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名前のない約束

15 - 第15話 あなたを殺したのは、私だった

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2026年01月25日

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静かな夜。
 ノアは、施設の図書室にいた。


 分厚い魔導書を、ぼんやりと眺めている。


「……“核”と同波長の人間は、

 周囲の魔力を暴走させる……”


 ページをめくる。


「……接触者の魔法が、

 意図せず変質することがある……?」


 胸が、嫌な音を立てる。



 そのとき。


 背後から、ルカの声。


「……それ、読んだんだな」


 ノアは、ゆっくり振り返る。


「……カイは……

 魔法で殺されたんだよね……?」


 ルカは、黙る。


 それだけで、答えは出ていた。



「……教えて」


 ノアの声は、震えていない。


 ルカは、観念したように言う。


「……カイの死に使われた魔法、

 術式が歪んでた」


「……本来なら、

 即死しないレベルの呪文だ」


 ノアの喉が、鳴る。



「……でも、

 その魔法が“核”と共鳴した」


「……結果、

 威力が数十倍に跳ね上がった」


 ルカは、ノアを見る。


「……共鳴源は――

 お前だ」



 ノアの世界が、止まる。


「……え……」


「……お前の魔力が、

 無意識に術式を増幅させた」


「……つまり……」


 ルカは、静かに言う。


「……殺したのは、

 犯人じゃない」


「……お前だ」



 ノアは、笑った。


 壊れたみたいに。


「……はは……」


「……やっぱり……」


 その場に、崩れ落ちる。



 回想。


 雨の日。


 カイが、前に立っていた。


「……ノア、下がれ!」


 敵の魔法。


 ノアの胸が、熱くなる。


 光が、暴走する。



「……私……

 守ろうとしただけなのに……」


 床に、爪を立てる。


「……なんで……

 私、生きてるの……」


 涙が、止まらない。



 ルカは、言う。


「……だから、

 黄昏の徒はお前を欲しがってる」


「……お前の存在そのものが、

 最強兵器だ」



 ノアは、顔を上げる。


「……じゃあ……

 私は……」


「……世界のために、

 死んだ方がいいんだ……」


 ルカが、即座に否定する。


「……違う」



「……お前は、

 “選ばれた”んじゃない」


「……“生まれちゃっただけ”だ」


「……罪は、

 お前にはない」



 ノアは、震える声で言う。


「……でも……」


「……私が……

 カイを……」


 ルカは、歯を食いしばる。


「……それでも……

 生きろ」



 夜。


 ノアは、一人で施設を抜け出す。


 崖の上。


 月明かり。


 指輪を、外す。


「……私……

 何も守れなかった……」



 その瞬間。


 背後から、声。


「……ノア……?」


 振り返る。


 そこにいたのは――


 レイヴン。



 ノアの顔から、血の気が引く。


「……来ちゃ……だめ……」


 レイヴンは、駆け寄る。


「……生きてた……」


 ノアの肩を、強く抱きしめる。


「……よかった……」



 ノアは、泣きながら言う。


「……違う……」


「……私……

 あなたに会っちゃ……だめなの……」


「……カイを殺したの……

 私なの……」



 レイヴンの動きが、止まる。


「……は……?」


「……私のせいで……」


「……私が……

 あの魔法……」


 震える声。



 沈黙。


 風の音。



 レイヴンは、ゆっくりノアを離す。


「……それ、本当か……?」


「……うん……」



 その瞬間。


 レイヴンの目が、闇に沈む。


「……じゃあ……」


 低い声。


「……お前が……

 全部の元凶じゃねぇか……」



 ノアの心が、砕ける。


「……ごめん……」



 ラスト。


 レイヴンは、背を向ける。


「……もう……

 俺の前に現れるな」


 ノアは、崩れ落ちる。


「……私は、

愛した人の命を奪って、

それでも生きている怪物だった。」


 画面暗転。


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