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アビス本部・地下会議室
円卓状に広がる暗い会議室には、重い沈黙が支配していた。
中央に浮かぶホログラム装置には、ORVAS所属――公太・唯我・一祟の戦闘映像が映し出されている。
フードを被った幹部たちは、その光景を無言で見つめていた。
やがて、冷静な声の幹部が低く呟く。
「……ORVASに、新たな戦力が加わったようだな」
艶やかな女の声が続く。
「まだ若い子たちね。でも……あの“光”、ただ者じゃないわ」
壁にもたれたゼノスが、わずかに口角を上げる。
「ああ。隼人の失敗が、結果的に“覚醒”を早めたな」
ホログラムの中で、公太の瞳が一瞬だけ光を帯びる。
年嵩の男が鼻で笑う。
「ネオ・コード……ORVASが切り札として隠していた力か」
女が艶やかに笑う。
「壊すなら、今が一番おいしい時期ね」
ゼノスは静かに手を上げた。
「焦るな」
一瞬で空気が張り詰める。
ゼノスはゆっくりと目を開く。
「力はまだ未完成だ。だからこそ見極める価値がある。そして……」
低く、冷たい声。
「絶望の底に落とす」
ホログラムが暗転し、部屋に不気味な静寂が戻る。
その奥から、低い笑いだけが響いていた。
高校・正門前(朝)
爽やかな朝の光の中、生徒たちが校門をくぐっていく。
その人波の中に、武藤公太の姿があった。
ポケットに手を突っ込み、無言で歩く。
背後からざわめきが追ってくる。
「見た?あの動画……ヤバすぎだろ」 「普通の高校生じゃないよな……」
公太は気にしないふりで歩き続ける。
だが、その前に二つの影が立ち塞がった。
「武藤公太君」
教頭と校長だった。
教頭が冷たく言い放つ。
「君は本校にふさわしくない」
公太の足が止まる。
「……は?」
教頭はスマホを差し出す。
そこには戦闘映像――アビスとの戦闘記録が映っていた。
「すでに世間に知られている。学校の安全にも影響が出ている」
校長が続ける。
「このまま在籍させることはできない。自主退学を勧告する」
ざわめきが広がる。
「マジかよ……」 「やっぱ危ない奴だったのか?」
公太の拳がゆっくりと握られる。
「……ヒーロー気取りでも、これかよ」
低く笑い、顔を上げる。
「で?辞めろってことか?」
「応じなければ退学処分もあり得る」
その瞬間――
空気が変わった。
校門の外から、落ち着いた声が響く。
「それは少し、乱暴ではありませんか」
視線が一斉にそちらへ向く。
ゆっくりと、一人の人物が歩いてくる――。