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父が亡くなった。
それは私が24歳の春の出来事である。
1年半ぶりに訪れた父の家は電気もTVも付いていたのに何故か姿は無かった。
猫が私に気づき、甘い声を出し、しっぽを絡めてきたので甘えてるとその時は思っていた。
外で犬が鳴いている。久しぶりに散歩に行こうとリードを持ち家をあとにした。
30分後に戻ったが父の姿はないし気配もない。
また猫が甘えてくる。猫の様子がおかしく思えて猫についていった。
父の寝室が半開きになっている。覗く前に目が合った。父の目はビー玉のようになっていた。
そこからはあっという間に時間が過ぎ、気がつけば2ヶ月はたっただろう。まだ父の目が忘れられない。寝る前に思い出す。まさか父が自分で死を選ぶとは思わなかった、強い人だと勝手に思っていた。