「お、男の子って……」
「男の娘ね。だから問題ないでしょ?」
恭美を抱き締める腕に力を入れ、鼻先を付けたまま囁く。
「麻琴は恭美のこともっと知りたいし、恭美に麻琴のこと知って欲しいな」
右頬に触れ私の口を近付けるとそのまま唇を重ねる。
ゆっくりと離し見つめれば、頬を鮮やかな紅色に染め、しっとりとした瞳で私を見つめ返してくる。
「ねえ恭美、あなたは今変わろうと必死にもがいている。麻琴はそんなあなたがとても愛しいの」
恭美を抱きしめ首筋に唇を這わせると甘い息遣いと声を出した後で体を振るわせる。
自分の声に慌てて口を押えた恭美の両手を握りゆっくりと口から離すと、首の後ろに手を回し引き寄せるともう一度唇を重ねる。
唇を離すと首から鎖骨までゆっくりと口付けをしていく。触れる度にキュッと体を縮め息が漏れる。
「ここには麻琴と恭美だけ。ありのままの恭美の声が聞きたい。そして全てが見たいの」
腰に左手を回して私に密着させ、右手で頬を撫でそのまま髪を撫で見つめる。見つめ返してくる瞳にはまだ不安と迷いの色が見える。
でも拒否はされていない。
「ひやっ!?」
私が恭美をかかえると驚きの声を上げる。
「さ、いきましょっか」
目を見開いてきょとんとした恭美の表情が可愛くて笑みがこぼれてしまう。
「恭美を床の上に寝かせるわけにはいかないもの。あっちにベッドがあるから行きましょうよ」
ちょっと強引にお姫さま抱っこで恭美を、奥の部屋に連れていくと仮眠用のベッドに寝かせ、私はベッドに手を付き恭美に覆い被さる。
「こわい?」
恭美の震える体を擦ると、小さく頷く。怖いと素直に頷いてくれる恭美が愛おしくて、嬉しくなる。
「優しくするから本当に怖くなったら言って」
こくこくと何度も頷く恭美の唇を私の唇で塞ぐと、ゆっくりと舌を這わせる。
それは唇だけでなく全身へと。
最初は衣服越しに。少しずつ柔らかい肌の上に触れる範囲は広がり、触れる度に漏れる息と反応する体。強張っていた体から力が抜けていくことが私を受け入てくれているようで、それが嬉しくてたまらない。
私が触れて、恭美が反応する。
そこに自分が確かにいる。
そう実感できることがとても嬉しい。
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