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「 好 きだよ … 玲香 … 」
「えぇ …！ 私 も ！ 」
──ちゅっ
唇 が 重 なりあっている ｡ いや ､ わざと 重 ねている ｡ 重 ねている 2人 の 男性役 は ､ 及川徹 さん ｡
及川 さんは ､ 映画 や ドラマ ､ 番組 ｡ いろいろなところで 見 かける 有名 俳優 ｡
俺 は 影山 飛雄 ｡ 平凡 な サラリーマン ｡
周 りと 少 し 違 うところと 言 ったら ､ さっき 話 した 及川 徹 と 付 き 合 っているということ ｡
「 及川 さん … 」
付 き 合 っていて ､ 同棲 もしているが ､ 付 き 合 う 前 とほぼ 変 わらない ｡
なんてたって ､ 徹 さんは 有名 俳優 なのだから ｡ いつも 帰 ってくるのは 2 時 とか ､ 6 時 くらいだから ｡
「 玲香 … 」
「 奏人 さん … 好 きよ … 」
「あぁ … 僕 もだ ｡ 愛 してる ｡ 」
「 及川 … さん … 」
俺 があなたの 名前 を 呼 んでも ､ あなたはずっと 画面 の 中 にいるんだ ｡
俺 以外 の 人 の 名前 を 呼 んで ､
「 愛 し て る ｡ 」
って ｡ 俺 は … ､ あなたのことを 愛 しているのに ｡ 愛 してやまないのに ｡
これじゃあ ､ 恋人 ｡ なんて 言 えないよな｡
俺 はあなたのこと 何 も 知 らないのかも ｡
もしかしたら ､ 玲香 役 の 人 の 方 があなたのこと 知 ってるのかもな ｡
「 及川 さん … 及川 さん … 愛 してます ｡ 」
弱々 しい 俺 の 声 は ､ 静 かで ､ 俺 ､ 独 りでいる 部屋 の 何処 かへ 消 えた ｡
ちく … たく … ちく … たく …
時計 の 音 が 鬱陶 しいくらいに 聞 こえる ｡ 誰 かがいたら 時計 の 音 なんて 気 にしないのに ｡ 我儘 を 言 うなら ､ 及川 さんが 隣 にいたらな ｡ って …｡
独 りでいるのには ､ もったいないくらいの 部屋 ｡ 俺 はまた 独 りで 目頭 を 熱 くする ｡
「ぅ … おいかぁさん … っ … 」
「お 願 いだから 好 きって 言 って ｡ 」
そこで 俺 は 意識 を 失 った ｡
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