蒼翼くんと黄海くん。
第3話:お前、もう俺と絡むのやめろよ。
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黄side
黄「違います。僕たちは2年前に既に会っているんですよ?」
青「…!?」
「…どういう事か全く分かんねえんだけど……。」
僕の発言に混乱しているからか、日中の表情とはまた違う彼の可愛い顔が見れた。どうしていつもあんなに顔をしかめているのだろうか…。しかめているのも可愛いけれど、ふつうにしている方が君の髪の綺麗な水色の雰囲気と合っていてとても良いと思う。
黄「ころちゃん…覚えてませんか…?」
青「さーあ…何にももわかりません。」
手のひらを上に向けて顔を横に振る君。まるで海外のコメディドラマのような素振り。煽っているつもりなんだろうけど、なんだか動きが少しズレている。そこも可愛くて好き。
黄「…こっち来てください」
青「わっ、なんだよっ…!」
僕は勢いよく君の手を取り教室を出て、屋上に向かった。
青「はぁっ、はぁっ……」
黄「っはぁ…ここが僕たちが会った場所です。」
青「屋上…思い出せない…。」
髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き回ししながらため息をつく君。僕は君の手を取って宝石のように光る青色の瞳を見つめた。
青「っ…なんだよ…」
黄「ころちゃん、改めて言います…好きです。」
青「っ…!お前それ本気で言ってんの?さっきもあんな事してきて…っ/」
「男のくせに…っ、気持ちわりいんだけど!」
そう罵って下を向いて髪の毛を触る君の耳は赤いような気がした。
黄「…僕、2年前の…1年生だった時、お昼ご飯を食べに屋上に来たんです。」
青「ぁ…?」
──2年前
その日は、雲ひとつない快晴だった。
ガチャ
青「」ビクッ
黄「あっ…」
友達もいないぼっちの僕は、お昼を済ませに屋上へ向かった。階段を昇ってドアを開けると、1人の生徒がいた。
黄「っごめんなさいっ……」
青「あっ待って!行かないで!」
先客がいた事を知り階段を降りようとすると、食堂のパンを片手に青髪の彼はそう言ってくれた。
黄「ぇ?」
青「あの…これも何かの縁だし…良かったら一緒にご飯食べたいな〜って……」
黄「ぇ…ぁ……」
当然ぼっちの僕は毎日一緒にお昼を過ごす友達もいないわけでこんな風に話しかけられるとキョドってしまう。
青「え、嫌かな…くはは…笑」
僕がどう返答しようかと考えていると彼は悲しそうに笑ってそう言った。
ここは勇気を振り絞って彼に本音を告げるべきだ。
黄「ぃ、や!食べたいです!!」
青「うおっ…」
そこから僕たちは世間話を挟みながらお互いの事を知った。
黄「あ!じゃあ同い年だ……」
青「え!がち!?笑、年上かと思ってた!!」
黄「へへ笑、ころんくんと同じなの嬉しい…」
青「僕も!笑…てかさ、その『ころんくん』ってやつやめてよ!」
黄「…へ?」
青「なんか距離感じるわ、るぅとくんいいあだ名考えて!」
黄「えぇ…」
(ころんくんこそ、僕のこと君付けしてるのに…笑)
黄「ころくん…ころん……いやっ笑、なんかちがうなぁ笑」
青「んん」モグモグ……
黄(あ、そういえばお姉ちゃんは僕の事ちゃん付けで呼ぶな…。)
「ころんちゃん……ころ…ちゃん…ころちゃん、ころちゃんってどうですか!?」
青「んぐっW」ブフォ
黄「だっ、大丈夫ですか!?」
青「けほっけほっ…こっ、ころちゃん?WW」
黄「はい……おかしいですか…?」
青「いや?wはじめて言われたなってwww」
黄「えへへ…wはじめて奪っちゃった。」
青「www…何その言い方…w」
それが僕ところちゃんの出会いだった。その日を境に、同じ学年のため廊下ですれ違う度にお話したり友達からこっそり逃げてお昼を一緒に済ませていた。
でも、ある日突然彼が約束の時間に屋上に来なくなった。
それは2年生の半ば頃。そう、彼がグレ始めた時期。さとみとか言う男とつるんで毎日授業をサボって外の廊下横の窓下で如何わしい物ばかり読むようになって。彼は変わってしまった。声を掛けに行こうか。でも、家に遊びに行ったり、通話したりしたも事ない、そもそも連絡先も知らない関係。ましてやどちらかと言うと陰の僕が自分から距離を詰めに行くなんて行動は絶対に無理。
そう考えているうちにも時は過ぎる。
あっという間に生徒会長という学校のリーダーになった僕。でもあることに気づいた。この立場を上手く利用すれば彼、ころちゃんとまた話すことができるんじゃないかと。
でも現実はうまくいかない。彼は今じゃこの学校の不良のTOP。2年も経っていて、当然僕の事を忘れているし、話しかけたところで当たり前のように刺々しい言葉が返ってくる。
僕はまた話す機会を作ろうと彼から本を奪う。
その経緯があっての今。あの時、あの屋上で君が僕を止めてくれたから僕は君と出会えた。僕は君と話したあの瞬間からもう既に惚れていたのかもしれない。
ずっと大好きだった。ころちゃん。今もずっとずっと大好きだよ。
青「…っ」
黄「思い出しましたか?」
青「…あ、…うん。」
やっと……やっとあの時の「君」が帰ってきてくれた。あぁ、やった…やった!
黄「じゃ…っ、ころちゃん!また僕と─」
青「…お前、もう俺と絡むの辞めろよ。」
黄「……え?」
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蒼翼くんと黄海くん。
𝐍𝐞𝐱𝐭⇢1000♡
コメント
7件
えまって!めっちゃ次気になる!
そっちか…!! 私普通に 桃くんが青くんに絡むのやめろ って言ってるんかと思ったわ…( えぇまって展開楽しみすぎる!!😭 このあとどうなんのか予想つかないまじ楽しみ