テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ずっと、欲しかった。優しい母の温もりと笑顔が。望んで。待って、待ち焦がれた。結局、それは、ないまま消えた。その後すぐ父が再婚した。父は自分を良くも悪くも思っていなかった。再婚したことで母と兄ができた。兄の方は優しくて、かっこよく見えた。母は自分を見ていい顔はしなかった。再婚から少し経って、両親ともに県外を回る仕事がある。と言って、月に一回の程度でしか帰らなくなった。待ち焦がれた母親からの愛はもらう前に遠くに行った。その愛を全面に受けた兄が羨ましくて、最終的に恨みに変わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そこで悪役になった弟は主人公の兄を…」
「もういい、分かった。お前がどれだけこのゲームの悪役が好きかは十分伝わった。」
「だから、今はこの攻略法おしえて。」
「すまん。この子ついてとか聞かれないからつい。」
最初に話した過去がアプデで追加される以前まで、この主人公の弟、悪役なのもあるが、このゲームにおいて初見殺しのような選択をさせるなどがあり。そのため人気投票は最下位。まさかの一言しか出番のないモブにも負けていた。アンチも沢山居た。過去が証されたときから酷い掌返しで飛ぶように人気が増えたが、運営は1枚上手で古参の人間しか、グッズを入手できないようになっていた。本当にすごい。
「この子はこうしないと厄介になる。そのあと…」
真面目に教えると、
「サンキュ、」
素っ気ない感謝をされた。今更だが、コイツがプレイしているゲームは。いわゆる恋愛ゲームだ。主人公は攻略対象の危なっかしい行動で死なないよう、バットエンドを迎えぬようにして攻略するゲーム。だが、問題は攻略対象は全員ヤンデレだということだ。向こうから勝手に好いてくるキャラはいないが選択肢によってすぐにバットエンドになる。だから、俺の唯一の親友の蓮(れん)は慎重に選択して攻略しているが。未だに何回か死んでいる。バットエンドが多様なこのゲームはゲーマーの彼でも難しいのだろう。だからこのゲームに特化したと言っても過言ではない俺を呼んだ。…と思う。
今の時刻は15時過ぎたあたりだ。急にアイスが食べたくなった。そこで、
「ちょい、甘いもん買ってくる。適当に進めといて。」
そう言って、唯一の親友と言える蓮(れん)に【攻略ブック】と称したノートを投げつけた。
「りょ、てか投げんなし。」
「ごっめ〜ん。」
ここで拗ねたのか返事はなかった。長時間ゲームしていたせいか、真夏の暑さの中黒色のパーカーを着たせいか、頭がグラグラして、汗がダラダラと溢れ出た。暑さに耐えかねてコンビニにほど近い公園の木陰のベンチに座る。これが行けなかったのかもしれない。道路でボール遊びをしている子がいた。急にその子の後ろにトラックが迫っているのが分かった。喉が枯れていたのか声が出ない。そこでその子を庇って轢かれた。
誤字脱字ありましたら、コメントで💦