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「なんなの? 今日は」
海が虚ろな目で歩くなか私はついまた喋ってしまった!
「傘がさー、喋ったんだよ! 傘がさー」
「なわけねぇだろ! 傘がしゃべったことなんて一度もねぇわ!!!!」
「おっかしいな……おーい」
喋らない。叩いても、先をとんとん叩いても喋らない。
海はため息をして、じゃあ、明日ねと言っていつもの道で別れてしまった。
取り残された私はまた傘に話しかけてみた。
「おーい傘さーん! もう誰もいないよー!!」
『何度言わせる。主でなければお前の人生は実験ネズミだったろうな』
「そんなこと言わないでよー。傘はしゃべらないんだよ。普通」
『なら記憶しろ。私は新しい傘だ』
「わかった。新しい傘ね。確かに最近買った傘だもんね。あなた」
『…………』
そのあと傘は一言も喋らなかったから、私も気にしなかった。寝ようと思ったころに、また退学がよぎってまたうなされた。今日はそんな日だった……