テラーノベル
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カサクラからドーソンまでは、お約束の高速移動。
飛ばしまくった結果、ドーソンの南門前まで40分位で到着。
ミーニャさんとジョンを魔法収納から出す。
「一瞬で違う場所に出る感覚ってのは、やっぱり慣れないよな」
「でも便利でいいのニャ。あとお腹が空いたのニャ」
確かにお昼を少し回った時間だ。
どうやらミーニャさんの腹時計は、時間停止状態の魔法収納に入っていても正確に時を刻むらしい。
「まずは冒険者ギルドに行って、報告手続きをしましょう」
「その前に飯なのニャ。ついでに今回、ギルド持ち出し以外でかかった費用を計算する必要があるのニャ。だから冒険者ギルドの前に、エイダンの家がいいのニャ」
えっ!?
まあ別に来られて困るような状態ではないから、大丈夫ではあるけれど。
「クリスタの事だから、冒険者聴取報告様式くらい持ち歩いていると思うニャ。ニャんなら魔法収納内で書いて仕上がっている可能性すら高いニャ。だから書類作成で面倒という事はない筈なのニャ。
それにエイダンが用意した矢や補食類は、厳密に確認して費用を確定する必要があるニャ。エイダンはなまじ自作で調達できる分、費用の見積もりが甘いニャ。そこはしっかり査定して、費用を請求させる必要があるニャ」
ミーニャさん、冒険者としては有能だししっかりしている。
どうしても夕食をたかりに来る駄猫というイメージが強いのだけれど。
普段が普段だから仕方ない。
「確かにそうですね。費用を確定してから冒険者ギルドに行った方が、無駄な両替の手間も省けますから」
「あとはアレについて、もう少し詳しく話しておいた方がいいのニャ。出会ってしまったからには必要だと思うニャ」
今回のアレとはクリスタさんではなく、モリオンについてだろう。
どうやらこの世界、名前を呼んではいけない人が結構いるようだ。
「わかりました。ですがエイダンさん、お邪魔して宜しいでしょうか」
そうだ。本来はそれをミーニャさん、俺に最初に聞くべきだった気がする。
依頼が完了して冒険者的緊張感が薄れた上、腹が減って駄猫モードが出かかっているのだろう。多分。
「ええ、大丈夫です」
最小限の家具以外は全部、魔法収納に入れている。
家具の一部、例えばテーブルと椅子も魔法収納に入れているけれど。
だから部屋が散らかることはないし、掃除も簡単。
困る事はまず無い。
「わかりました。それでは申し訳ありませんが、エイダンさんの家にお邪魔しましょう。それでしたら西門から入った方が20分程節約できます。高速移動を使えば西門まで数十秒ですから」
こういうところのせっかちさ、いや合理性がクリスタさんだ。
◇◇◇
「それじゃまずは昼食、ついでに依頼完遂パーティなのニャ。ギルドの正規の食事とエイダンが持っている補食を、ここで景気よく思い切り出すニャ」
いや、待てそこの駄猫。
「思い切りよく出したら多過ぎます」
「ええ、それにまだ依頼が終わった訳ではありません。報告が終了してこそ依頼完遂です」
「だから今食べた分は依頼実施中にカウント出来るのニャ。ニャので思い切りよく食べて、これも依頼のうちにしてしまうニャ」
「ギルドから出した食事以外、いわゆる補食の費用については、冒険者側の負担となります。ですからここで出す事はありません」
「冒険者ギルドで一度出した食事は、日数が余っても返還する必要はないのニャ。でもあれは魚が足りないのニャ。だからエイダンが作った補食も出すニャ」
冒険者としてのミーニャさんは今回、結構活躍した。
だから今は、ちょっとだけ要望に応えてやろう。
「わかりました。それじゃ、ほどほどに放出します」
まずは冒険者ギルドが出した昼食を一回分。
野菜とローストビーフをたっぷり挟んだバゲットサンドが6本に、飲み物としてドリンクヨーグルトが1リットル。
そして補食の方は、刺身を各種、通常の4人前程度ずつ。
小魚のフライと南蛮漬けを、それぞれ6匹ずつ程度。
ウミタナゴの煮付けを1匹分と、ヒイラギの煮付け3匹分。
刺身はドレッシングで食べれば、そこそこパンにも合うだろう。
煮付けはまあ、無いとミーニャさんが出せと言いそうだから。
これでいいだろうと思ったところで、ミーニャさんから請求が入る。
「あと、あの甘い干物と、おにぎり両方が欲しいニャ」
はいはい、というところでアジの味醂干し2匹分と、おにぎり2種類2個ずつを出したところで。
「それではパーティなのニャ。皆さんお疲れ様ニャ。では、いただきますニャ」
ミーニャさんが真っ先に食べ始めた。
「それで補食や装備の費用はどうしますか」
「補食は今ここに出ている分までを、市場価格に即して評価すればいいニャ。それは全部食べ終わったら私がするのニャ。あと今回、装備のうち計算が必要なのは、矢と釣りの仕掛けなのニャ。だからエイダン、その辺に用意した矢と使用した釣りの仕掛け一式、あと店で購入した材料の領収書を出しておくニャ。そうすれば食べ終わるまでに、そこのせっかちエルフが勝手に計算するのニャ」
ミーニャさん、クリスタさんをせっかちエルフ呼ばわりしている。
でもそう言えば、今回の依頼実施中はミーニャさん、クリスタさんを敬称なしで呼んでいた。
そして本人がいない時はアレと呼んでいる。
その辺に何か謎ルールがあるのだろうか。
「わかりました」
その辺の気になった事は取り敢えず置いておいて、俺はミーニャさんに言われた通り、矢と、魚竜を釣り上げた道具一式を出す。
ふと気がついたので、確認してみた。
「矢は使ったものも、再利用できるように修理してしまいましたけれど」
「大丈夫ニャ。普通の冒険者は矢の再生なんて出来ないから、ここは使った=消耗したとして計算するニャ。それに完全に修理してあっても、クリスタなら時間魔法で使用履歴を見る事が出来るニャ。だから問題無いニャ」
どうやらミーニャさん、クリスタさんの能力や扱い方を熟知しているようだ。
きっとそれなりの関係が2人にはあるのだろう。
冒険者ギルドの上司と部下とか、一緒に依頼に行って酷い目に遭った相手という以外にも。
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