テラーノベル
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ジンは静かに息を呑んだ・・・
自分の会社WaveVibeの技術を、ここまで医療に応用しているなんて・・・しかも、桜が中心となってユーザーの声、五郎くんの様な子供達のフィードバックを何度も取り入れて改良を重ねていたなんて・・・
ジンはその場に突っ立ったまま胸がいっぱいになっていた
桜は輝くような笑顔で感動しているジンを見つめて可愛らしく微笑んだ、まるで自分の仕掛けたことなのに「ね?あなたの手柄よ」と誇り高気に自分を見つめている
極上の笑顔にジンは見惚れた、この笑顔を毎日見たい、いつまでも見ていたい、この笑顔を引き出すためならどんな努力も惜しまない・・・そう思った
こんな気持ちになったのはいつ以来か・・・いや、思い出せない、たぶん、これが初めてだ
「さぁ・・・そろそろお開きにしましょうね、五郎君、私達は帰るわ」
「もうそんな時間?」
数時間後、五郎は寂しそうにシュンとして言った
五郎の父とジンが握手をしている、母は桜に手土産を持たせている、あちこちで別れの言葉が飛び交い、楽しかった見舞いのひと時も終わりを告げようとしていた
「君がゲームをやれるのは何時までだい?」
車椅子で玄関まで見送りにきた五郎にジンが膝間づいて、目線を合わせて言った
「9時だよ、どうして?」
ジンは五郎にむかって微笑んだ
「僕もゲームは大好きなんだ、まだまだ君には適わないのはわかっているけど、夜よかったら時々一緒にやらないか」
「いいよ!『@SoloArmLegend』(※伝説の片腕)が僕のアカウント名だよ!」
「必ず探すよ」
「ハグして!!」
五郎は片腕で驚くほど強い力でギュッとジンの首に抱き着いて来た
小さな体は驚くほど、体温が高く、湿っていて、そして少し汗臭い・・・これぞ生きている人間の感覚だった
胸が震えるほどの感情が沸き上がった、この感覚は知っている、知り尽くしている
.。 .:
ガリ勉兄さん抱っこして・・・
.。 .:・.。. .。.:・
年の離れた弟のヨンジュンは甘えん坊で・・・いつもジンに抱き着いてくっついていた、嫌だなんて思ったことはなかった
母は牡蠣漁の仕事で朝7時には港へ行かなければ行けなかったから、うちはいつもあさ5時には電気がついていた、タクシードライバーの父は夜通し客を乗せて何千キロも移動し、朝方帰って来る
そんな父を寝かせてあげるためにジンとヨンジュンは日中はいつも静かに二人で遊んだ、父と母はジンの学費を稼ぐために、働いて、働いて、働いて・・・いつだって「金」が問題だった
なので弟には色々我慢させていたのが見ていて忍びなかった、どこにも連れていってやれなかった、良い服も着せてやれなかったし、美味いものも食べさてやれなかった、自分が大学を卒業していっぱい稼ぐと決めていた、もうみんなにしんどい思いをさせなくていいように・・・
みんな、僕が稼ぐからもう我慢しないで・・・
.。 .:・.。. .。.:・
胸を鷲掴みにされたようで、息が苦しい、心臓の鼓動が三倍になる、何とか平静を保たないと、桜やみんなが心配している、ツンと目の奥が熱くなり、涙が溢れそうになるのを必死でこらえる
こんな気持ち忘れていたのに
もう平気だと思っていたのに・・・
「・・・ジンさん?どうかしましたか?」
桜が心配そうにこっちを見ている
38歳にもなって・・・大企業のCEOになって、社会的立場は誰よりも上だ、それなのに未だに失った家族をこんなにも恋しく思っているなんて、絶対誰にも知られたくなかった
「五郎君・・・約束するよ・・・今後僕の作るアプリは君達のような人がもっと素晴らしい人生を送れる手助けをするものだ、頑張って開発するよ・・・」
フフフッ「本当?」
ジンの腕の中で五郎が可愛く笑った
「ああ・・・必ず約束する、それから毎月君に会いにくるよ、僕の会社のモニターになってくれないか?僕の会社のアプリゲームを一緒にして君のアイディアを聞きたいんだ!」
「喜んで!お手伝いさせてもらうよ!!」
グスッ・・・「ジンさんなら、そう言ってくれると思ってました・・・」
抱き合う二人を見てそっと桜はここに彼を連れて来てよかったと涙を拭いた
コメント
1件
もう涙腺崩壊だぁ😭😭 どうしてくれます?😢 ジンさん辛い過去を背負ってるけど、家族との幸せだった日々を少しずつ懐かしむことができるとですいいね😌 頼もしいヨメの桜ちゃんと一緒に💓 五郎くんモニター頼んまっせ🤗👍