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「俺、いつきくんの気持ちちょっとわかったかも。ゆうたさんのこと信じてるから、全然大丈夫って思ってたけど……人によるわ」
「あー、さっきの話のやつね? 確かに、この組み合わせは危険すぎる」
「なんだよ、何の話してんだ?」
だいきが気持ち悪いくらい、俺らのことを舐め回すように見ている。とりあえず、そっちはそっちで俺の陰口でも言ってたんだろ? まだりゅうせいは怒った顔をしてるんだし。
「……いつきくんだけは無理」
「え、一瞬でいっちゃんに嫌われた。何? ついていけないんだけど」
「りゅうせいは?」
「……だいきくんだけは、無理ぃ」
「それ、『生理的に無理』の言い方ね!? もうちょっと優しく言って?」
なんなんだ。俺らおっさんは無理って言われている気がして、マジで凹んできたんだけど。
「……僕は、いつきくん一択です。本当、無理」
「待って、俺、二票目! だいきに勝ったんだけど!」
「まぁいつきくん、色気が溢れてるからねぇ……わかるぅ」
「いえ、僕が信用してないのはだいきさんですからね? いつきくんのことは信用してます」
ねぇ、さっきから分かるような分からないような話をしてるけど……これ、俺らボコスカに嫌われてないか? 大丈夫かこれ。
「何のお話をしてたんですか? 僕も投票したいです!」
そんな無邪気に「仲間に入れて」って、ゆうたくん、貪欲すぎるだろ。
「いつきくんが、りゅうせいの旅行に反対したって話をしてたんです。で、逆に自分の恋人がもし、誰かと旅行に行くってなったらどう思う? って話になって」
「あ、だからいつきさん、『いつきくん』って言ったんですね。僕たちって、そんなに危険な組み合わせですか?」
だから、そんな無邪気な顔で俺に近づいちゃダメだって。もう、いっちゃんもりゅうせいも、感情を押し殺すのに必死になっちゃってるから!
「まぁ、控えめに言って、最高」
「本当、だいきさん……離婚届、取ってきていいですか?」
「ごめん、しゅうちゃん! 俺、本当は全員嫌だから! しゅうちゃんと誰も、お泊まりなんてさせたくない!」
「……それ、ほんまですか?」
何これ、不意にロマンスが始まったんだけど。俺、嫌だわぁ。しゅうとはきゅるんとして可愛いけど、だいきは気持ち悪くて見てられない。早く帰ってほしい。一人で。今すぐ。
「さぁ、もう終電なくなっちゃうし、お開きにしましょうか。りゅうせいも、もうお腹いっぱいだろ?」
「俺、まだいけるけど」
「いや、パンクするって。とりあえず、俺とゆうたさんは帰りますから。ベッドの中でカレンちゃんの説明をするって約束したんで」
「……いや、僕をダシにするな」
「……しゅうとも早く帰って、おじさんとイチャイチャしたいんでしょ?」
「誰がおじさんだ! ゲンコツするぞ!」
「はいはい、帰りますよ」
相変わらず絶好調だな、だいき。久々に二人で飲みに行くのが、別の意味で不安になってきたわ。
「……りゅうせい、帰ろう?」
「……今日、いつきくんの家に泊まっていいなら、帰ります」
お!? おお!?
「い、いいよ。焼肉の匂いもついちゃったし……着替え、取りに帰るか?」
やばい。嬉しすぎて声が裏返った。だっさ、俺、かっこ悪すぎる。
「明日早く起きて、家寄って着替えます。……とりあえず今は、いつきくんと二人になりたいので」
ぐわ……っ! かわいい、かわいい……! 可愛すぎて、今すぐこの場で抱きしめたいんだけど!!
「……本当、いつきくんって俺のこと大好きなんだから。顔、ニヤついちゃってますよ?」
さっと手を引かれて店を出る。
……え、支払い、もう終わってるんだけど。誰? 誰が済ませてくれたんだ? カッコよすぎないか。
「お会計、俺らがいない間に終わったの?」
「だいきくんが、トイレに行くフリして払ってました。流石にこの人数分は、しゅうちゃんも焦ってましたけど」
変わらないな、だいきは。いつまでもサラッと格好いいことしやがって。……まぁ、荷物運ぶのをサボったお詫びかもしれないけど。
「……りゅうせい、大阪、楽しんでこいよ。さっきゆうたくんと話して、問題解決したから。グループLINE作ってみんなで逐一報告、ってことで」
「……わかりました。心配かけて、ごめんなさい」
「……やけに素直じゃん。かわいい」
頬を撫でて、軽くキスをする。
……え、りゅうせい、体が硬直して固まってるんだけど。大丈夫か? 心臓止まってないか?
「急にはやめてくださいよぉ……っ、びっくりするからぁ……」
あれ、喋り方が変わった。もしかして、今ので酔いが覚めたか?
……いや、いつもの、甘えん坊のりゅうせいだ。
♢♢♢
玄関に入った途端に、りゅうせいに押し倒される。頭を掴んで引き寄せ、キスをしようとした瞬間。
口元を大きな手で覆われて、動きを止められた。
……何? まだ本当は怒ってる?
盛大にお預けをくらった俺は、目を白黒させる。
「……ゆうたと、どこで何をしていたんですか?」
いや、口を押さえられていたら話せないんだけど。
「俺のことを放っておいて、他の可愛い子と楽しくお喋りですか? ……本当、悪い子」
「んっ……りゅうせい」
萩原なちち
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