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ご本人様とは全く関係ありません
今日はクリスマスイブ、明日はクリスマス
しかし、クリスマス読み切りを
なんにも準備していない
でるとしたら、大遅刻クリスマスかもです。
Dream4 還るための夢
あなたにとって、帰る場所とは?帰る人とは?
大きな月と桜。
その光景も、いつしか
見慣れたものになりかけていた。
足に落ちていた桜の花びらを拾うと、
指先で、雪のように溶けてしまった。
りうらもいむもいないこの世界。
この夢は何を伝えたいんだろう。
「ねぇ、ないこ」
そこにいる誰かは、俺に呼びかけた。
「ないこは、いつになったら
帰ってきてくれる……?」
その問いかけに頭は真っ白になった。
「何を……言って……」
かすれた声で呟くと、
君は苦しそうに眉を寄せた。
「忘れとんのは、ないこやで。
ねぇ……思い出してや。」
その言葉と同時に
頭のなかで何かが一気にあふれ出した。
春の夜。
満開の桜。
並んで見上げた満月。
手をつないで、重なった笑った声。
頭が、胸が、心が
痛いほど締め付けられる。
「……い」
思い出した何かを呟こうとすると、
視界が滲んだ。
君は慌てた様子で俺の腕を掴む。
掴んだ君の手首に、腕時計がちらりと見えた。
「無理は、せんといてや」
その子の温もりが、あまりにも現実的で
大切な何かを取り戻した気がした。
君の手の温もりが、
ゆっくりと指先から遠ざかっていく。
「待って……!!」
その言葉は、
桜の花びらが舞っていくのと同じように
宙に浮いたまま届かなかった。
そして。
次に目を開けると、
天井が視界一面に広がっていた。
光は柔らかく差し込み、
昨日までの寒さが嘘のように
部屋の空気が暖かく感じられた。
目を凝らすと、窓の外には見慣れた景色が
昨日とは少し違うことに気づいた。
「どうして……?」
そこにあったのは、
昨日と同じ雪景色ではない。
夢と同じ、
桜の花びらが
春の訪れを祝うように舞っていたのだ。
夢の中で見た景色と似ていたからだろうか。
胸がざわつき、
〝行かなきゃ〟
直感的にそう思った。
どこへ行くのかは、わからない。
それでも、立ち止まってはいけないことは
心の奥で理解していた。
その直感に導かれるまま、
着替えて靴を履き、外へと足を向けた。
「はぁっ、はぁっ……」
ここじゃない、あそこでもない。
心の赴くままに足を動かし、
場所も知らない目的地を探す。
きっとどこかに夢と同じ場所があるはずだ。
確かな確証はないのに、
心の何処かでその場所がある
と強く信じていた。
「……あった」
走り続けたせいで肺が痛い。
たどり着いた頃には、
夕日なんて、とっくに沈み、
空には満月だけが浮かんでいた。
視界に広がるのは月と桜。
まるで、俺の夢が
そのまま滲み出てきたみたいだ。
そして、そこには
「ねぇ、ないこ。思い出してくれた?」
君がいたんだ。
悲痛なその声を聞いても、
俺は何も思い出すことができなかった。
「……ごめん」
それが君に返せる俺の精一杯の言葉。
君の表情が、ほんのわずかに歪む。
それでも君は何も言わず、
そっとこちらに手を伸ばした。
次の瞬間、
俺は優しく抱きしめられ、
ふわりとあのしゃぼん玉のような
香りに包まれていた。
その瞬間、
頭の奥で何かが一気に弾けた。
抑え込まられていたもの記憶が、
堰を切ったように流れ込み、
脳裏に直接、映像が叩きつけられる。
今までの謎がすべて繋がった音がした。
おれは、なんで、どうして、こんなことを……
「……あ、ぁ……」
声が、震えた。
そんな俺に気づいたのか、
君は慌てたように腕をほどく。
視界に入る、深い青色の髪と瞳。
話す口調は、柔らかい関西弁。
俺が立ち止まっていたとしても、
いつまでも寄り添ってくれていた
〝俺の恋人〟
忘れていたんじゃない。
思い出せなかっただけだ。
「ま、ろ……?」
震える声で君を呼ぶ。
まろは一拍遅れて目を見開き、
胸の奥に溜め込んでいたものが
一気にほどけたように笑った。
心の底から、救われたような顔で。
まろは、
ずっと俺を迎えに来てくれていたんだ。
りうらにとってのあにき、
いむにとっての初兎ちゃんのように。
そして、待ってくれていたんだ。
俺がここに辿り着く、その時を。
まろはぎゅっと
強く強く抱きしめた。
もう2度と離さないと、
そう確かめるように。
「おかえり、遅すぎや」
耳元で囁かれたその声は、
俺以上に震えていて、
目には今にも零れ落ちそうな涙が
溜まっていた。
俺は、
それに応える言葉が見つからず、
ただ、黙って頷き、
背中に手を回すことしかできなかった。
まろに抱きしめられながら、
俺が小さく息を整えていると、
まろはゆっくりと、
名残惜しそうに腕をほどき
「帰ろう、2人の家に」
と、今度は迷いなく、俺に手を伸ばした。
俺はためらうことなくその手を取る。
手のひらからは、まろの温もりが
伝わってくる。
たとえ、どんなことがあっても、
この温もりさえあれば、
俺はもう迷わずに歩いていけると思うから。
まろの手をしっかりと握った瞬間、
まばゆい月明かりが
俺たちを優しく包んみ込んだ。
ハッと目が醒めた。