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「さ、どうぞ食べて〜」
作っておいたカレーを手早くもてなす。だが、修成くんはスプーンを取ろうとしない。
「お前、いつまでここにいる気だ」
急にそんな事を言ってきた。今さら何を、って感じだけど。
「さぁね。気が済むまで居るよ」
私はテキトーに返して、対面の椅子に座って食べ始めた。
修成くんも、無言で食べ始める。
中里絵実。一晩だけ泊めて帰ってもらうつもりだったが、俺の家に住み着き始めた。
そして、いつの間にか家事をやり始めた。俺は家事が苦手な方ではないが、やってくれるのは楽だった。
なのでとりあえず、他に行く気になってくれるまで、置いておくことにした。
その始まりは唐突だった。
「私とエッチなこと、するつもりない?」
勝手にベッドに潜り込んできたかと思えば、ド直球にそう言ってきた。しかも腕を俺の体に回しながら。
「馬鹿か。布団取ったらさっさと戻れ。」
そう強く言ったが、動く気配がない。背中に、柔らかな胸が押しつけられてくる。
「やられる側の素質、あると思うけどな〜。普通にやっても、あんまり感じたことないタイプじゃない?」
黙ってしまった。なぜバレているのか。
「これでも人は選ぶタイプだよ。どう?一回やってみ__」
俺は、何か言いかけた淫乱女を無理矢理体から剥がし、ベッドの端に押し寄せる。
意外と力が強く、なかなか離れてくれないのが腹立たしい。
数十秒ほど粘られたが、床に手が付いた所で諦めたようで、残念そうにベッドから降りた。
「はぁっ…たく……ふざけるなよ…?」
イライラして睨むと、中里はニマニマ笑い返してきた。気色が悪い。
「…さっさとソファーで寝ろ」
俺はベッドの真ん中に戻り、中里に背を向けて寝る姿勢を取る。
だが…最近コイツがいるせいで、一人でやることもやれなかったのも本当だった。少し火照ってしまった体に、怒りを感じる。
中里は「ちぇ」と呟いて、リビングの方へ戻って行った。