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るあ💙
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姫宮いお
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第二話 気がつけば
朝。
目を開く。
ベッドの横で、何かが丸くなっていた。
小さな耳がぴくりと動く。
「……」
いた。
昨夜追い返したはずのメモリアルが、当たり前みたいな顔でそこにいる。
「帰ってないのかよ……」
「キュ」
架は起き上がった。
顔を洗うため洗面所へ向かう。
数歩歩いてから振り返る。
いる。
さっきまでベッドの横にいたはずなのに、いつの間にか後ろにいる。
「ついてくるな」
メモリアルは首を傾げた。
意味が分からないらしい。
架はそのまま洗面所へ入る。
蛇口をひねり、冷たい水で顔を洗う。
水を止める。
顔を上げる。
鏡の端に青白い耳が映った。
「……」
いるなぁ。
いつの間に入ってきた。
洗面台の横へちょこんと座っている。
架はタオルで顔を拭いた。
部屋へ戻る。
着替えを取り出す。
ふと視線を上げる。
いる。
「……」
メモリアルは尻尾を揺らした。
架はため息をついた。
着替えを終える。
鞄を持つ。
玄関へ向かう。
振り返る。
いる。
「帰れって言ってるだろ」
「キュ」
返事だけは良い。
「……もういい」
外へ出る。
街へ向かう。
朝の通りには人が増え始めていた。
誰かの肩で鳥みたいなメモリアルが羽を整えている。
店先では丸い毛玉みたいなメモリアルが日向ぼっこをしていた。
どこにでもある、いつもの光景。
架は歩く。
ふと振り返る。
あいつがいない。
「……?」
少し後ろで、
花壇の前に立ち止まっていた。
揺れる花を前足でつついている。
「何してるんだ」
架はそのまま歩いた。
しばらくして振り返る。
こちらを見ていた。
耳がぴんと立つ。
「キュ」
次の瞬間。
メモリアルは駆け出した。
あっという間に追いつくと、
何事もなかったように架の隣へ並んだ。
「……」
尻尾だけが小さく揺れていた。
「忙しいやつだな」
「キュ」
しばらく歩く。
見慣れた店が見えてきた。
架は中へ入った。
パンを選ぶ。
ふと足元を見る。
いない。
「……?」
店内を見回す。
いない。
「おーい、坊主」
奥から声が飛んだ。
振り返る。
店主のおっちゃんが苦笑している。
「お前のメモリアル、勝手に入ってきてるぞ」
「は?」
指差された先を見る。
レジの横。
呼び鈴の前に座っていた。
じっと見ている。
前足が伸びる。
ちん。
小さな音が鳴った。
耳がぴくりと動く。
前足がもう一度伸びる。
ちん。
「……」
さらに伸びる。
ちん。
「何してるんだお前」
「キュ」
メモリアルは顔を上げた。
呼び鈴からようやく視線を外す。
「気に入ったらしいな」
おっちゃんが笑う。
メモリアルは呼び鈴と架を見比べる。
それから何事もなかったように立ち上がった。
「勝手に入るな」
「キュ」
反省はしていないらしい。
おっちゃんの横を通り過ぎる。
「しかし珍しいな」
「何が?」
「お前のメモリアルか?」
架は眉をひそめた。
「俺のじゃない」
「そうか?」
「そうだ」
パンを袋へ入れる。
「今日はひとつでいいのか?」
「?」
架は顔を上げた。
「いつもはふたつずつ買ってただろ」
「……そうだったか?」
「そうだっただろ」
会計を済ませる。
袋を受け取る。
店を出る。
数歩後ろから、
当然みたいにメモリアルがついてくる。
「……」
何も言わなかった。
コメント
1件
うわあ、2話も読んじゃった…!メモリアル、完全に居着いてて笑う。架くんは「俺のじゃない」って言い張ってるけど、もう絶対に彼のものになってるよなあ。呼び鈴♡♡♡鳴らしてるシーンがめちゃくちゃ可愛くて、思わず口元緩んじゃった。しかもパンふたつ買ってたっていう過去の習慣、意味深で気になる…。続き早く読みたいです、たつさん!