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#タヨキミ

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#タヨキミ

13 - 第13話 好奇心

♥

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2024年01月25日

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まつりです【定期】

一週間遅れてしまい申し訳ありません!

まだ日曜日じゃなくね~って思った人、はいその通りです。

なんでかというと、単純に一週間の遅れを取り戻すため。どっかの週で二話分更新しますからね、不定期になりますがそこんとこ把握お願いします🙇



悲しい悲しい回の幕開けなのだ。

こっから3話ほどで今の回は終了しますが、全て目茶苦茶に暗いです。

いないとは思うけど、闇回苦手な人はお気を付けて~



行ってらっしゃいッッ








『この子、醜い』。



母は、産まれたばかりの私に向かって、そう言った。



能力が生み出されてから、早700年。

生み出された当時は能力者に対する差別・反感が多かったが、

法律の改定や能力自体の広がりを受け、

700年経った今では混乱は静まり、殆どの人が、幸せに暮らせている状態だった。


そして、能力が広がっていくにつれ、

人間ではない者が、人間から産まれるようになった。

能力の相性が悪い者同士の子は、一定の割合で、人間の型を外れて産まれてくる。

目が異様に良かったり、身長が異様に高かったり、

顔の形やパーツが変形していたり、関節の方向がおかしかったり。


これを人々は”変異”と呼んだ。

そして私も、変異した人間のひとりだ。


私は産まれた時から、常人より、耳が長かった。

まあ言ってしまえば、耳が長かっただけだ。



──でも私の母は、耳が長い人間が、どうも不気味で仕方ないようで。


毎日のようにあびた罵詈雑言。

暴力は決してなかったけれど、言葉の力は、私をぐんぐん、ドン底へ突き落としていった。


私だって人間で、家族から悪口を言われたら悲しい。

母には、それがわかっていなかったのか。


私には勿論だけど、母は次第に、父にまで暴言を吐き始めた。


『この子がこんな醜い姿で産まれてきたのは、アンタのせいよ!

