テラーノベル
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少しだけ57話の内容が入ってます
深夜の静まり返ったリビング。
伊沢が玄関の鍵を開けた瞬間に広がったのは、いつもと違う濃密で、どこか甘ったるい空気だった。
izw「ただいま……」
深夜、重い足取りで玄関の鍵を開けた伊沢は、廊下の奥から漏れる、いつもより少し熱を帯びたような明かりに目を細めた。
リビングへ足を踏み入れると、そこには異様な光景が広がっていた。
ソファの上で丸まり、肩を震わせている人影。
伊沢が今朝脱ぎ捨てていったはずの、ぶかぶかな白シャツを羽織っただけの河村拓哉だ。
izw「……拓哉? 起きてたのか」
声をかけた瞬間、河村の身体がびくりと跳ねた。 膝を抱え、クッションをぎゅっと抱きしめて顔を伏せているが、その隙間から見える首筋や耳の裏までが、痛いくらいに赤く染まっている。
乱れたシャツの裾から覗く指先が、シーツを掴むようにクッションを握りしめ、まだ熱を帯びたままの吐息が「はぁ、……っ」と静かな部屋に漏れ出していた。
kwmr「おかえり、拓司。……遅かったね。寂しかった……っ」
河村は、潤んだ瞳で伊沢を見上げると、吸い寄せられるようにその胸元に頭を預けてきた。
シャツからは伊沢自身の匂いと、さっきまで一人で自分を慰めていたことが一目でわかるような、生々しく甘い河村の匂いが立ち昇ってくる。
izw「……っ、おい! 拓哉、お前、自分が今どれだけ無防備なことしてるか分かってんの!?」
kwmr「分かってるよ。伊沢に、甘えたかったの……。……ダメ?」
上目遣いで、縋るように見つめられる。河村のそのあまりに直接的なアプローチは、編集部で山本が用意していたどんなチケットよりも、遥かに伊沢の理性を削り取っていく。
izw「ダメじゃないけど……。お前、編集部で山本が鶴崎相手に『全然気づいてもらえない』って泣きついてたの見てただろ。俺まで今、別の意味で限界を迎えそうなんだけど」
kwmr「ふふ、いいんじゃない? あっちが『鈍感』なら、こっちは『過敏』になれば。伊沢の反応、やっぱり面白い……っ」
河村は熱っぽい吐息を漏らしながら、さらに密着度を増して、伊沢のネクタイを指先でゆるゆると解き始めた。その指先は、まだわずかに震えている。
kwmr「さあ、伊沢さん。クイズ王の明晰な頭脳で、この状況の『正解』、導き出してみてよ」
耳元で囁かれた甘い声に、伊沢は観念したように天を仰いだ。 編集部では後輩の恋路に胃を痛め、家ではあまりに扇情的な相方に翻弄される。
izw「……ったく。……正解は、さっさと寝室に連れて行くことだよ。一人でさせるなんて、俺の落ち度だったな」
伊沢は低い声でそう告げると、自分より一回り小さい、熱を帯びた身体をこぼさないようにしっかりと腕の中に抱き込んだ。
(おわり)
コメント
4件

やばい、ほんと、やばいですよ
最高です!!!ありがとうございます😭😭😭😭
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