テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
💙side
🩷「翔太翔太翔太」
隣りのクラスの佐久間が、帰りのHRが終わるなり、教室のドアから顔を覗かせて手招きしている。
相変わらず元気だし、声がでかい。
カバンを持って廊下に出た。後ろから女子の「渡辺くん!掃除当番!」と騒ぐ声がしたので走って逃げた。今日は俺は急遽人と会う約束をしているのだ。
廊下を走りながら階段を駆け下り、昇降口で靴に履き替えると、やっと一息つく。
佐久間は息も乱さず俺についてきた。
🩷「にゃは。お前、また怒られんな」
💙「しゃーないわ。俺、今日は時間ないし…。で、何か用?」
🩷「例のアプリ!」
それが最も大事な用件だ、とでも言うように、佐久間は真剣な顔で手の中のスマホを示した。
🩷「俺、とうとう運命の出会いをしたかもしんね」
💙「今年入って何度目だよ。大袈裟なやつ」
🩷「今までがいまいちだっただけ!!!」
佐久間は、マッチングアプリの上級者で、高校に入ったと同時に彼氏が欲しい!と騒いでアプリを使い始めた。ちなみに俺と佐久間は家が近所の幼なじみ。お互いになんとなくそんな気がしていたが、中学の時にとうとう好きな人が被って、仲良く失恋してから大親友になった。
かっこよかったな…目黒先生。
今は他校の美人で有名な数学教師と結婚して、二児のお父さんになったと風の噂で聞いている。
💙「前回の小学生は笑ったな」
🩷「あ、ラウールね。だってあんな年下だと思わないじゃんよ!!!」
佐久間も思い出し、一緒に腹を抱えて笑った。
ひとつ前の超絶イケメンに会いに行った佐久間は、相手が小学3年生だと聞いて慌てて逃げて帰って来た。呼び出された場所が公園で、ランドセルを背負っていたらしい。現代では小学生でもマッチングアプリとか使うんだなと大変勉強になった。
アプリには、きちんと年齢を書く欄があるけれど、守っている人は少ないと思う。
俺らみたいな大人に見られたい高校生や、若く見られたいおっさんとか結構年齢操作してそうな人は見かける気がする…知らんけど。他にも職業とか、趣味とかみんな適当に書いてるんだろうなあというプロフィールがあちこちに散見されていた。
佐久間は、今夜誰かと約束したらしい。
🩷「経歴は地味なリーマンって感じなんだけどさ、趣味合うし、結構良くない?」
見ると、プロに撮ってもらったのかとでも言いたくなるような、キメキメの写真だった。 左右目の大きさが違う雌雄眼がなんだか色っぽい、色白の大人の男。無造作に目にかかった前髪が色気を演出していた。なぜか手に紫の花を持っている。見た感じ、いかにも軽薄そうな印象を受ける。
💙「まあ、でも今回は老けてるし、未成年ってことはなさそうだな」
🩷「おい、早速けなすなよ。高校生以上なら俺は無問題よ」
💙「どこが気に入ったの、コイツの」
🩷「え、見る?メッセージ?」
佐久間は大きな目を輝かせて、個人的なメッセージのやり取りを強引に俺に見せてきた。
💜『あまりにも可愛くて8度見しました!!!さっくんて呼んでイイ???わら』
💜『さっくんおはよー!!!今日もさっくんと話せて幸せだよ!!!わら』
💜『何度も呼んでいーい?さっくん、さっくん、さっくん…わら』
💙「わら、ってなんだよ怖えよ」
🩷「俺も最初はドン引いてたんだけどさ、なんか今じゃ語尾にわら、ついてないと物足りなくなるくらいハマった」
💙「お前らきも」
最後のメッセージには二人がこの後会う時間と場所が書いてあった。
💙「え。俺が今夜約束してる場所と一緒じゃん。時間も」
🩷「マジ!?!?ってか、お前、アプリ興味ないとか言ってたくせにとうとう会いたいやつ見つけたんだな!」
佐久間はいつになく嬉しそうだ。同時に会うのは何となく気まずいけど、今さら時間や場所を変更するのも…と思って、俺たちは後で再会することにした。まあ、佐久間の待ち合わせ相手がどんな人なのかも気になるし、もし危ない目に遭いそうになったら助け合えるし。
🩷「んじゃまた後でな!!!」
💙「おう」
手を振り、俺たちは着替えに帰った。
コメント
5件
小3ラウちゃんwwwwwwwww
あら後で出会っちゃうじゃん2組😂 てかこっちの🖤はもうパパなんだ😂