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夜の雨。
レイヴンは、一人で街を歩いていた。
フードを深く被り、
血のついた剣を引きずりながら。
「……ノア……」
その名前だけが、頭から離れない。
⸻
三日前。
裏市場。
情報屋の男が、ニヤつきながら言った。
「……“黄昏の徒”の動き、知りたい?」
「……金はいくらでも出す」
「……金じゃ足りねぇな」
男は、首を傾げる。
「……仕事、受けてくれるならな」
⸻
その仕事は――
敵対組織の幹部暗殺。
レイヴンは、一瞬だけ迷った。
でも、ノアの顔が浮かんだ。
「……やる」
⸻
現在。
路地裏。
レイヴンは、壁にもたれて息を切らしている。
「……何人目だよ……」
手は、震えている。
吐き気がする。
でも、剣を離せない。
⸻
回想。
アイリスが、必死に止めていた。
「……お願い、やめて……」
「……ノアは、
こんなこと望んでない」
レイヴンは、目を逸らす。
「……それでも……」
「……俺が行かなきゃ……」
⸻
情報屋は、約束通り地図を渡す。
「……この辺りだ。
怪しい施設がある」
「……本当だろうな」
「……嘘ついたら、
次は俺が死ぬ」
⸻
夜明け。
レイヴンは、地図を握りしめる。
「……待ってろよ、ノア……」
⸻
一方。
ノア。
施設の庭で、花に水をあげている。
その様子を、ルカが見ている。
「……少し、表情変わったな」
「……そう?」
「……生きてる顔、してきた」
ノアは、小さく笑う。
「……それ、
初めて言われた」
⸻
夜。
レイヴンは、地図の場所に到着する。
巨大な扉。
黄昏の徒の紋章。
「……当たり、か」
剣を抜く。
⸻
その瞬間。
背後から、声。
「……お前、
何人殺した?」
振り返る。
そこにいたのは――
黄昏の徒の幹部。
白い仮面。
「……ノアを探してるんだろ?」
レイヴンの心臓が、跳ねる。
「……知ってるのか……」
「……取引しないか?」
⸻
「……ノアの居場所、
教えてやる」
「……代わりに――」
幹部は、ゆっくり言う。
「……“第三勢力”を潰せ」
レイヴンの拳が、震える。
「……第三勢力……?」
「……ルカのとこだよ」
⸻
沈黙。
雨の音だけが、響く。
レイヴンの頭に、
ノアの笑顔が浮かぶ。
そして、
カイの死体。
⸻
「……やる」
低い声。
幹部は、満足そうに笑う。
「……いい顔だ」
⸻
その瞬間。
アイリスの声が、背後から響く。
「……やめなさい、レイヴン」
振り返る。
「……聞いてたの?」
「……全部」
アイリスは、涙目で言う。
「……それ、
ノアを二度殺すのと同じよ」
⸻
レイヴンは、歯を食いしばる。
「……それでも……」
「……俺は……」
「……あいつを取り戻したいんだよ……」
剣を、強く握る。
⸻
ラスト。
レイヴンは、
黄昏の徒の幹部と並んで歩く。
背後で、
アイリスが崩れ落ちる。
「……ごめん、ノア。
俺は、
ヒーローじゃなくなった。」
画面暗転。