アンタの能力がへっぽこなせいで、私と相性が合わなかったんだわ!』


父は強い人で、決して表情を変えず、ただ迷惑そうに眉間にしわを寄せてシカト。

そして面倒くさいからか、父が私を庇ったり守ったりすることはなかった。

私自身も守ってほしかった訳ではないため、別にいいと思っていた。父の判断は至って合理的で、私に干渉しないことが、父にとっては一番無難な対応だったのだろう。

少なくとも私を罵倒する母と違って、父は少量ながらも愛をくれたのだ。

私は、これでいいと思っていた。


そんな、ある日。

母と父が、離婚した。


父は、親権を母に譲ってしまった。

離婚した理由は、母の罵詈雑言に嫌気がさしたからとのこと。


それから私は、母と、二人だけの生活を送るようになった。


それからの日々の記憶はすごく短くて断片的、よく覚えていない。

ただ、母の罵詈雑言は、暴力にまで発展していた……気がする。



そして、それから数ヶ月後。


真冬の寒い夜、目を覚ますと、知らない場所にいた。


周りには、異臭にハエの集るゴミ袋が沢山。

使い終わったあとに袋に詰められ放置され、ただただ、世の中から処分されるのを待つ存在。


そこはマンションのゴミ捨て場。

私は、捨てられたんだ。


別に悲しくはなかった。

母のことは嫌いだったし、あのまま普通に暮らしていても、私は幸せにはなれない。

でも、ひどく、虚しかった。

耳が長い私は醜くて、人間としての価値がなくて。

わかってはいた事だけど、いきなり、突きつけられた感じがして──


捨てられたのがゴミ捨て場ということもあって、食には困らなかった。

週一で、マンションの住人から、生ゴミの供給があるからだ。

リンゴの芯に玉ねぎの皮、最低紙でも食べれた。

水分は近くの公園の蛇口からいくらでも飲めるので、私が死ぬことはない。


そんな最低限の生活をして、40の夜が過ぎた。

その日はとても寒くて、私はいつかのゴミにあった薄っぺらい毛布にくるまってベンチに寝転がる。

このベンチは私の定位置で、もはや愛着がわくほど使わせてもらっていた。

以外と心地よい……私が眠りかけた、その時。


「君みたいなめっちゃ可愛い女の子が、こないなところで何してん?その顔に、ベンチと薄毛布は似合わんで」


ふわふわした低い関西弁が、静かな空間に響いた。

驚いてばっと起き上がると、月の髪飾りをつけた少年が、優しい眼でこちらを見ていた。

少年が着てる光沢のある黒い服が、月明かりを淡く反射している。


私はその人の笑顔に、希望を感じてしまった。

もしかしたら………助けてくれるかも知れない。


親に捨てられた──言おうとするが、もう当分、人とまともに喋っていないせいで声が出ない。

やばい、伝えなきゃ、無視されちゃう。

何も言わないならいっか、って。


──今まで通りすがった人は私を見てみぬふりしていた。

ゴミを見るような眼で、私のことをじろじろ見てくる人もいた。くすっと笑う人もいた。

そうだ、私は社会のゴミだ。この複雑化した社会が生んでしまった、まともに生きられない、価値のないただのゴミ。

そんなゴミにわざわざ、声をかけてくれて。やっと、私は…………


どうにか口をうごうごしていると、少年は微笑んだ。

「喋れんなら無理せんと。オレは宮内ツキミ~ゆう、治安部隊のモンや。綺麗な綺麗なお姉さん、捨てられたんとちゃうか?」

私は、こくんと頷く。

「そっか、まともに住むとこも食べるモンも着るモンもなくて、困ってるよな?」

優しく私の頭を撫でるツキミさんに、私は救われたような気持ちになった。

と同時に、不安が押し上げてくる。

恐らくだけど、時刻は、もう11時をまわっていた。

ツキミさんは見たところ、私より年下だ。多分、中学二年生くらいだろう。

そんな小さい子が、こんな夜中に出歩いている。彼にも特殊な事情があるのだろう。

彼に、迷惑だけはかけたくない──

その思いで、私は声を絞り出す。


「………別、に、私、みたいな、ゴミ、ほっとい、ても……………」


私はバカだ。

心配して、声までかけてくれた年下の子に、その優しさを捨てるようなことを言って。

元々救いようのないのだから、仕方がない。許してくれとは言わないが、ごめんなさい……


そんな心配をする私に、ツキミさんはニッコリ親指を立てる。


「安心せい!可愛い女の子ほっとけるほど、オレは冷徹な男とちゃう!ええか、世の中の女の子はみんな可愛い。むさっくるしい男と違ってな、全員が全員一等星で、尊い存在なんや」


ありふれたような口説き文句。

いや、一人の女の子に対して、全員が一等星とか。口説きではない、ただのクズだ。

「こらこら、今オレのことクズや~って思ったやろ?」

ツキミさんの言葉に、私はドキッとして苦笑する。

そんな私を見て、ツキミさんは、微笑みながら近くのブランコに乗った。

「たしかにオレはクズや。可愛い女の子が大好きやけど、逆に言えば、可愛かったら誰でもええねん。なんでかと言うとな、俺は可愛い女の子が大好きだからや。彼女はいっぱいほしいから小学校で三股したら、全員からビンタくらってん。泣かれてもうた、痛かったなあ……でもオレ、結構モテんねん。同時期に彼女が三人おったんやから」

どんな顔してこれを年上女子に話しているかというと、彼は見たこともないようなどや顔だ。

そして今度は、こんなことを言い出す。

「オレは男としてクズ、君は社会のゴミ。オレたち、似た者同士やな!」

そこで耐えられなくなって、私は口を開いた。

「……一緒に、しないでください」

それを聞いて、ツキミさんはウインクする。

「よぉし、喋れとんな!とりまぁオレについてきぃ。はよ帰って、お風呂で体きれいにして、あったかいお布団で寝ような」

ツキミさんは私を問答無用でおんぶして、楽しそうに、鼻歌を歌いながら歩いていった。



「ついたで~」

その声に、私は顔をあげた。


古い柵の向こうに、金属製のドアが見える。

ツキミさんが手をかざしたら、目の前の扉が開いた。

中に入ると電気にパッとてらされて、まぶしくて咄嗟に目を瞑る。

「おーい、公園に捨てられてた女の子を連れて帰ってきたんやけどー!」

驚くほど大きな声。

その声に、不満そうな数人の少年少女たちが、部屋の奥の扉から出てきた。



私を拾ってくれた[宮内ツキミ]。

私に最初に話しかけてくれた[佐藤ソーユ]。

私の話を優しく聞いてくれた[我孫子カナタ]。

私の服をすぐに用意してくれた[金栗アキト]。

私のご飯を作ってくれた[野々カエデ]。

私をお風呂にいれてくれた、[江國ユズキ]。

みんなみんな、優しかった。

彼らが運営している”タヨキミ”という組織は、悪い組織”キビアイ”を解散させるために作られたんだとか。

私が「入りたい」って言ったら、みんな驚いたような顔でOKをくれて。

病院まで行って『能力検査』をして私の能力もわかったし、制御のために、私のブローチを改造してくれた。


私のために、みんなは色んなことをしてくれた。

今度は私が、みんなのために───!








