コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
どうしてそんな甘い言葉を言うの?
『恭香はさ…好きな人がいるんだよな』
朋也さんのストレートな質問に驚いた。
『あの…』
それ以上言えなくて、黙ってしまった。
『好きな人…一弥君だろ』
あ…当たった…
どうしよう、顔に出てるかな…
『朋也さん…私…』
『一弥君は、良い奴だと思ってる。仕事も出来る。ただ…俺、恭香のことだけは絶対に譲れない』
『…すごく嬉しいけど、きっとこんな状態でずっといたら、2人ともに嫌われてしまうんじゃないかって…こんな答えも出せずにフラフラしてる私なんて…』
本当にそうだ。
私なんかがもったいないくらいの告白を受けて、しかも、2人から…
それに酔ってフラフラ迷って…
最近会ったばかりの朋也さん、ずっと大好きだった一弥先輩。
2人とも本当に素敵過ぎて、迷路の中でウロウロ迷ってるみたいだ…
そして、もしこれが出口のない迷路だったら…
私は…いったいどうすればいい?
『私ね。今日、一弥先輩から告白してもらったの。ずっと好きだった先輩から』
一弥先輩に告白されたこと、自然に朋也さんに話してた。
『そっか…』
『朋也さんも、一弥先輩も…私にとってはとても大切な存在で…』
『恭香は、一弥君のことずっと好きだったんだ…』
朋也さん、ちょっと下を向いた。
『…一弥先輩は、私をいつも励ましてくれたから。すごく優しい先輩で』
私がそう言うと、朋也さんはゆっくりと顔を上げて、私の顔を見た。
『一弥君がどんなに恭香を想っても、それは、俺が恭香を想う強さには絶対勝てない』
朋也さんの言葉が、強烈に私につき刺さった。
テーブルの周りを少し移動して、朋也さんは私の隣にきた。
座ってる私の腰に両手を回して…
そして、すごく優しく抱きしめてくれた。
『俺、ズルいな。同じ部屋にいて、こうやって恭香を抱きしめられる…これじゃあ、フェアじゃないよな』
朋也さんに抱きしめられて、私は…とてつもない安心感に浸った…
キスをするわけでもない、体を求めるわけでも…
ずっといつも私のことを考えて大切にしてくれてる。
朋也さんはズルくなんてないよ。
そのあと、私達はそれぞれの部屋に入った。
朋也さんは、一弥先輩のこと…あまり深くは聞かなかったな。
仕事ではお互いを認め合っている2人。
私は、本当にどっちが好きなの…
ベッドにもぐって目を閉じてみるけど、なかなか眠れなかった。
疲れてるはずなのに…
何度も寝返りを打つ。
何も考えないように、無になるようにって、そう必死に自分に言い聞かせるけど全然ダメ。
朋也さんも一弥先輩も、私の頭から離れないんだ…
2人の笑顔や優しい仕草とか…嬉しかった言葉とか交互に出てきては消えて。
本当に…
この厄介な自分の心を軽蔑しそうになる。
夢の中でも、私は2人のことを考えるのかな…