんやな…🥹さいこー🫶