目をさますと、見慣れた天井があった。


「………!? サユちゃん、大丈夫!?」


チェリーの声に、サユはベッドから起き上がる。

「私……そうだ、サチは!?」

「……サユちゃんに攻撃したあと、カエデさんがサユちゃんを背負って、アジトまで帰ってきたんだよ。サユちゃん、顔色すごく悪くって………平気?」

「私は大丈夫だよ」

随分と年下であるチェリーが看病してくれたのか。少し情けない。


それにしても、サユに異常はないが………少し、変な夢を見たような気がした。

そんなサユに、チェリーが、躊躇いながらも言った。


「サチの能力が、過去のトラウマを思い出させる『回想』だったの。タヨキミの隊服は対能力性でできてるから、多分頭を狙ったんだろうけど……その、辛ければ、何でも話してね。私で良ければ」


視線を泳がせながら、でもしっかりサユの手を握るチェリー。

サユは、心が暖まるのを感じた。そしてつい口走ってしまう。


「……私ね、変異が気持ち悪いって、捨てられたんだ。でもそのおかげで、タヨキミに入れた」


サユの言葉に、チェリーが目を見開く。

そして恐る恐る、口を開けた。


「……私も。角のせいで、変異のせいで、タヨキミに入った」


サユは驚いた。

似たような境遇なのか、チェリーと……

でも、チェリーは今、「変異のせいで入った」と言った。

せい、で。つまり、チェリーはタヨキミに居たくないのか……?


……気になるけど、わざわざブローチを付けて確認するようなものではないな。

サユは、そう判断した。


「よし、私、もう一回サチを探してくる!チェリーちゃん、ユズキに言っておいて!」

そそくさと隊服に着替えるサユに、チェリーはえっ、と驚く。

「でも、無理しないほうが……」

「ううん、無理はしてないよ。サチを救うって決めたのに、こんなところで、過去に浸ってなんかいられない……今ここで引くべきじゃあ、ないと思うんだ」

サユの眼は、固い決意に満ち溢れていた。

「……わかった。気を付けてね」

さっそく窓から飛び出すサユに、チェリーは苦笑してため息をつく。


(ユズキに怒られるの、私なんだけどなぁ……)









変わって、先日の公園。

時刻は既に22時をまわっていて、灯りのない中央広場は、真っ暗でなにも見えない。

そんな空間にはかなり前から、ゴシュ、メキッという音が響いていた。


「随分とご機嫌ナナメだなぁ」


あくび交じりに、イヌイが木陰に座って苦笑する。


「………ハルカ、殺す」


手に持った鉄球を木の幹に叩きつけているのは、サチ。

かなりイラついている様子のサチを、イヌイは嘲笑った。

「テメェなんかに、ハルカさんは殺れねエぞ。大体よ、ハルカさんに怒られるようなことしたテメェがワリーだろ………だっせ、あんまキレんなって」

その言葉に、サチはイヌイを睨む。

そして、前の会話とは、なんの関係性もない質問をした。

「お前、右目、なんで隠しているんだ。失明か?なにか、後ろめたいことでもあるのか」

きっと、ただのカッコつけだろう………質問にこれとした意図はなく、サチはただ、イヌイが微妙に困るようなことがしたいだけだった。


イヌイはその質問に、すぐに返答────しなかった。

いや、どちらかというと、できなかったという感じだ。


数十秒の沈黙の後、イヌイは、静かに口を開く。

「……どうでもいいだろ。オレの右目なんて」

サチは、イヌイの右目が、気になった。


サチ自身、左目を失明している。

失明した理由は、人に簡単に言えるようなものではない。だがサチの能力には、この左目が不可欠だ。

イヌイの能力の概要から考えるに、恐らく、右目と能力は関係ないだろう。なら、なぜ隠す?

