『僕は、恭香ちゃんのことが好きだ。優しくて笑顔の素敵な素晴らしい女性だと思ってるよ』
これって…
一弥先輩が、私に告白してるってこと!?
『ちょっと待って下さいよ。どさくさに紛れて私の前で告白とか…マジヤバくないですか?本当、有り得ないんですけど』
『…ごめん…こんな風に言うつもり無かったのに…』
一弥先輩…
驚き過ぎて、私は何も言えなかった。
『…恭香先輩を好きだって言っても、人間として…ですよね。優しいとかそういうところが…』
『本当に…恭香ちゃんのことが好きだよ。それは、もちろん人間としてもだけど、僕は今、女性として恭香ちゃんを見てるんだ』
そんな…
女性としてって…
この私を女として好きだって言ってくれてるの?
一弥先輩が?
大好きだった一弥先輩が、私を…?
これって、何?
全然理解出来なくて、夢を見てるんじゃないかと思った。
『嘘みたい。一弥先輩って、本当に見る目ないんですね。菜々子先輩の方が絶対綺麗なのに。恭香先輩なんて何にもいいとこないじゃないですか。男に媚び売ることしか出来ない人なのに!一弥先輩のこと見損ないました!!』
梨花ちゃんはそう言って、ドアを激しく閉めて出て行ってしまった。
媚び売る…って、私ってそんな風に見えてるの?
誰だってみんな男性と話すじゃない。
そりゃあ一弥先輩や朋也さんには、少しは意識してるかも知れないけど…
だからといって、わざとかわい子ぶったり、そんな器用なこと出来ないし。
だいたいキャピキャピ出来る性格じゃないし…
『恭香ちゃん。梨花ちゃんの言葉なんか気にしちゃダメだよ』
『ありがとうございます…梨花ちゃんは一弥先輩のことが好きだから…ついあんな風に言ってしまったんだと思います…それはわかってあげて下さい』
『そんなこと…僕は知らないけど、あんなひどいことを言える女性はやっぱり嫌だよ。僕は…優しい人が好きだから。恭香ちゃんみたいな』
『私…前にも言いましたよね。一弥先輩が菜々子先輩に告白するのを見たって…あの時、すごく悲しくてつらくて…』
『恭香ちゃん…』
『確かに、私は一弥先輩のことが好きでした』
言ってしまった…
『…でした…?もう過去形なの?』
『ごめんなさい。私…本当に最低なダメな女なんです』
深く頭を下げる私の肩を、一弥先輩が優しくつかんだ…
そっと私が顔を上げると、一弥先輩が私を見下ろした。
こんな近くで一弥先輩を見たことは今まで無かったな…
整った綺麗な顔…
肌もスベスベで…
吸い込まれそうな二重の大きな瞳が、私のことを捕まえて離さなかった。
私…
一弥先輩が、ずっとずっと好きだった。
心の奥から溢れ出すその想い。
嫌だ、また涙が出てくる。
本当に泣いてばっかりで…
涙腺緩すぎ…
一弥先輩は、その涙を優しく指で拭いてくれた。
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