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💛side
仕事を珍しく定時で切り上げて、駅に向かうと、改札を抜ける辰哉の姿があった。
💛「おう、今から?」
💜「おう。お前は?今日は家に帰らねぇの?」
💛「ちょっとな」
まさかアプリの待ち合わせ場所に行くなんて言いづらくて誤魔化した。今朝までマッチングアプリなんて本当に活用しようなんて思ってもみなかったし、恋人なんていなきゃいないで身軽でいいとすら思っていたのに、この数時間で起きた心境の変化に我ながら驚く。
それほど、今日見つけた相手は好みだった。
まず、顔がイイ。
本当に男か?と疑いたくなるような全体的に可愛らしい顔立ちに、白い透き通るような肌。真っすぐな鼻筋に何かのキャラクターを思い出させるような可愛らしい口元。緩くパーマのかかった髪は触ったら気持ちよさそうだし、薄い唇の上にあるホクロもチャーミングだ。
さらに目を引いたのは、自己紹介文。
『美意識の低い男はお断り。デブとブス以外でよろしく』
それだけ。そっけないにも程がある。
どことなく漂う敷居の高さに、ライクを付けている人数も思ったよりも少なかった。
綺麗な子だけど、相当にプライドは高く、性格が悪いのかもしれない。まあ、会ってみて好みじゃないと向こうに言われればそれまでだが、最近の趣味の『筋トレ』にもシンパシーを感じてメッセージを送ってみたらあれよあれよと会うことになったというわけ。
電車が目的の駅に止まると、辰哉と同時に降りた。
まさかな、と思っていると同じ出口を目指して歩いている…。
💜「おい、どこ行くんだよ。照」
💛「お前こそ」
目的の場所に辿り着くと、大きな声が上がった。
🩷「ふっかさん!!!」
辰哉に見せられた写真のピンク髪の男の子が、写真からそのまま抜け出してきたように、辰哉に手を振っている。そしてその後ろには…。
💛「SHOくん?」
💙「……ちす」
俺の待ち合わせの相手、SHOがいた。