(……ハルカなら、知っているかもな)

実際、ハルカとイヌイは、かなり濃厚な関係性にあるようだし。

前に本人も言っていたように、イヌイは、かなりハルカに信頼と希望を抱えている。

そしてハルカもまた、イヌイへ向けた、愛のこもる言動が目立っていた。あくまでハルカはイヌイのことを『駒』と呼んでいて、愛で無理やり繋がっているような感じに見えなくもないが。

ただ、互いが互いに依存しあっているような、どうも……犯罪組織のトップとは思えない、恋人に近い関係だと、見ていて感じる。

だが二人がどのような感情を持ってそれぞれ接しているのか、サチは知らなかった。


一回、名前を何と言ったか……そう、No.6の[ヒトネ]。

ヒトネが、こんなことを言っていた。


「あの二人は、境遇が少し似てるんだよ。同じような過去があるから、ああやって心が通じるわけ」


ヒトネは不思議な男だ。

人の心を見透すように、口にしてないことについて色々な情報を教えてくれる。

頭が良いのか、いや、馬鹿か。情緒不安定な奴は大体馬鹿だ。


ハルカとイヌイの境遇………か。

(少し、興味はあるな。キビアイという組織に入っている時点で……そしてその上層部にいる時点で、よほどのイカれ野郎だ)

似た境遇ならば、まずは二人の共通点を探すべきだろう。

(……あまり、似ていない。薬をやっているのはイヌイだけ、身長も20cmほどの差があって、ハルカのほうが何回りも大きい。喋り方、性格、声も顔も全然違う)

強いて言うなら、二人とも、前髪が長い。

イヌイは丁度右目の下くらいを8:2で覆っていて、ハルカは鼻にかかるほどを目を避けて三等分している。

だが、イヌイの素顔は見たことがなくても、ハルカは髪がふわふわしているため、よく浮いて顔が見える。

ここでも、相違点………


(共通点は、関係がないのか)

そう結論づけ、サチは疲れたように顔をあげる。


すると視界の端に、水色のものがスッ、っとうつった。


「……タヨキミが来たぞ」


「あ?こンな夜に、わっざわざこンなとこまでか」

イヌイは立ち上がり、辺りを警戒する。


そんなイヌイを振り返って、サチは、良からぬことを思い付いてしまった。

……そうか。


───イヌイに、鉄球を当てたらいいじゃないか。前髪も手で払えば、右目を拝見できるのではないか。


サチは音もなく、イヌイに近づく。


「あ?どうしたよ」


不思議そうに見下してくるイヌイを前に、サチは、パッ、と手でイヌイの前髪を払った。

「ッ!? おい、ざっけン………」

姿を現したイヌイの右目に、サチは、息をのんだ。


───イヌイの右目は、赤い糸で、縫われていた。

瞼を閉じたまま、かなり雑に縫われているように感じる。

糸が血のように真っ赤なのも相まって、その姿は、ひどく残酷に見えた。


(………面白い、な)


サチにしては珍しく、好奇心が、理性に勝ってしまう。



と、次の瞬間。

振られたサチの鉄球が大きな音をたてて、イヌイの頭を直撃した。






続く












こんにちは!

どどどどどうだったですかね、、、、、、???ひえー、、、()

みんなからの反応が怖い、、、((なんで


イヌイくんの隠された右目は、なんと縫われていたという衝撃展開。

皆様、俺、死ぬかもです。

みんな、今回はサユ・サチ回だと思ってたじゃろ?

実はイヌイも今回なんですよねー!!!!!!!No.4、上層部メイン回きちゃああああ!!!!!!!

No.6、No.5を置いてのNo.4が先にメイン回を迎えるというね。どうなってんだ。。

サチくぅんなんてことをぉおおおおお😭

でも可愛いから許s((((

そしてツキミ!!!!!!!貴様、小学校で彼女3人はふざけてんだろおおおおおおおおおお!!!!!!!

最低だぞ!!!!!!!関西弁で可愛いからって!!!!!!!モテるからって!!!!!!!

本当、ウチの子、クセ強くない、、??

まつりさんの癖に寄ってるってか、なんてっか。クズ男すこです。

サユちゃんの母親は、あの後、スタッフが美味しくいただきましたのでご安心ください。


またね~!すぐ更新するからね~!

感想待ってるよ~!考察待ってるよ~!



、、、、考察待ってるよ~!!!(二回目)

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