次に目を覚ました時、真希は横にいなかった。体を起こして、真希の姿を探すと、真希は椅子に座っていた。
「何してるの」
「ん、眠気覚まし」
「寝ればいいのに」
寝たら夜寝れなくなる、と呟くように言う真希。
そういえば硝子には伝えてあるんだろうか。真希は生理が不順で、生理痛もあるので硝子に伝えるように言っているのだが、基本的に言わない。
「んー、明日言う・・・」
「明日じゃ遅いよ」
明日も言わないんだろうし。
言葉を飲み込んで、真希にホットミルクをいれる。真希は冷たい椅子から離れようとしない。目の前にホットミルクを置いて、真希が一口飲みこんだことを確認する。
「真希、硝子に伝えとくよ?」
「だからいいって」
「だーめ。僕がよくないの」
真希は一度にらんで、あきらめたように視線をはずした。硝子に連絡を入れると、硝子は『今日は無理かもしれないけど、明日と明後日は絶対いる』とのこと。今月真希がそろそろひどくなる時期だと考えているらしく、2日間は真希の様子を見に来るそうだ。
「悟、15分たったら起こして」
「りょーかい」
真希の寝顔を見ていたらあっという間に15分がたって。
「まーきー、まきー」
「ん・・・」
真希が伸びをして、ぼんやり目を開ける。
割とすっきりしたようで、椅子から立ち上がってそのままトイレへ行った。
「真希、痛い?」
「さっきよりはましになった」
「そっか。あ、ねえ真希、今日夕飯どうしよう」
「今日は作るって気分じゃないな。だからなんか買ってくる」
「え!?」
「んだよ」
「体調悪いんだから僕が買ってくるよ!」
「いいって。今は大丈夫だから今のうちに行かねーと」
「じっとしてればいいじゃん!」
「・・・一人じゃなきゃいいんだろ」
真希がボソッとこぼした、この言葉の意味は、僕だから分かる。
「じゃ、一緒に行こうか!」
訳)一緒に来い。
「ただいまー」
「ただいま」
真希と声をそろえて言った後、洗面台を譲りながら手を洗い、お皿に食べ物を乗せた。
「今日の夕飯は豪華だね~!寿司にステーキだよ!」
「つーかお前ステーキ焼く時の火加減おかしいだろ。弱火すぎ」
「なんかレアだと困るな~と思って」
僕がステーキを焼いて、真希には皿の盛り付けを頼んだ。
「ん、うまい」
「よかった~!ねえ、その寿司は?」
「はいはい、わかってるよ」
「どう?どう?おいしい?」
「うまいよ。早くお前も食え」
真希と同じようにステーキを口に運んで、ちょっとだけむせながらおいしい寿司をほおばった。
食後に今朝買ってきたフルーツを食べた真希。僕も食べたいなーなんて思っていたらそれが伝わってしまったのか、真希は僕にパイナップルを1つくれた。
「真希、お風呂入る?」
「ん~・・・今日はいい」
「血行よくなるんだよ?入った方がいいよ」
真希はかなり血を気にするから生理中は入りたがらないのだが。
「それに今日、こういう入浴剤買ってきたんだ」
「何これ。生理の時用の入浴剤?」
「うん、この前調べたらこれが出てきてさ、今日ドラッグストア寄ったでしょ?その時に買ってきたの」
「でもここ、寮生が使う共同のだろ」
「僕んちで入ればいいじゃん」
「悟の家?」
「真希ー、湯加減どうですか~?」
「んー、ちょうどいいー」
「僕も入っていいー?」
「だめ」
「えー、なんでよー」
「生理中の奴しか入っちゃダメ」
「ちぇーっ」
そして、高専の寮にひとっとび。
「おやすみ、真希」
「ん、おやすみ」
真希は僕に頭を撫でられながら眠った。
stay tuned.
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