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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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太陽の光に起こされた。土曜日、いつもは何もせず無駄にする休日だけど、今日は違う。

顔を洗っていつもより見た目に気を使うように支度をしていると、スマホの通知音が鳴った。

『ごめん一時間遅れるかも』

ナツキからだ。今日はナツキと一緒に私の思い出の場所に行くことになった。

友達と出かけるのなんて何年ぶりだろう。

『了解!急がなくて大丈夫』

そう返信して、昨日の飲み会の帰りを思い出す。

「フウカ!」

体調が悪いと言って店を出たとき、後ろからナツキに呼び止められた。

「ナツキ、なんで?」

「なんか元気ないから心配で、追いかけちゃった」

歯を見せて笑うその笑顔が、あの子に似ていてつい目を逸らしてしまった。

「体調悪いだけだって」

嘘だ。嘘なのに誤魔化す気力も無くて、無意識に頬に涙が流れた。

その感触は、大人になってからも、何度も何度も感じたものだった。

「私でよければさ、話聞くよ」

ナツキのさっきとは違う微笑み方に、やっぱりあの子の笑顔が重なり合ってしまう。あのことを、何年も引きずってしまっている私が明確になる瞬間が、嫌になる。

ガコンッと音を立てて落ちてきた缶コーヒーをナツキから受け取り、ベンチに座る。

「さ、何があったのか聞こうか」

空気を柔らかくするためか、ナツキが下手な変顔をしてそう言ってきた。

一度目を瞑り、深呼吸をする。

記憶を巡り、鮮明に思い出されるそれが、ナツキに話した過去の話だ。

「神様はね、いつも私たちを見てるんだよ」

近くの神社でタイムカプセルを埋めに行った帰り、寄り道して見つけた喫茶店。

ミドリが突然そんなことを言い出すから、メロンソーダを吹き出しそうになった。

「やっぱり宗教勧誘だよね?」

「違いますっ」

いつかと同じ会話とミドリの表情。最近やたらと神様について話してくる。

「神様神様言われすぎて頭がおかしくなりそうだー」

頭を抱える仕草をしようとしたら、肘に何かがぶつかってカシャンッと音がした。

「うわっ」

メロンソーダがこぼれ、ミドリの制服が濡れてしまった。

店員さんから急いでタオルを受け取り、机を拭いて、ミドリは制服から体育用のジャージに着替えた。

「ほんっとごめん!」

顔の前で両手を合わせると「大丈夫だって」と笑って許してくれた。

「今日体育があってよかったー、神様のおかげだね!」

そう言いながら歯を見せて笑うミドリを見ると、神様はいるのかもしれないな、と少しだけ思った。そして、好きだなあとも。

「今好きって言った?」

「え!?」

無意識に心の声が口に出ていたらしい。

いくら友達でも好きなんて言葉はなんだか恥ずかしかった。

「ミドリのその笑い方、めっちゃ好きだなって」

「そういうことね!でしょうね!」

「なんかドヤってるのムカつく」

こうやって二人で笑いあう毎日が、ずっと続くと思ってた。




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