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エジプトへ向かう旅も半ば、僕たちはホテルに泊まっていた。前に霧のスタンド使いが町をひとつ作り上げていた、なんて体験をした。その町は墓地を元にして作ったもののようで、その日は何か後味が悪かったのを思い出す。もしかしたら、ここもそうかもしれない。
そんなことを考え、少し、いや本当に少しだけ…不気味に思えて、頭をふってその思いをどこかに飛ばしたのは、ついさっきのことだった。
─ら、人間がくる─て、珍しい。
いつの間に寝落ちてしまったのか、そんな声が聞こえてきた。…今のは、女性の声、か?おかしい、僕らの旅に女性は着いてきていないはず。…「人間がくるなんて」?今、この人はそういったのか?
考えれば考えるほどおかしく思えてきて、すーっと頭が冷えていく。軽くなった瞼を開けて、横たわった僕の顔の上にいるであろうその人の顔を見る。
仮面を被っていた。いや、お面だろうか。顔の上半分だけを隠す、黒い狐のお面。目元はくりぬかれており、頬や目の下辺りに赤い色で模様が描かれている。辛うじて目と、口が見えるくらいだ。
思わずガン見してしまい、女性はくすりと笑い口を開く。
「…ふふ、私の顔に何かついているかしら?」
「ご、ごめんなさい、お面をつけている人を、あまり見たことがなくて…」
たぶん、今の僕をはたからみたら、すごく動揺しているように見えるだろう。…正解だ。実際すごく動揺している。…今まで友達がいなくて、女性…女の子と話したことがなかったから。苦し紛れの言い訳を心の中で捲し立てる。別に、誰に言い訳している訳じゃあないけど。
もごもごと口を詰める僕を女性は見て、またふふと笑って言った。
「大丈夫、少しからかっただけよ」
「…あなた、人間…よね?」
からかっただけと言われて、いつの間にか強ばっていた肩を落とす。ここ最近、一日に一回、酷いときは一日に二回ほど、DIOから送られてきたスタンド使いが襲ってきていた。船のスタンドを持つ猿、僕に化けた趣味の悪い奴、ポルナレフの妹の敵とガンマンetc…。そんな状況で安心して眠れ、という方が無理な話だ。自分では気を緩めているつもりでも、無意識に警戒するようになってしまった。寝るときなら尚更。とにかく、そんな日常─ほとんどの人にとっては非日常だが─に慣れてしまった僕らに安心できるところはないのかと、ずっと思っていた。
次に問いかけられたものに、「当たり前」ではないか。そう思った。
「?…もちろん、僕はれっきとした人間ですよ」
そう答えて、女性は口を開く。
「どうやってここに来たか、とか…覚えているかしら」
ええと…、声を出して、その問いに答える。
「ホテルに、泊まっていて…」
「そこで寝て起きたら、ここだった…という感じ、でしょうか」
「そう…周りをご覧なさい」
そう言われて、ここに来てから一度も見ることのなかった周りを見回す。
─! 目を見開き、はく、と言葉を出すことのできない口を開閉させる。なんだ、ここは。ホテルの寝室にいたと思っていた。が、それは間違いだった。
本棚がずらりと並んでいるこの部屋に、雨がしとしとと降り注いでいる。僕の目の前には本屋の店主が座るような、木製の机。その机の上には、アンモナイトだろうか。小さな、手のひらに乗るような化石が置いてある。
じっくりとこの部屋を観察して、なおも何がなんだか分からない僕は、あの女性に目を向ける。
「いったい、ここは…?」
「─いらっしゃいませ。『雨ふる本屋』へ。」
力尽きた…
このあとは多分、夢だと思ってみんなに話す花京院はいる。それで信じてなかった承りとかポルポルは夢(スタンド)を見て、みんなで常連になる。おじいちゃんもアヴさんも夢見てみんなで常連になる。(させる)
雨ふる本屋っていいよねってことです