コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「して、俺に聞きたいことって?」
「単刀直入にお聞きます。貴方様は特別強い訳ではなくその逆、とても弱いですよね?」
「いやぁ……まぁ…………。うん……。そうなんだけど、こう真っ直ぐ伝えられるとやっぱり、ね?効くよねだいぶ……。」
「何故そんなあなたが危険を犯してまでこういった事態に介入を?そもそも、なぜ冒険者を目指そうと?」
「危険を犯してまでこういうのには俺も首突っ込みたくないよ?だって死にたくねぇもん。けど、今回のこの件は一緒に旅してる小さな女の子、マリンが助けたいって言うからじゃあ、助けるかって話なだけ。
冒険者をやってる理由は単に金稼ぎが楽なんじゃないかって思ってやった結果そんなこと無かったんだけど、生計を立てるには続けざるを得ないからって話しよ…。 」
「なるほど……。では、そのマリンちゃんが『助けたい』と話さなければ助けなかったということでいいですか?」
「まぁ、うん。気持ち的には助けたいけど、さっき話した通り俺はびっくりするくらい弱いので助けに行ったところで秒殺されるから、見て見ぬふりをしようとしてたのよ。」
「……うん。やはり、貴方は他の人間と比べ異質な人だ。」
「え?余裕で人を見捨てるところがそれってこと? 」
「いいえ。むしろその行動は『人間』らしく私は嫌いじゃないですよ。自分の力量を見極められてる証じゃないですか。」
「なんか、褒められてる気がしないんだけど……。」
「大抵の人はあなたと同じで関与することが嫌で見て見ぬふりをする方が大多数です。その心根も『関わると面倒くさい』という思いが浮かぶからですね。
もちろん心根から困ってる人を放っておけないなんて思う人もいます。それら全てを含めて『人間』だと私は考えてますが、あなたはそのどちらでもなく、関与することはめんどくさいと思いつつも助けたい気持ちもある。しかし、その行動をとるには己では力量が足らない、だから手を貸せなかった。そう結論付けてあなたは手を引いた。
しかし、あなたはそのマリンという子の一声で自分の考えを全て捨て去り彼女の意向を第一にした。それが、他の人と違うところです。もちろん他にもありますけどね」
「やっぱり褒められてないよな俺……」
「あなたにとって彼女…マリンはどう言った存在なんですか?」
「どう言った存在って言われても、俺は彼女の保護者みたいなもんよ。関係値を知りたいと思ってるだろうからサッと話すと、彼女は元は奴隷少女で、偶然俺が奴隷商人から逃げた彼女を見つけてそのままほっとくのは寝覚めが悪いから保護したって話。」
「なるほど…。では、今回のこの件も彼女が『元奴隷』という事で思うところがあり、行動したってところですかね?」
「まぁ、そうだろうね。俺は厄介事に巻き込まれたくはなかったけど、マリンがそう言うなら付き合ってやるかなってだけ。言っても俺なんかじゃ力になれるかと言われたら、ね?」
「確かにそうですね。実力もないあなたが居ても邪魔になるでしょう。」
「………。」
「ですが、あなたがそばにいることが大事なんだと思います。彼女にとってあなたやもう一人の方、確かルナベルさんでしたよね?その方が共に居てくれる、自分のやりたいことを肯定してくれる人物が今の彼女には必要なんですよ。」
「まだマリンも子供と言えば子供ですからね。」
「そしてあなたはあなたでマリンちゃんだけでなく、ルナベルさんも大切に思ってるようで?」
「そりゃー仲間ですし、実力なくとも俺はこのメンツのリーダーになってるんでね。」
「ふふっ…面倒臭がりな割に仲間思いのいい人だ。それ故に、あなたは自己犠牲ということに対して躊躇いは無いみたいですね。」
「……いやぁ?」
「隠しても無駄ですよ。私にはわかりますから。」
「じゃあ仮にそうだとして、それを知ったところで何かあるんです?」
「えぇ。あなたにとある魔法をお教えすることが出来ます。」
「魔法、か……。だいたい才能なかった俺に使える魔法ってあんの?」
「ありますよ。それも取っておきの魔法があります。」
「それ絶対代償とか大きいやつだよね?」
「よくお分かりで!強力な技にはそれ相応のデメリットがあるものですから」
「そんなとんでもない魔法を俺に伝授しようとしてる大妖精様が怖いっす。
あんま聞きたくはないっすけど、その俺に伝授しようとしてる魔法ってなんすか?」
「簡単に言えば『自爆魔法』よ。 」
「ほらやっぱりろくでもねぇ魔法じゃないですかぁ。」
「『自爆魔法』なんて話しましたが、使い方次第では死ぬことは無く、強力な技という面では間違ってないです。」
「覚えるか覚えないかは別として、詳細聞いてもよろしい?」
「もちろんです。この魔法は先程お話した『自己犠牲』という話に繋がります。
これは術者の『覚悟』に対してそれ相応の威力を引き出すという魔法です。例えば、誰かを守るためにこの魔法を使うとなると、威力は少なく見積っても『最上級』と同格になります。
逆に言えば、死にたくないからこの魔法を使うなんて心持ちですと『低級』にすら勝てない程の魔法に成り下がります。」
「かなりピーキーな魔法なんですねぇ。
けど、そんな魔法俺聞いたことないぞ?皮肉にも才能がないが故に色んな職にあれこれ手を出してたから知識だけは誇ってるつもりなんだけど、『自爆魔法』も存在は確認されてるが【禁術】て扱いで詳細は不明。
さらに、大妖精様が今話した『覚悟』によって威力が変わる魔法なんてもっと聞いたことない。」
「そりゃ聞いたことないと思いますよ?」
「え?」
「だってこの魔法は妖精族と人間が関係を断つことになった原因の魔法だもの。」