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「来てくれたんだ」
ジェシーは、かすかな声で笑った。
京本は何も言えず、ただ頷いた。言葉にした瞬間、崩れてしまう気がしたから。
ジェシーの指が、京本の手を探すように動いた。
京本はそれを包み込む。病室の窓の外で、サイレンが遠く鳴っていた。
「ねえ、最後にお願い、一つだけ聞いて」
京本は首を振った。
「最後なんて言うな」
ジェシーは小さく息を吸い、ゆっくりと吐いた。
「忘れないで。俺のこと。どんな形でもいいから」
京本の視界が滲んだ。
「忘れるわけないだろ」
ジェシーは 満足そうに目を細めた。
その沈黙の中で、京本はようやく言葉を選ばずに口にした。
「好きだった」
ジェシーは一瞬だけ驚いた顔をして、それから、困ったように笑った。
「知ってた。俺もだよ」
その言葉が、二人の間で初めて、完全な形を持った。
遅すぎた告白だったが、それでも確かに、両思いだった。
呼吸が、浅くなる。ジェシーの視線が、京本の顔から外れ、天井へ向かった。
「……忘れないで」
それが最後だった。
京本はジェシーの額に触れ、名前を呼び続けた。
返事は、もう、なかった。