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蝉の鳴く夏の朝。
今日は一段と暑くて、起きたら雨上がりのような汗をかいていた。
ゆっくりと起き上がり、カーテンを開けた。
快晴。
雲ひとつない空が広がっていた。
蝉の声が聞こえる。鳥の鳴き声も。
少し経つとトラックの荷台で荷物が跳ねる音が聞こえた。
毎朝7時に来る、隣町のおじさん。
いつもは野菜を届けてくれるのだけど、今日は少し違うみたい。
気になって玄関まで行った。
おじさんは明るく
「今日も元気かい?玲音(れおん)。
ところで、とといねーかい?」
と尋ねてきた。
「とと」とは、父親のことを指す。
でも今日は父親は帰ってきていない。
「今日はまだ帰ってきていないんです。」
と私は返した。
そうすると、おじさんは少し寂しそうな笑顔を見せて、いつも通り野菜を置いた。
トラックの音を畑に響かせながら帰って行った。
父親は半年以上前に家を出て行った。
どこへ行ったのかは分からない。
いつ出ていったのかも分からない。
ただ、私が寝ている間に静かに出て行った。