“ツンデレ”
そんなものに憧れを抱いてしまうのは分かる。俺も一時期はツンデレ女子を求めていた。が、ツンデレ女子を創ろうとは思わなかった。
「で、“ツンデレになる魔法薬”をランスが大量に被っちまった訳だな?」
「…はい。」
今目の前にいる男は“ツンデレになる魔法薬”なるものを作って好きな女の子に服用させようと企んでいたようだが滑りやすい廊下のせいで「ツンデレの究極体ver.ランス・クラウン」が誕生してしまったのである。
ツンデレの究極体とは、自分が想いを馳せていた相手に対し強い憎悪が湧き上がり、逆に腸が煮えくり返る程嫌いな奴に愛を囁くようになったりしてしまう事である。(自社調べ)
今は彼奴が保健室で寝ているため被害(?)は出ていないが、このままずっと眠っている訳でも無いだろう。次期に目を覚ますはずだ。その際にマッシュ達が傷つかないように根回しをしておかなければ…。
「クラウンさんが目を覚ましました。」
おっと。根回しする時間などなかったようだ。ダッシュで保健室へ向かうマッシュに追いつくことも無くドアが開け放たれ(破壊され)る。
中には上半身だけ起こした状態のランスがいた。
「…?なんでバーンデッド達が来たんだ?」
場が凍りつく。バーンデッド、なんで来た?そんな言葉をかけられると思っていなかったため困惑が隠せない。
「すまねぇ、今説明すっから… 」
マッシュの肩に手を置き説明を聞くように促す。
ガチャン
「…え?」
俺の横を硝子のコップが通過して行った。
もちろんマッシュ、フィン、レモン、俺はコップなど持っていない。つまり投げたのは…?
「ランスくん!?どうしたの!?」
素っ頓狂な声を上げ疑問を投げかけるフィン。
それに対し必死に声を荒らげ
「どうしたもこうしたもあるかっ!!なんでそいつがここにいるんだ!?顔を見せるなっ!!」
俺を睨みながら叫ぶランス。
え?そんなに??
「一旦保健室から出てください。」
先生に言われ部屋を出る。その際にランスの現状の説明をしておいた。
「え、嘘でしょ…?」
「俺だって嘘だと思いてぇよ」
まさかあんなに拒否反応が出るとは。特に俺に対して。もとから嫌いだったなら普通ツンデレだもん好意的な対応にならない??そんなに俺の事嫌い???流石に傷つくんだけど…?
若干パニックになっていて頭がどんどんカオスになっていく。そんな頭を冷やそうとしてくれたのは保健室の先生だ。
「バレットさん、あなたに対してあそこまで拒否反応が出たのは薬を被る前にあなたの事が好きだったからと考えるのが妥当です。」
冷やそうと見せかけて熱湯をかけてくるタイプ??質が悪いぜ…って、え?
「は?」
あいつが俺の事を?す、すすす、好き?
普段から俺に罵詈雑言を浴びせてきて挙句の果てには重力魔法で床に張り付けるような男が???
明らかに好意を抱いている相手にする行動じゃねぇだろ。
でも…
「そう考えるのが妥当、か…」
その日は不本意ながら赤くなる頬を抑え一人悶える夜となった。
コメント
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やばいな、、、最&高じゃないか!!!!!!!!ウヘヘヘ続き待ってます!!!😇